VTuberの噂について検証する

 VTuber界も他の業界と同様に人気が過熱するとともに、さまざまな噂、根も葉もないデマ、内部事情の暴露などが横行するようになってきた。本記事ではそれらをすべて鵜呑みにはせず、可能な限り正確にVTuberに関する情報の精査を行っていきたい

 そのうえで少々いわゆる「魂」の事情について触れることになるが、「○○の中の人は××だ」と断定するようなことはしない。もちろん全VTuberの魂事情について把握しているわけではないが、本記事では触れていない件に関してはあえて書いていないものだと思ってもらいたい。

 また、本記事で取り上げたもの以外で検証の余地があるとみられる噂があれば、情報提供を願いたい。必要であれば、また別の記事で検証したい。

 キズナアイはYouTubeチャンネルをBANされたことがあるという噂

 事実である。そもそもキズナアイ本人が何度も自虐ネタとして扱っているうえ、BS日テレにてレギュラー番組として放送されていた『のばん組』も番組名の由来の一つとして「ばん」と「BAN」をかけている。下記に掲載するのは『A.I.Channel』が復活した直後の動画である。

 なお、実は『A.I.Channel』のみならず、ゲーム用チャンネルの『A.I.Games』もBANされたことがある。いずれも誤BANと思われ、『A.I.Games』に関しては幸いにも一日だけで復活している。

 ピンキーポップヘップバーンはTHE MOON STUDIO所属であるという噂

 おそらく事実である。これまで所属事務所が明言されたことは私の知る限りでは一度もないが、THE MOON STUDIOに所属する輝夜月と、ピンキーは生みの親(キャラクターデザイン)がともにMika Pikazo氏であり、ピンキー自身も輝夜月の後輩であることを認めている

 また、THE MOON STUDIOが企画するプロジェクト『KOTODAMA TRIBE』のキャラクターのひとりであるMERAと容姿が酷似していることからも、THE MOON STUDIOに所属しているものだと考えられる。

 電脳少女シロの運営会社である株式会社アップランドは何度も社名を変更しているという噂

 「何度も」という部分に関してはデマである。社名を変更したのは、設立当初の社名である「ギークエイジ」から「アップランド」へ変更した一度のみだった。こうしたデマが流れたのは、香港にて関連企業として設立された「アップエイジ」を日本の企業である「ギークエイジ」から社名変更したものだと誤認したことが原因であるとみられる。

 なお、アップエイジは2015年4月に株式会社アドベンチャーに売却されており、現在アップランドとの直接の関係はない。

 ばあちゃるの正体はアップランド社員である広沢拓馬氏であるという噂

 おそらくデマである。現在ソースとなる情報が削除されているため多くは語らないが、広沢氏はばあちゃるが活動開始した2017年8月時点では、アップランドとは全く無関係と見られる別の企業に所属していたことが分かっている。

 ねこます氏がバーチャルを引退したという噂

 半分事実、半分デマである。2018年7月よりYouTubeのチャンネルを持たなくなったことから、バーチャルYouTuberを引退したとは言っているが、その後も「バーチャルのじゃロリ狐娘元Youtuberおじさん」「VRの住人」「バーチャル一般人」といった肩書でニコニコ生放送への出演などの活動は行っている。

 アズマリムの運営が株式会社eStreamであるという噂

 少なくとも現時点では事実ではない。そもそもこの噂の根拠は「アズマリム」の商標を申請した会社が株式会社eStream(イーストリーム)であったこと、East(イースト)という英単語が「東」を意味することから「東(あずま)」とかけて「アズマリム」と名付けたと推測されることにあった。しかし、現時点では「アズマリム」の商標を申請しているのは関連会社である株式会社CyberVとなっている。

 また、株式会社DELTAGAMES代表取締役・上杉賢太郎氏による説明が下記の通りであることからも、少なくとも現時点ではアズマリムの運営会社は株式会社CyberVであるということになる。3社協業の3社がどこのことなのかは読み取れなかったが、正確なところはDWUの動画で明らかになるかもしれない。

 なお、DWUは「アズリムのコンサル」と称しているが、上杉氏によれば下記の通りである。いずれにしてもDWUの動画公開を待ちたい。

 ゲーム部プロジェクトの運営に、れそ氏が関わっているという噂

 事実である。ゲーム部プロジェクトを運営する株式会社Unlimited(旧社名・株式会社バーチャルユーチューバー)では、れそ氏が本名である上西恒輔の名前で取締役となっていることが登記簿謄本から分かっている。何故か情報源は明かせないとする者もいたが、登記簿謄本は誰でも申請すれば簡単に取得できる情報であり、秘匿性は低いものだろう。

 微糖カイジが著作権違反によりYouTubeチャンネルをBANされたという噂

 少々正確性に欠ける。微糖カイジとして運営されていたTwitterアカウントによれば「権利者から著作権違反による動画削除申請を受けた」とされているが、チャンネルをBANされたとは一言も言っていない。動画削除自体はあくまで自主的なものであるとみられ、実際権利対策した動画は投稿されており、少なくとも動画投稿のBANはされていなかったということが分かる。

 笹木咲がにじさんじを一度卒業したのは副業禁止の仕事に就くことになったためという噂

 デマである。正直、この件に関しては私も信じ込んでしまっていたため、偉そうなことは言えないが、2018年11月卒業から二ヶ月後に復帰した笹木自身によればにじさんじの規約により、配信でできると思っていたゲームができないことが分かったことが原因であるという。なお復帰理由は以前とはにじさんじの環境が変わったためであるということであった。

 ピーナッツくんは企業勢であるという噂

 デマである。とあるVTuberが唱えた噂であるが、根拠としてピーナッツくんが制作する自主制作アニメの初期に、動画クレジットにて「MODE AIM」というグループ名のような表記があったことがあげられている。

 しかし、そもそも動画のタイトルに「自主制作アニメ」と書かれている時点で、ピーナッツくんが企業勢であるという主張は矛盾しており、噂好きな5ch住民からも「ただのサークル名だろ」とろくに相手にされなかった。

 また、「MODE AIM」でGoogle検索すると、ピーナッツくんが個人でブログを執筆していたとみられる痕跡があり、そこでもやはり「自主制作アニメ」であると書かれていたようだ。

 しかし、件のVTuberはこうした事実を無視しつつ、ピーナッツくんのLINEスタンプを販売しているのが「MODE AIM inc.」であり、「inc.」は株式会社を意味するため、個人には名乗れないものだとした。しかし、こうした噂が広まると、ピーナッツくんと甲賀流忍者ぽんぽこは下記の生配信にて自分たちは個人勢であると否定した。

 なお、「inc.」の表記に関しては常識的に考えれば単なるミスであると分かりそうなものだが、やはりぽんぽこが意味もよく分かっていないまま書いてしまったものであるということであった。

 牡丹きぃの運営会社や人間関係のトラブルに関する噂

 正直、この件に関してはプライバシーに関わるものであり、多くは語りたくはないし、噂の検証という話からは少々ずれる。しかし、あえて言うなら牡丹きぃ自身を含めて、噂の登場人物全員が嘘をついている可能性がある時点で、何が事実なのか断定することなどできないだろう。

 また、仮に牡丹きぃに虚言癖があったのだとしても、本来管理、あるいは保護すべき立場だったのは相手の会社や男性のほうだろう。一連の騒動に対しては「誰に相談すればいいのかの判断すらつかず、自己防衛のために思わずついてしまった嘘」程度のことは許してやれないのだろうかというのが正直な感想だった。

 笹木咲と稀勢の里が同一人物であるという噂

 デマである。そりゃそうだ。

 一応真面目に説明すると、稀勢の里が怪我で休場していた期間に笹木がにじさんじゲーマーズとしてデビューし、稀勢の里が復帰するとともに笹木が一度卒業、その後稀勢の里が引退するとともに笹木が復帰するという奇妙な時期の一致から唱えられるようになったネタである。

 この件はTwitterのトレンドにもなるほどの話題性があったことから、AbemaNewsも面白がって取り上げたが、当然のことながら事実ではないと笹木自身が否定した。

 総論

 以上のように、噂というものは勝手に独り歩きしていくこともあるものであるが、安易にそれを信じ込むことはやめておいたほうがいいだろう。少しネットで検索するなどすればすぐに真偽を確かめられるような噂もあるし、そうでなくてもほんの少し待てば続報があることもある。受け手である我々は噂には踊らされず、冷静な判断をするように心掛けていきたい

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