ゼノブレイド3から考察するゼノブレイドクロスとの繋がり
本記事ではゼノシリーズ(ゼノギアス、ゼノサーガ、ゼノブレイド(DE)、ゼノブレイドクロス、ゼノブレイド2、ゼノブレイド3(DLCを含む))のネタバレを含みます。
ゼノブレイド3から考察するゼノブレイドクロス
ゼノブレイド3ではゼノブレイド1と2を繋ぐ物語、シリーズ集大成として描かれました。とても素晴らしい作品ですね。
前置きはさておき、ゼノブレイド3のDLC「新たなる未来」からゼノブレイドクロスとの繋がりが考察できるぞ! となったので、考察していきます。なお、あくまで繋がりが考察できるってだけでゼノブレイドクロスやゼノブレイド3で残された謎を解決するものではない、というのは頭に置いておいていただきたいです。
前提 時系列の整理と暦
さて、まずゼノブレイドクロスとの繋がりは一旦置いておいて、クロスを除いたゼノブレイドシリーズの時系列から整理していきます。
主な情報源は「ゼノブレイドのED」「ゼノブレイド2 最終話冒頭ムービー」「セイレーン・デバイスの設定資料集」「ゼノブレイド3 新たなる未来 第5話冒頭ムービー」です。
ゼノブレイドシリーズの舞台となる惑星、地球
1つ目の前提として、ゼノブレイドの世界が分かたれる前の世界(以下、崩壊前の地球)は地球です。
ゼノブレイド2や3で描写は出てきませんが、ゼノブレイド2の「セイレーン・デバイス」設定資料集から「地球」だと明言されます。どんなところで言及してんねん。
ゼノブレイドシリーズの暦法はグレゴリオ暦と仮定
2つ目の前提として、崩壊前の地球が使用する暦法は我々と同じグレゴリオ暦だと仮定します。
我々が普段何気なしに使う1年365日、400年に97回の閏年を入れるのはグレゴリオ暦という「暦法」です。これから先、時系列に置いて年代を考えるのですが、崩壊前の世界は我々の地球と限りなく近いのです。(摂氏やらコンマやら)
そのため、採用している暦法も同様にグレゴリオ暦だと仮定して進めます。ここが違うとか考えだしたらさすがにキリがないです。
21世紀初頭、諸悪の根源ゲート発見
ゼノシリーズ、だいたいこいつのせいで何かが起こる。
ゼノブレイドシリーズの崩壊前の世界では21世紀初頭、アフリカにてとある大学の研究員がゲートを発見します。当初は発掘年代にそぐわないオーパーツとしてみなされていましたが、研究が進むにつれてエネルギー保存則を無視した一種の永久機関であることが判明。そのため統合政府は専任の研究機関を設立。これが「アオイドス」です。ゲートは複数の宇宙を繋ぐ扉「マルチバース・ジョイント」であり、これが地表に存在し何らかの事故を起こした場合、地球全体に大被害をもたらします。よってアオイドスは赤道上に3つの軌道タワーを建造し、それらの低軌道部分を接続することでオービタルリングを形成するプロジェクトを立案。このプロジェクトを統合政府が推進します。
そして、その研究拠点においてゲートを管理するために育成されたのが「トリニティ・プロセッサー」です。
アオイドス設立10年後
アオイドスが設立されてから10年後、アオイドスはゲートに関する中間報告を提出します。この時期に統合政府はアオイドスが考案した3つの軌道タワー(ラダマンティス、アイアコス、ミーノース)とその低軌道部分を接続するオービタルリングを建造するプロジェクトを推進します。
オービタルリングはアオイドスがゲートを地表から離れて研究するために、建造されたもので、ここで研究が推進されていきます。
トリニティ・プロセッサーの誕生
トリニティ・プロセッサー(ウーシア・ロゴス・プネウマ)は生体素子を採用したプロセッサーで、異なる仮想空間で育成されることで個性を獲得し、人の判断によらずしてゲートを管理運営するためのシステムを拡張していきます。
トリニティ・プロセッサーはゲートとオービタルリングを自衛するための兵器群をデザインしていきました。それがゼノブレイド2で登場するデバイスたち(セイレーン、タイタン、ガーゴイル、サーペント、アイオーン)です。
20XX年
事の発端となる年です。ゲートを保有する統合政府と反政府軍サルワートルとの戦闘が勃発します。これにより、セイレーン部隊は損耗率60%と全滅に近い損失を出し、局長はアイオーンを起動させるように指示。しかし、ゲートの管理権限がクラウスに移されたことで、ゲートへアクセスできなくなりました。
クラウスは世界を悲観し、ゲートを使用。これにより地球は崩壊。クラウスの半身とウーシアを含む多数の人々が異次元に吸い込まれ、元々の地球は荒廃。生き残った人類はコアクリスタルを用いることで生き延びようとし、失敗。グルドゥと化し、元いた人類を含め地球上の生物は全て絶滅したと推定されます。
これにより世界は巨神界とアルスト(=地球)に分かたれます。
ゼノブレイドクロスを除かないなら?
先程、ゼノブレイドクロスは繋がりは一旦置いておくと言いましたが、ここからがようやく本題です。
一見、世界観として繋がりを全く持たなさそうなゼノブレイドクロスとゼノシリーズ。しかし、新たなる未来第5話の情報から色々と繋がりを見出すことができます。よって、以下からゼノブレイドクロスも込みで時系列や世界観の考察を行います。
地球種汎移民計画という言葉に聞き覚え、ない?
ゼノブレイド3「新たなる未来 第5話」冒頭ムービーにて、ウーシアの記憶に残るラダマンティス直下の街、そこのニュースでは「第八次地球種汎移民計画」なる計画が実行に移されていることが説明されています。この計画は第十三次まで実施予定で、総計1000万人の人類を移民させる計画のようです。
ところで、この言葉聞き覚えありませんか? はい、そうです。ゼノブレイドクロスで発動した「地球種汎移民計画」とまんま同じです。どうなってるんや、おい。
ゼノブレイドクロスにおける「地球種汎移民計画」は以下のように説明されています。
ゼノブレイドクロスでは異星人のエルマによって、地球が異星人勢力の争いに巻き込まれることを告げられ、これに地球人類は備えています。地球の消滅を想定したことによって「統合政府」の誕生が後押しされ、人類のリソースをこの滅びの時に割きました。クロスで登場するドールなどの兵器の開発、移民計画などです。
クロスでは紀年法が西暦です。西暦2054年に事が起きました。エルマさんが地球にやってきたのは2020年代半ばとされます。エンディングにおいて「――今から30年前」と言っているので、ゼノブレイドクロスの現在は2054年から放浪の旅を続け2年後なので「2056年」が現在です。そこから「ちょうど30年前」なら、エルマさんがやってきたのは2026年です。
クロスの統合政府と地球種汎移民計画の謎
クロスにおける統合政府は地球消滅の事態を30年以上前に予見し、それによって統合政府が設立され人類は来たるべきときに備えています。
そして西暦2054年にとうとうその時がやってきてしまいました。白鯨はその時、飛び立って地球から脱出し放浪の旅に出ます。
しかし、1つ考えたいのが、クロスの統合政府が実行する計画が遅すぎることです。エルマさんは2026年頃に地球にやってきています。エルマは当時の地球に地球外の技術を提供します。これらによってドールや光速を超えて航行できる移民船が開発されています。
我々の世界の技術の進歩がそうであるように、技術の進歩は時に爆発的に速いです。地球が消滅するくらいの事態が起こることを予見し、様々な少数派の意見を無視して統合政府が当時の人類のリソースを全て来たるべき時に注ぐのならば、白鯨ら移民船は「その来たるべき時」に飛ばすべきではないです。
もっと早くから飛ばしておくべきではありませんか? ゼノブレイドクロスにおいて、統合政府は「地球消滅という自体」を想定して出来上がった組織である以上、その来たるべき時に移民船を一斉に飛ばすのは考えづらい。こう、考えられないでしょうか。
リスクヘッジとして、白鯨以前にも移民計画を実行していると考えられないか、と。
語られた第八次地球種汎移民計画
話はクロスから崩壊前の世界に戻ります。
ウーシアの記憶では、当時の統合政府は第十三次までの移民計画を予定しており、総計1000万人の移民団を「いて・りゅうこつ腕 イータ・カリーナ」へ移送するプロジェクトを推進しています。
年代は不明ですが、5月16日水曜日に第八次計画が発動し、母船イカロスが48万人の移民団を乗せてイータ・カリーナへ向かっています。そして本年度中(統合政府がアメリカをベースとするならば、恐らく9月までに)に9〜13までの移民計画を実行する予定だったようです。
さて、崩壊前の地球でその移民計画を行う必要性は何でしょうか?
当時の人類は今の我々では成し得ない軌道タワーの建造や永久機関たるゲートの獲得により、繁栄を極めています。
そんなに繁栄を極めておいて、オービタルリングにすら居住空間があったのにも関わらず居住地が不足したのでしょうか。
それとも、クラウスが語ったように「地表を焼き尽くし」てしまったから移民する必要があったのでしょうか。
まず、前提として崩壊前の地球世界らが技術以外は我々と極めて近しい環境に置かれている場合、総人口も同規模程度だと想定できます。
今の我々の世界の総人口は推定約80億人。80億もの人々が、この地球に暮らしています。
一方、崩壊前の地球で統合政府が実行した移民計画では13回やってたった1000万人の人々です。
地表を焼き尽くし、地球が荒廃してしまったため移民する必要があったとするならば、その人数は少なすぎるし、繁栄しすぎて国土が不足したと考えても「イータ・カリーナ」は遠すぎます。
当時の人類がオービタルリングのようなものが建設できるなら、例えば国土不足であればガンダムシリーズのような「スペースコロニー」を地球近くに建造すれば済む話です。いて・りゅうこつ腕イータ・カリーナは地球から推定で6500光年から1万光年近く離れています。土地不足を動機として移民計画をやるなら、チョイスとしてあまりに遠すぎる。もっと別の目的があったと考えるべきです。
では最大で1万光年も遠い場所に1000万人という人類を飛ばす動機は何でしょうか。それは、統合政府が地球が消滅するという自体を予見していたからです。
いて・りゅうこつ腕はあまりに遠すぎる
ウーシアの記憶にある実行に移された移民計画の移動先「いて・りゅうこつ腕 イータ・カリーナ」は実在し、その距離は先述の通り推定で6500光年から1万光年と地球からとても遠い場所です。ここに移民船を飛ばす場合「光速を超えて航行」ができる技術が必要でしょう。
そう、「光速を超えて航行」できる技術です。ゼノブレイドクロスでは、エルマによる技術提供によりドールの開発や「光速を超えて航行できる移民船」が存在します。白鯨もその1つです。
我々が知り得る移住可能な可能性がある惑星として、最も距離が近いものに「プロキシマ・ケンタウリb」という惑星があります。これは4.2光年の距離にある惑星です。他にも12光年離れた「ティーガーデン星b」があります。
統合政府が推進していた移民計画、例えばその理由が土地の不足や荒廃に起因するなら、先述の惑星に行けば良いです。近いのですから。
仮に、その惑星らが居住に適さないと統合政府が知っていたとしても、他にも選択肢はあります。
では、なぜイータ・カリーナへ向けて人類は旅立ったのでしょうか。
そもそも、イータ・カリーナは惑星ですらありません。イータ・カリーナとは星雲の名前です。移民計画の移動先として、普通は「惑星名」を出しませんか? 星雲の名前を出すのはなぜでしょう。
それは、ゼノブレイド崩壊前の世界の統合政府が実行する移民計画の目的が「移住に適した惑星に移動する」ことではないからです。
では目的は何か? それは「地球からの避難」です。
ゼノブレイドクロスとゼノブレイドシリーズはちゃんと繋がっている
ゼノギアス/ゼノサーガには統合政府という存在は語られません。出てくるのはゼノブレイドシリーズでのみです。
ゼノブレイドクロスを無かったことにしたい場合、セイレーンの設定資料で語ったように変に繋がりを持たせるべきではありません。例えば「国連」とか「世界政府」とか、言い換えはいくらでも可能です。にも関わらず、セイレーンの設定資料では統合政府の存在が語られ、ゼノブレイド3においても同様に統合政府が移民計画を推進している描写をわざわざ字幕付きで入れています。
これはちゃんと意味がある描写だと、捉えるべきです。
ゼノブレイドクロスにおける統合政府とゼノブレイドの崩壊前の地球に存在する統合政府、これは同一の存在なのではないでしょうか。
つまり、ゼノブレイドクロスもゼノブレイドシリーズと同じ世界線に位置する物語なのではないか。これが私の考察です。
統合政府を同一存在だと仮定した場合、色々と仮設が成り立ちます。
よって、今からゼノブレイドクロスとゼノブレイド崩壊前の世界が同一であると仮定し、時系列を整理していきます。よって自動的に崩壊前の世界の紀年法は「西
暦」となります。
21世紀初頭、ゲート発見
先述の通り、ゲートを発見します。
西暦2026年頃 エルマが地球に来訪
エルマが地球に訪れ、技術提供を行う他、人類が自分たち以外の異星人の存在を認知します。これらによって「地球消滅」という事態が想定され、統合政府が設立されます。
アオイドス設立10年後、中間報告提出と軌道タワーの建造
アオイドスが設立されてから10年、ゲートに関する中間報告を提出します。これと同時期に統合政府は3つの軌道タワーを建造し、それら低軌道部分を接続するオービタルリングを建設するプロジェクトを推進します。
トリニティ・プロセッサーの誕生
ウーシア、ロゴス、プネウマらがゲートの管理と運営を目的に誕生します。この時期から記憶が始まったと推定されます。
西暦20XX年5月16日 第八次地球種汎移民計画 発動
ウーシアの記憶により、5月16日水曜日に母船イカロスを使用した第八次地球種汎移民計画が実行されます。
この時の年数は曜日から推定が可能です。
ゼノブレイドクロスとゼノブレイドシリーズが同一世界であることが真の場合、それは西暦2054年よりも前の年に限定されます。そうすると、グレゴリオ暦における5月16日が水曜日になる年は以下の年です。
2018年
2029年
2035年
2040年
2046年
このうち、エルマさんが地球にやってきた時期は「2026年頃」であることから2018年は除外されます。また、来訪からたった3年で3つの軌道タワー建設とオービタルリング建造を進めるのは現実的に難しいと想定した場合、エルマさんがやってきてから僅か3年後の2029年も除外できます。よって、ウーシアが記憶する崩壊前の地球のあの日の年は2035年か2040年か2046年の3つのうちどれかです。
西暦2054年 7月 事の発端
グロウスとゴースト、2つの異星人勢力が地球を巻き込んだ戦争を勃発させます。これにより「地球種汎移民計画」が発動。白鯨を含む、数多の移民船が空へと飛び立ちます。
同じ時期に反政府軍サルワートルが統合政府に対して戦闘を仕掛けます。統合政府軍はこれに応戦。しかし、戦況は芳しく無く押されていきます。
そして、クラウスはゲートを使用した実験を強行。これにより地球は消滅され、世界は2つへ分かたれました。
私はこの時、ゲートが原因で地球近郊で戦闘を行っていたグロウスらがぶっ飛ばされたと考えています。そしてゴーストを含む、戦闘を行っていた大半の異星人勢力も巻き込まれて消滅か壊滅。
ゼノブレイド2では「20XX年」としか語られていない実験強行のあの日、グロウス対ゴーストの戦いも起きていたと考えたらゼノブレイドクロスにおける地球消滅の謎も、惑星ミラの謎も「ゲートのせい」として片付けることができます。
ゼノブレイドクロスとゼノブレイドシリーズの繋がりの補完
エルマはコールドスリープ技術を用いた移民船もあったと語りますが、それは数万人程度しか乗せられなかったと言います。白鯨と同規模で白鯨が2000万人のデータを搭載できるのに対して、コールドスリープだと数万人しか搭載できないと。
で、思い出してほしいのは母船イカロスの搭載人数。イカロスは「48万人」の移民団を乗せて旅立ちました。めちゃくちゃ多い。
この時期には既にセントラルライフで用いられた技術が実用化されていたと考えられます。更に後続のフィラデルフィア級には150万人が搭載できるとのこと。
白鯨が2000万人のデータを搭載できたので、第十三次までの移民計画によるリスクヘッジのあと、コンピュータの性能向上によって白鯨らの世代では2000万人まで増加できた。
遺伝的多様性を保つためには、運ぶデータの数は大いに越したことはありません。白鯨らがあの日いきなり飛び立たなくてはいけなかったのは、コンピュータの性能向上を待ち、少しでも移住先の惑星で遺伝的多様性を保とうとした統合政府の意向があるのではないでしょうか。
以上です。
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