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東川町の財政の見通しはいかに

東川町ではKAGUの家やキトウシの保養施設、共生プラザなど町内の公共施設の大型工事が進んでいる中で、「ウチの町のふところ具合は大丈夫かいな?」と心配する声をよく耳にします。

そこで12月14日は総務文教常任委員会(飯塚が副委員長)の所管事務調査で、企画総務課から東川町の財政の見通しについて説明を受けました。
9月議会では昨年度(令和3年度)の決算も認定し確定しています。

説明で使われた「令和4年度 東川町財政運営計画 R4~8年度」の表やグラフを引用しつつ、行政からの説明に加え、飯塚なりの噛みくだいた説明を以下に記してみます。
ざっくりし過ぎてたら御免なさい。

結論的には財政運営的には上手くやりくりしているので不安がらなくても大丈ですよ、今のところは。
ですが、せっかくお立ち寄りいただいたのでお目通しいただけたら幸いです。
なお議員としては、安心しきることなく今後もチェックしていきます。

以下に出てくる財政指標は全国の自治体で用いられる共通の指標です。
表やグラフはクリックすると大きく見えます。なお単位は百万円です。


1.積立基金残高の推移

積立基金残高の推移 単位百万円

積立基金とは文字通り将来のために積み立てているお金です。
グラフから見て取れるように残高は平成26年度より下降傾向にありました。
これは東川小学校の基金を取り崩した時期だったためで、平成30年度から持ち直し、各種財源を確保することで令和3年度は過去最高の33億5500万円の積立額となっています。これは安心材料ですね。


2.財政力指数と町税収入決算額の推移

財政力指数と町税収入決算額の推移

町税収入は町民の住民税や固定資産税などです。
青の棒グラフをみると東川町の人口が増えていることで町税はずいぶん増えました。平成15年度の6.1億円(約7,500人)から令和3年度は9.2億円(約8,300人)です。
しかし家屋の評価が年を追うごとに減っていくことや不景気のあおりを受け、ここ5年ほど横ばいにあります。これは全国的な傾向だと思われます。

赤の折れ線グラフの財政力指数とは、町の運営に必要な額をどれだけ自力で賄えるかを示す数字です。これが1に近ければ、簡単に言うと財政的に豊かな町と言えます。
大企業の城下町や原発の立地町、漁業で潤ってる町などは高くなります。
赤の折れ線グラフを見るとだんだん財政力指数が下がってきていますが、国から補填される有利な町債を発行し続けていることで計算式上不利になっているからで、財政力が落ちてきている訳ではないという説明を受けました。
また、東川町では指数の大小は気にしていない、キリッ☆とのことです。
数値を上げるには収入に見合っただけの事業しかできないことになります。

3.経常収支比率と実質公債費比率の推移


経常収支比率と実質公債費比率の推移

青の棒グラフの経常収支比率は、人件費や扶助費(福祉にかかる費用)、公債費(借金返済のお金)など行政の運営上、絶対にかかる費用が収入のうちどれくらいを占めるかを表す数値です。
これが低いほど財政にゆとりがあることになりますが、70~80%くらいが適切だとされており、東川町もその範囲にあるのがわかります。

赤の折れ線グラフの実施公債費比率とは借金の返済額が収入に対してどれくらいかを表すもので、平成30年度までは東川小学校とせんとぴゅあの建設の返済で伸びてきましたが、以降は1で見たように基金や特定財源の確保で数値が下がってきています。

主要財政指標の推移

実質公債費比率は今後7.8のまま推移していくとされています。
将来負担比率とは将来財政を圧迫する可能性を数値化したものですが、こちらも4.1という低い数値で推移するとされています。


4.町債残高の推移

町債残高の推移

町債は文字通り、町の借金のことですが、長く使える大きな建物や道路を建設するときはその時の住人(大人)だけでなく、将来の住人(今の子ども)も含めて費用を負担するのが公平という観点で単年度で費用を払うのではなく、町債を発行して複数年度にわたって返済していきます。国債も一緒ですね。

町債の中にはいくつか種類がありますが、中には100借りたらそのうちの80は国があとで交付税として戻してくれる(町の負担は20で済む)という有利な(夢のような)借金もあるのです。(棒線グラフの青色の部分)
逆にいうと20の手出しで100の事業が行えます。
それを上手く活用しているのが東川町の大きな特徴と言えます。

表を見ると令和3年度末の町債残高は128億円あります。
そのうち交付税で国から補てんされる額が88億円(68.6%)で、町の実質町債残高は40億円(31.4%)です。
大型事業(東川小学校・せんとびゆあ建設事業等)の起債償還のために積立てている減債基金残高は、令和3年度末で14億円です。

5.町債残高の推移(見込)

町債残高の推移(見込)

町の借金(町債)の残高推移の見込みを書いたのが上の表とグラフです。
令和4年度は現在工事中のキトウシ保養施設(入浴施設)と共生プラザ(東町2丁目)の大型建設工事が2つあったので、町債の発行額が45億と突出して大きくなっています。
令和4年度から6年度にかけてはカントリーエレベーター(お米の乾燥調製施設)整備事業(第二小の横)で町債残高は増える見込みです。
4で言った交付税補填のある有利な町債を多く活用したり、基金の繰入や寄付金などの特定財源を返済に充てることで、実質負担を軽減し、令和7年度以降は減少に転じる見込みとされています。

町のルールとして町債の発行額の実質負担額は4億円以下とし、その年の償還額を超えないものとして、財政健全化に努めていると説明を受けています。

大型工事を伴う公共施設の整備が相次いでいましたが、令和5年度以降ほぼ落ち着いて来るでしょう。
しかしデザインミュージアム構想(東町2丁目旧駅前の倉庫群)が具現化すれば、数十億円規模の事業と目されます。
今年11月に建設支援の会が発足し、20億円を目標とする寄付金集めが始まりました。
いくら集まるのか議会としても注視していきます。

6.積立金残高の推移(見込み)

積立金残高の推移(見込)

積立金残高は、東川小学校等の起債償還のため毎年減債基金を約2~3億円取り崩すことから減少しますが、各種財源の確保により、ふるさと納税株主基金、公共施設整備基金等の積立てを行うとともに、適正な予算執行をすることにより、積立てを最大限行うことに努めます。としています。


このように町では中期的な財政支出の見通しを立て、将来の財政運営の健全化を確保するよう「東川町財政運営計画」を策定しています。
公共施設や道路橋梁の整備には先述の通り、国からの交付税補填がある有利な町債発行を積極的に行なうことで将来負担を減らしつつ必要なものを整備しています。
また東川町では人口が増えていること、ふるさと納税などの寄付金が増えてきていることなど明るい材料があります。

しかしながら計画やお金の使い方が適正で効果的なものか、議会として常にチェクしていく必要があります。
来春には議員構成も変わりますが、これらのとっつきにくい財政のことも一緒に学べるメンバーが増えてくれることを願っています。