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次は東川ブランドのジンとウイスキーです

7月24日に東川町議会の第3回臨時会が開かれました。
臨時会というのはその名の通り、年4回開催される定例会以外に臨時に開かれるものでその多くは行政から工事などでかかる費用の予算が提案され、それを議会で審議するものです。
今回の議会も令和5年の第4号となる一般会計補正予算の審議のために開かれた臨時会でした。
その補正予算の中身は6つ。


・間も無く完成する映画「カムイのうた」の発信によるもの 3,000万円
・同上に関連する事業名目違い                  1,700万円
・蒸留所施設整備のための建物設計委託料          2,000万円
・産業ツーリズム推進事業の建物設計委託料と土地購入費    7,100万円
・スキー場リフトの改修費                 550万円
・大雪野球少年団の全国大会出場の負担金          375万円

以上を審議の結果、全て賛成多数で議会で承認しました。
そのうち今回は蒸留所施設整備について今回は言及いたします。
(先日新聞に掲載された産業ツーリズムについては項を改めます)

東川町に今度はジンの蒸留所を公設民営で建てます。
2024年度内の稼働が見込まれます。
運営するのは香港に本社がある会社の日本法人 丹丘蒸留所株式会社です。
場所は三千櫻酒造の南隣の町有地です。

なぜ東川町にジンの蒸留所?その経緯について簡単にまとめると

2020年 香港のジンの会社が日本に蒸留所を作りたいとJETRO(ジェトロ 日本貿易振興機構)に相談したところ、JETRO北海道を経由して、水が良くて交通が良く、外国人留学生の受け入れで実績のある東川町を推奨され、候補地を東川町に決定。
JETROでは企業情報、日本への進出目的、対日投資計画などを確認。
・経済安全保障上の観点から日本の安全・秩序を損なう恐れのあるビジネス、違法ビジネス、公序良俗に反するビジネスなどを行っていないか
・ 対日投資を行う上での資金力・経営に懸念がないか等
以上問題ないと判断し、JETROの支援企業として認定。
お墨付きが与えられたということです。

丹丘蒸留所からは東川町へのメリットとして

1) 国際的な販売網での東川ジンやウィスキーなどの製品展開を通じて、東川町ならではの豊かな天然資源、高い美意識、雄大な景観などを知らしめる。
2) 香港本社に東川町とその産品を紹介するスペースを設ける。
3) 香港本社が窓口となり、香港人の東川町への留学を斡旋する。
4) シンガポール、台湾、英国などで、東川町やその産品を紹介するイベントの開催する。
5) 香港からの観光客誘致

を提示。
それらを受け、町は蒸留所誘致を推進したく町議会へ情報提供したものの、直後のコロナ禍で来日もままならず、2年ほど塩漬けになっていた案件でした。
2022年の秋になってその話が復活します。
ところが当初は町有地は提供するものの建物は自己負担で行うという話が一転、コロナ禍不況で資金にゆとりがなくなったため公設民営方式で進めたいという話になりました。
つまり運営を丹丘蒸留所が行うけど、建物と設備は東川町で用意してほしいと言うことです。

これには議員の中から「そんな都合の良い話があるのか」と反対の声が上がり、選挙も挟んだため保留に。廃案になったかと思っていました。
その後町長が代わり、議員も入れ替わった6月から町側と議会の全員協議会がもたれ時間をかけて議論を重ねました。
当日の議会でも議員からかなりの質疑が出されました。

建設工事にかかる費用は約4億円。一旦は町が借金をしますがのちに国から8割にあたる3億2000万円は交付税として交付されます。
残りの2割、8000万円は丹丘蒸留所が町に支払います。
そのため、実質的に町の費用負担は0円ですから、財政的には問題ありません。
ではどこに引っ掛かるのかというと

・公設民営で行う理由に乏しい  なぜ東川町にジンが必要?
・会社の資金・素性が不透明   ホントに大丈夫なの、その会社?
・中国系資本の流入に懸念    ニセコや富良野のようにならないかい?
・町内事業者からの不平不満の声が上がる   2割分の投資で済むなんてズルい・羨ましい・白ける

などの理由で飯塚は反対。
他の議員の反対討論もありましたが8対3の賛成多数で可決になりました。
賛成の理由は上記囲みに書いた東川町のメリットがあるとの行政からの説明を受けての判断だったのでしょう。
町は米の消費を伸ばしたいのです。米や農産物を使って製造するジン。それに香港などへの米の輸出にも期待がもてる。東川米を海外に通用するブランド米にしたい。数十億円の建設費をかけて工事が進んでいくライスタワーの稼働が視野に入っていることもあるでしょう。
それはそれで見解の違いはあっても理にかなっていると思いますし、かなりの議論を重ねた結果の可決なので異論はありません。
(ただ難しいのは、我々議員は行政から提案される補正予算の全事業を一括で賛否を決めなくてはいけないことです。
今回の場合、仮に否決となると冒頭に挙げた6つの事業が全て否決となり予算執行ができなくなるのです。)

これによりまずは建物の建設設計委託料2,000万円の執行が決定しました。
完成した暁にはジンとウイスキーも製造するそうなので美味しいお酒をいただくことを楽しみに待ちたいと思います。
ジンは2025年から販売。ウイスキーは樽で寝かす必要があることから2027年の出荷となる模様です。(計画案によるもので確定ではありません)
東川ブランドのジンとウイスキー。いい成果を生み出しますように。