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ダビデの系譜

サムエル下7:25-29 
 
神はダビデに約束をしました。但し、神殿建設はダビデの手に任せませんでした。預言者ナタンからこの主の言葉を聞いて、ダビデは祈ります。主を称えるところを過ぎて、その祈りの終わりをいま味わいましょう。主のお言葉の通りになりますように。御名が崇められますように。聖書では、あちこちで現れるような祈りです。
 
ダビデの家が王の系譜としてここから始まるということは、嬉しい限りであったことでしょう。後に、北イスラエル王国は、血筋が続くことがなく、事ある毎に暗殺と革命が起こるばかりでした。まともな王家がつくられず、滅ぶのも早かったのです。南ユダ王国には、ダビデの血筋がつながってゆくことになります。
 
確かに、王国そのものはバビロン捕囚で使命を終えましたが、王家の人間はこの地上で生き残り続けました。復興した新たな国は、かつての大いなる神殿には遠く及ばないまでも、何らかの信仰の形は保たれたのです。そう思うと、ローマ帝国による神殿破壊とユダヤ人追放は、実に大きなショックな出来事だったに違いないと改めて思います。
 
福音書がきちんと作成されたのは、このユダヤ戦争の頃からのようです。福音書の成立は、この破壊を契機としてのことだったのではないか、とも考えられます。このとき、すでにパウロの手紙もありました。それでその手紙も、福音書も、一緒にまとまってゆき、やがて新約聖書として成立することになります。当初は組む必要さえなかったのでしょうが。
 
ダビデは、どうかこの王家がとこしえに続くように、と願いました。それくらいしかその頭にはなかったかもしれませんが、とこしえに主を称える国があるように、との意味でもあったのでしょう。いまここでのダビデへの祝福がまずあって、そこから祝福の鎖がつながつてゆきます。主の言葉の真実への信頼から、それは始まったのです。

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