VRで音量と音圧

聞こえないとまずいけど、大きすぎてもまずい。

VRで リアルな音を再現しようと思っても、HMDのスピーカーではとてもだせない・・・ という話。

前のノートで低音の話のような、周波数的制限の話もあるのですが、
聞こえている音程であっても、
音の強弱についてもいろいろ幅が少ないのが現状。

大きな音

例えば、銃声や大砲のような大きな音を鳴らしたいとして、
本物の銃は撃つと衝撃波が体に当たってくる。 
これは耳元の小さなスピーカーでは再現できない。

空気を一瞬で揺らす衝撃波、これがでていたら近所迷惑かもしれない。
楽器の音だって、生楽器の音は爆音なので、夜は鳴らせない。

実に無意識に音量が小さいことに慣れてしまっている。

これは、実際の音量は求めず、雰囲気、全体のバランス、
反響音とか、残響など別な演出的要素で補う形になる。

小さな音

小さな音は近所迷惑にならないし、スピーカーでも出せるかな?

例えば、小さい生き物の音

蚊が飛ぶような音、 といっても、耳元にいる蚊の音はすごい大きい音に聞こえる。(音量変化がとても激しい)

小さい耳元の音を表現した場合、はなれたらすぐに聞こえなくなってしまうのは音としては正しい。

蚊なら目でも追いかけられないから不自然じゃないけれど、
もう少しゆっくりな移動する目の前のオブジェクトの音が聞こえなかったりすると、ちょっと残念。

物理的に正しくても、鑑賞しやすさなど求めると答えが変わってくる。

耳を近づけても遠ざけても、適切な音量で聞こえるようにするのは意外と難しい。

蚊の移動速度を考えると、とても計算では追い付かない。
耳元を通り過ぎる高速な弓矢の音とか。風切り音とか。複雑な変化をしている。

HMDの制限

HMDで、若干離れたところにスピーカーがあったりすると、少し補正のかかった音になっていたりすると思われる。

特定の周波数が強調されてしまい、場合によっては割れてしまったような音になったりする。

といって、全体に小さくすると今度は聞きたい音が聞こえないので、ボリュームを大きくしてしまったりして結果として
割れてしまうみたいなことにもなる。

音量も難しい。音量制御もかなり難しい。

明瞭度を出したくても、立体音響はなかなかクセのある仕組みになっていたりする。

モノラルの音の鳴らしかた

モノラル的にならす音は注意が必要かもしれないなぁと。
左右から同レベルで再生される音は、どこで音像ができあがるか。

2Dの話

0.71倍にすることをよくする。-3dBくらい。
左右から同じ1.0の信号を出すと、中央では、1.0以上になってしまう。

左右から同じ信号を0.71くらいで出すと、中央で1.0くらいになる。
この音がL側にきたら、1.0になり、Rの音量が0になる。 
等距離の変化になる。

立体的な配置にしないまでも、音量の考え方は少し考慮しないといけない。声はどこから鳴らすのが良いのかなど。

声は聞こえさせたい

声は聞こえていないとまずい。
何を言っているかわからないようなエフェクトをかけてしまうと、
それは環境音になってしまう。

コンプをかけてしまうと、小さい音も聞こえるけれど、全体に強弱が無くなってしまう。 聞き取りやすいかどうかとはまた違うことになってしまう。(みな同じ音になってしまいがち)
この塩梅。なかなか大変なところ。

リアル?

VRだと、リアルさが大事なところだったりするかもしれない。なかなか手を抜けないところ。
2Dの映像だと、(経験的に)ごまかせてもVRだと違和感になったりする場合もある。

音屋さんの視点で、ドキュメンタリー映像とかで、遠くにいる生き物や、
蚊のような小動物の映像とかで、生き物の足音がしていると、ああ、これはあとから音をつけている人がいるのだなぁと、感謝しながら見てしまうのです・・・ 
ドラマを見ていても声は後からとっているのかなぁとか。残響はあとからつけているのだなぁとか・・ 環境音が聞こえるとか・・・  
どこまでがリアルかどうか以前に伝わる表現をしている

VRに対して、どういう音響が求められて、望まれていて
どういう体験をしようとしているかによっても変わってしまう。

VRのサウンドに期待をしたい気持ちもあるけど、
ハード的な限界を超える何かが必要なのかもしれない。 
ハードや音まわりのいろいろが進化してくれることに期待しつつ・・・

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