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柏倉哲平~リーダーからの脱却

僕がアスフレで一番好きな選手・柏倉哲平が新潟アルビレックスBBへ移籍する。その報を受け、ショックはかなり大きかった。好きな選手だからこそ、気持ちよくお別れしたい。今回は、柏倉に対する想いを余すことなく吐き出し、自分の中の悲しみと決別する。

1.無難で面白くない選手

18-19シーズン序盤、アスフレを応援するようになった当初、僕の柏倉に対する評価は低かった。もう少し正確に言うと、選手としての能力は高いが、プレーが「面白くない」という評価だった。

能力が高いと感じたのは主に3点
①ディフェンス
②3p
③ゲームコントロール

柏倉は上記以外にも全体的に能力が高く、大きな弱点がない選手だった。現アスフレHCの東頭さんはその能力を「B2で3本の指に入る」とまで高い評価をしている。まぁ、3本の指はさすがにちょっと盛っているでしょ(笑)。

では、そのような選手をなぜ「面白くない」と思ったか。それは、プレーの中で無難な選択をすることが多いからだ。中心となるスコアラーが別にいたこともあり、スキルはあるのに自ら仕掛けることが少なかった。ミスは少ないが、チャレンジも少ない。そんな柏倉に、「この男がボールを持つと何かが起こる!」みたいなワクワクを全く感じなかった。

ただ、シーズン終盤、「面白くない」柏倉は僕の評価を一変させるプレーを見せてくれるようになる。

2.覚悟

柏倉にとって、18-19シーズンは非常に厳しい戦いだった。怪我人続出やチーム成績の悪化、外国籍選手の入れ替えにより、チーム内序列が3番手からトップへ繰り上がった。その結果、まだ大卒2年目の若手にもかかわらず、ファンやチームの期待を一手に担い、残留争いに参加することになった。

この状況の中で柏倉のプレーが著しく変わり、自ら仕掛ける機会が増えた。無難な選択をする選手から、チャレンジする選手へと急激に変化した。いつのまにか、「柏倉がボールを持つとチームが動く」、そんなワクワクを感じるようになった。

変化はそれだけでない。チーム全体を良い方向へ導こうとする言動が増えた(もともと多かったが)。相手が中堅やベテランだろうと関係なく、常にハドルの中心で叱咤激励した。ファンや選手を導く、紛うことないアスフレのリーダーがそこにいた。

しかし、この時の僕は柏倉が如何に苦しんでいたかを想像すらせず、ただ称賛するだけだった。

その苦しさの一片を知れたのは「大田の奇跡」と呼ばれる大逆転勝利したシーズン最終戦だった。逆転シュートを決めた柏倉は試合終了後にコート上で涙を見せた。スキルやリーダーシップがあってもまだ大卒2年目の若手。色々な期待を背負うことは容易ではなかったはず。その苦しみを越えて手に入れたシーズン最終戦の劇的勝利に、思わず涙をこぼしてしまったんだろう。

僕は困難な状況を強い覚悟で闘い抜いた柏倉をバスケ選手としてでなく、一人の人間として尊敬するようになっていた。

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3.偽物

19-20シーズン、アスフレは新たな道へ歩み始めた。ヘッドコーチが代わり、怪我人が戻り、新キャプテンに柏倉が就任した(ダブルキャプテンの1人)。B1昇格に向けた新たな戦いが始まり、その中心には柏倉がいるはずだったが…。

このシーズン、柏倉は怪我に悩まされた。8月に外側半月板のクリーニング手術を受け、アーリーカップと開幕9試合を欠場。10月に復帰するが、11月には左大腿部の筋挫傷で再び離脱し、8試合の欠場。

年明けの1月に復帰するが、以前のような体のキレがなかった。DFのフットワーク、パスのテンポ、シュート精度、全てに柏倉らしさが見られなかった。さらに、プレー傾向も「面白くない」柏倉に戻っていた。ゲームを組み立てることに長けた選手であるが、それを優先しすぎて、自らチャレンジする姿勢がなかった。

昨シーズンに見せくれたハイパフォーマンスがない。そのことにショックを受けた僕は、目の前にいる柏倉は柏倉の外見をしているが中身は偽物だと思うようにしていた(けっこうマジで…)。

19-20シーズンは新型ウイルスの影響で途中で終了した。結局、このシーズンは柏倉らしいプレーがほとんど見られなかった。スタッツは特別指定時代よりも劣り、キャリア最低だった。

そして、2年間、柏倉ファンとしてプレーを見てきた僕はある思いを抱くようになった。
「柏倉はアスフレを出るべきだ」

4.リーダーからの脱却

2020年5月1日、柏倉の自由交渉リスト入りが発表された。アスフレファンとしての僕は絶対に契約継続して欲しいと思った。ただ、柏倉ファンとしての僕は全く逆の思いだった。

アスフレにいる柏倉は常に優秀なリーダーだった。コートの内外で常に仲間を気にかけ、アドバイスを送ったり、叱咤激励をしていた。コート内では自ら仕掛けることよりも、仲間を活かすこと優先した。

一方で、リーダーであることが消極的なプレーに繋がっているように見えることもあった。18-19シーズン開幕前のインタビュー記事で自身の課題を以下のように語っている。

相手が付きづらいガードになりたいなとは思っています。相手から読まれにくい、次に何するんだろうって思わせるような。味方に気持ちよくシュートを打たせるのもそうですが、パスだけじゃなく、自分で行くところは行くというガムシャラさも加えて、相手の的を絞りにくくしたいなとは思いますね。

「ガムシャラさ」と柏倉のリーダーとしての振舞はミスマッチだと思っている。どうしても、ガムシャラな仲間を活かすこと優先し、一歩引いた立ち位置でチームをまとめているように見えるからだ。

柏倉はアスフレにいる限り、リーダーの冠がとれない。なぜなら、B2弱小チームのアスフレは柏倉よりも実績のある選手やリーダーシップのある選手を獲得できないからだ。そう考えると、いくつかの問が浮かんだ。

「リーダーであることが背負わなくて良いものまで背負わせていないか?」

「リーダーであることが選手としてのチャレンジを奪っていないか?」

「リーダーであることが彼の目標に直結しているのか?」

こういう問に対する答えを考えた時に、一人の柏倉ファンとして

「アスフレよりも人材が豊富で、リーダーでなく選手として勝負できる環境に飛び込むべきだ」

という結論に達した。

前述の通り、19-20シーズンのスタッツが悪かったので、B1の新潟アルビレックスBBへの移籍は個人的に想定外だった。しかし、これは直近のスタッツでなく、ここ数年の働きをしっかり評価してくれた証だろう。

再建のフェーズに入る新潟は新しいチームを作ろうとしている。だから、全選手が横一線のスタートのはず。また、実績あるベテランも揃っているから、まとめ役を買って出る必要もないだろう。柏倉にとってはリーダーなんて関係なく、選手のスキルで勝負できる最も適した環境と言えるのではないか。

5.エール

ただ、アスフレを出るべきだと思っても寂しさは残る。いや、今はこの記事を書いたことにより、感情をそれなりにコントロールできている。だが、来季はどうか。柏倉のいないアスフレを見る時には寂しさを確実に感じるだろう。僕は柏倉のいないアスフレを知らないから…。

それでも、僕はアスフレを応援する道を選ぶ。やっぱり、ファンもスタッフも選手も皆大好きだし、チームの理念に賛同しているから。いずれ、高いカテゴリーでアスフレと柏倉が再び交じわうことを東京で願ってるよ。

特別指定からアスフレにいた柏倉はプロで初めての移籍。まずは新潟のレジェンドPG五十嵐圭と戦ってプレイタイムを得る必要がある。次に、富樫、安藤、ベンドラメ、等々の日本代表クラスと戦う。1枚も2枚も上手の相手だ。今までのようなお利口さんなバスケだけでは通じないぞ。リーダーなんて冠を捨て、選手としてぶつかってこい。

できるよ。すぐには無理だろうが絶対できる。B1で活躍してくれることが、僕の…いや、アスフレ民全員の願いだ。頑張れよ。

では、最後はアスフレ流のエールで締めよう。

Go Win Z!!!

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