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解放された夢

学生だった時代が遠い日になった今でも学校に行く夢を見る。
学生時代の夢ではない。
通っていた学校がベースになってるようななってないようなどこかの学校だ。
そして夢の中でもぼんやりと社会人になってからの意識がある(具体的には「車を運転できる自覚」がある)
遅刻しそうで「車で行っちゃだめかな……」とよく思っている。遅刻しそうというか、もう手遅れだろうって時間なのだが。
もう学生ではないので、どの教室に行けばいのかわからない。教室にたどり着けても自分の席がわからない。席に座れても時間割がわからない。
学生服を着ているけど、学生じゃないので。何だあの夢。

それと並んで、前職の夢もよく見る。前職の頃の夢ではない。
前職は飲食店で働いていた。割と長く居座っていたが、異動で新しく来た店長との相性がすこぶる悪く、雑に扱われてるのにキレて辞表を叩きつけ「もうこの店の系列では働けないぞ」という脅しともとれる言葉に「望むところです」と返して辞めた。
厳密にはいろいろあって辞められるまで半月ほど働かされて、その間に店長がまた異動して新しい店長が来たりもしたが、前言撤回することなく辞めた。
わたしが辞めたあと特にレジ周りで混雑が増えたと聞いてざまあみろと思ったりもした。
閑話休題。
夢の中では、わたしが雇われた頃の店長がいて、呼び出された感じで店で働かされている。ブランクがあるのでレジの使い方もわからなくて困ってしまう。
起きてから「なんでまだあそこで働かなきゃいけないんだ」と呻くこと数年。今の仕事の勤続年数が前職を上回るほどの月日が過ぎた。
そして今日もまた、遅刻に焦りつつかつての職場で働くことになった。が。
「わたしはここを辞めたんだ!」と気づいた。明晰夢というわけではない。
「わたしはもう辞めたからここで働く必要はない!」宣言すれば、夢の中の店長も「そうだよ」と同意した。
ので、夢の中のわたしは速やかに従業員出入り口から飛び出した。
ようやく夢の中でもあの店に行かずに済むようになったようだ。
願わくば、そのままもう二度とあそこで働く夢を見ませんように。

奇特なお方向け