見出し画像

舘澤史岳。フリーのライターです。
2020年5月より「マスクの向こう側」と題した
インタビュー記事を連載しています。
「コロナ前後にどんな変化があったのか」
様々な現場の方にお話を聞いたものです。

「なぜ、そんなことを始めようと思ったのか?」
よく聞かれることですが、実は深く考えたことがありません。
何となく、そうすべきだと思ったから、そうしただけです。

しかし、ある程度回数を重ねた今後
みなさんに納得して協力して頂くからには、
やはり、動機を拙いながも言語化して
「宣言」として記しておくべきではないかと考えました。

既に20名近くインタビューを重ねた後での言語化なので
多少の後付け感はありますが、ここに記しておきます。
良かったら、他の記事と合わせて読んでください。

==========================

人の姿、車の交通量、工場の煙突、飲食店のサインetc.

4月。自粛生活を送っている間、
ベランダから見える世界がほぼすべてでした。
そこで、世界がまだ動いていることを確認していました。

緊急事態宣言が開けた今はそんなことはありません。
マスクをして、少し息苦しいのを除けば
行きたいところに行けるし
食べたいものを食べられます。
でも、以前に比べると、
行動範囲はいちじるしく狭まりました。

コロナ前とコロナ後で世界は一変する。

早い段階から言われていたことですが、
具体的に何がどう変わるのかは、まだ分かりません。
それが一時的なものなのか
それとも未来永劫続くものなのか…
移行期間は今も続いています。

「アフターコロナの世界では…」
「ウィズコロナの世界では…」
マスメディアは盛んに言い立てます。
でも、そこで取り上げられるものに
私はいまいち納得できませんでした。

当然ですが、コロナによる影響は人それぞれです。
エリア、仕事、貯蓄、家庭環境、健康状態などによって
強いられる変化やストレスも異なります。

コロナが流行して以降
命の危険を覚えた人もいれば
金銭面で不安を感じた人もいるでしょう。
経済を憂慮した人もいれば
政治への不信感を覚えた人、
社会の分断を心配した人、色々です。

「休校中、子供の世話はどうすればいいんだろう?」
「赤ちゃん、ちゃんと産んであげられるかな…」
「県外ナンバーを見ると心がざわつく」
「大っぴらには言えないけど、チャンス」
「前向きなことしか言えない…苦しい」
そこには、一人ひとりのコロナ体験があります。

純粋に「それを知りたい」と思ったのが
私がこの企画を始めようと思ったのが、第1の動機です。

戦争体験というものは
実際に戦地に赴いた兵士だけのものではありません。
同時代に生きたすべての人が戦争の被害者であり
その経験すべてが、戦争体験と言えます。
貧しさ、飢え、抑圧、告発、故郷愛、同調圧力、拷問…
そのすべてをひっくるめた上で
「戦争」と言うものが見えてくるのだと思います。

コロナも同様です。
その中心部にあるウイルス感染としての
コロナそのものの恐ろしさよりも
それによって変わらざるを得ない社会、
それについていかなければいけない自分、
むしろ、そういった周辺部に
本当の恐ろしさがあるような気がします。

現時点でコロナが一体どれほどの被害、
どれほどの変化を社会にもたらすのか、
その全貌をつかむのは困難です。
でも、手を伸ばして、触れなければ
その大きさも、異様さも分かりません。

「お前は一体何者なのか」
それを問いたいと思ったのが、2番目の動機です。

コロナは、いずれ終息するでしょう。
ワクチンなのか、薬なのかは分かりませんが、
それが勝負だとするなら、人類は勝つはずです。
でも、10年、20年先から、今を振り返ったとして
単に「OneTeamで乗り越えた」「絆で打ち勝った」
そんな風に総括されるとしたら、それはあんまりです。
色んな意味で、許されることではありません。

でも、今の政権とマスメディアなら
本当にそうやって済ませてしまうかもしれない。。。
そんな風に思いました。だとすれば、
・何が起こったのか
・何が起こっていたのか
手探りでもいいから、日記的でもいいから
誰かが一人ひとりに耳を傾け
それをまとめて、編纂しておかなければ。

その危機感が今、私を動かしています。
協力者のおかげで、少しずつ輪は広がっています。
本当に感謝しかありません。ありがとうございます。

どこまで続けられるかは正直、分かりませんが
少なくとも、コロナが落ち着くまでは頑張ります。

よろしくお願いします。
2020/6/4 舘澤史岳
======================

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?