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角度の違い

再生環境によって、音楽の角度も変わります。
スピーカー、ヘッドフォン、VR それぞれ、どういう音源を用意するとよいのかという話。

ステレオの配置角度

A スピーカー 前方に-30度 +30度
B ヘッドフォン -90度 90度
C VR                   -90度 90度

正面を0度として、左-90度 右+90度 が真横

Aの場合、スピーカーとの距離によって角度が変わる場合もあるので、30度から90度くらいまであるかもしれない。 

あと、ゲームの筐体とかで、椅子とかについていると、頭の後ろ側に配置とかもあるかもしれない。なんとなく、左側の音、右側の音扱い。

音源素材の角度

A スピーカー 前方に-30度~90度 30度~90度
B ヘッドフォン -90度 90度
C VR                   -90度 90度

A 結構曖昧です。好きな位置に置かれる想定で作ることになる。

ゲームでの扱う角度

A スピーカー 前方に-30度~90度
B ヘッドフォン -90度 90度
C VR                   -90度 90度

A スピーカー配置 
ゲームの場合、ゲーム機の設定によって定義されている場合があります。
5.1ch対応とかの場合、-30 30 -120 120 と L,R,Ls,Rsのスピーカーの位置を決めていたりなど。

スマートフォンや携帯ゲーム機だと、スピーカーの位置がまた狭いかもしれません。 特殊な音像補正とかもあったり。

角度の補正が必要な場合がある

BC ヘッドフォンとVRの場合の悩みの点として、脳内に定位してよいのか?というのがあります。

ボーカルの音が脳の中で定位してほしいのか、 前方の仮想的なスピーカー位置で定位してほしいのか。

そして、前方にあるように鳴らす=音が濁る という問題があります。

ユーザーが違和感を感じないのは何か?

VRで音楽を流す場合であっても、 ユーザーは左右からだいたい音が鳴っていれば安心します。

そして、ステレオミックスした音楽を、立体音響系のエフェクトを通すと、破綻しやすいです。 

何が起きているかというと、スピーカーのそれぞれ独立した信号として鳴るという条件付きで、広がりの調整などが行われているため、 さらに空間の音響をかけると、それは残念な音になります・・・

ので、音楽は、ステレオで、そのまま流すのが、一番良い気がします。

ジャンルにもよる?

大きなライブハウスとかでは、音は左右のスピーカーから、ヘッドフォンで聴くかのような調整になっています。 

一方、クラシックやジャズのような、PAを通さない音楽のライブとかであれば、その位置から各楽器の音が聞こえるのが自然かもしれません。

ミックスの段階で前方にすればよいのでは?

BC ヘッドフォンとVRの場合

これは、これですごく気持ち悪い状況になります。 頭を固定していれば、すばらしい音響なのですが、ちょっとでも角度を変えたら、頭にヘッドロック(音像空間ごと移動)してくるので、 VR酔いに近いものを感じてしまうでしょう。

ヘッドフォンで音楽を聴くのに慣れてしまっている場合は、酔わないのですが、それは疲れない音の場合で、 
立体音響のような奥行の表現まである音の場合、頭が混乱しはじめて、非常に疲れるコンテンツになる可能性があります。 (短時間なら問題ないかもですが。。。短時間であっても、なるべくダメージを受けるのは避けたい)

VRはリアルタイムでミックスする

これ、なかなか実現が難しいのですが、 ステレオ素材にミックスするのではなく、 各音源のトラックごとに、空間に配置し、 さらにそれぞれの残響なども調整することで、 リアルな音の場が作れる可能性があります。

ただ、音源を用意するのはとても面倒ですね・・・ すべてステムでもらったうえで、ミキシングエンジニアとの共同作業になりそう・・・ 

ライブハウスくらいの音像を目指すなら、仮想のスピーカーから、それぞれのチャンネルの信号を流す か、 
ワールドにステレオで流してしまうのが良いかもしれないです。

仮想のスピーカーは、やっぱり音が劣化してしまう傾向(左右の音がまざってしまうことで、位置によって音がでこぼこしたり、 立体化のために低音が欠けてしまったり、 残響を付与すれば輪郭がぼやけてしまい、ディレイを入れれば、質の悪い会場のような音になってしまう・・・ = 音が濁る)

ゲームの場合はいろいろ組み合わせる

例えば、ボイスであれば、キャラクターの位置から再生される。見た目の位置と角度が合うように調整します。(3D配置+残響)

音楽はステレオでそのまま再生する。(ヘッドロック)

環境音やSEは立体音響的に配置する。(ヘッドロックまたは3D配置)

といった感じで、それぞれの役割ごとに音の配置のデザインをしておく。

角度変化が正しいか確認する

もし、サウンド再生側で、角度の計算が5.1ch向けとかになっている場合は、左右のミックス計算結果がおかしくなる場合があります。

ヘッドフォンで左-30度から鳴らしたいのに、左真横-90度から鳴ってしまうなど。 (ステレオミックスでの前方の定位が左右に広がりすぎてしまう問題)

VR空間でのリスナー位置はどこか?

ライブ会場とかであっても、S席のように、良い席なら音も正しいですが、すごい後ろの席とか、スピーカーの目の前とか、位置によって、音も変化してしまいます。 せっかくなので、どの位置にいても良い音で聴きたいと思うのが音屋さんの心情だったりします。  

ただ、せっかく位置情報とかあるのであれば、それも込みで建築的な視点で、音響をデザインするというのも悪くないかもしれないです。(なかなかハードルが高いですが)

例えば教会の鐘の音やコーラスの反響が空から降ってくる とか、 客席の左右や後ろにトランペットを配置してファンファーレとか・・・ 音を作る段階から最終的にどこに配置するかまで考えて作ると面白いかもしれません。



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