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誕生日である

31のバースデークーポン、以前はレギュラーシングルがひとつ無料でもらえるものだったと思うのだが、今回は『レギュラーシングルひとつ買うと、レギュラーシングルもうひとつ無料』というクーポンだった。
レギュラーダブルにはならないので、カップはふたつ。スプーンまでふたつにしなくてもいいのにな、とは思ったがまあ後の祭り。

閑話休題。
誕生日である。だからといって特に何もない。
小学生の頃は夏休み中だったので、誕生日を友達に祝ってもらった記憶は少ない。
いや、今も部屋の片隅にはプレゼントとしてもらったぬいぐるみが置いてあるので、祝ってもらったことは確かにあったのだ。小学生までだったが。
今ではTwitterで誰よりも先に自分で自分の誕生日を祝うことにしている。
そしてソシャゲの誕生日お祝いキャンペーンに奔走する。

母曰く、「この時間頃に破水した」らしい。この文章を書いている今でなく、日付の替わった頃である。
父が出張で家にいないタイミングで破水して、祖父に車を出してもらい病院に走った話は聞いていたが、てっきり早朝の話だと思っていた(早朝に生まれているので)
今日は布団を独り占めできるぞーと寝ようとしたら破水しててんやわんやだったらしい。早朝も迷惑だが、夜中なのも迷惑すぎる。
そもそも逆子だったというのもあって、産まれる前から大迷惑かけすぎで申し訳ないにもほどがある。
てかこの歳になって新情報がまだ出てくるのかよ、己の誕生エピソード。

母にとってわたしは初産であった。
初産は遅れて産まれると聞いて、8月生まれの母は母娘で同じ誕生日なんてこともあるのかな〜なんて思ったりもしていたと聞いたことがある。
実際は予定日よりもずっと早く、しかも滅多に出張などない父が出張で不在の夜中に破水。不意打ちがすぎる。申し訳ない。
逆子であったのもあって、帝王切開となってしまった。(このため、小学生の頃のわたしは『赤ちゃんはお母さんのお腹を切って取り出すもの』だと思い込んでいた。冷静に考えると怖い)(しかし近年、出産時には股を切るものなのだと聞いて震えている。どっちにしろ切って縫うのか。出産怖い)

最初にこのエピソードを聞いたのはいつの頃だったか。何度か聞いてるように思う。
いつぞやか、テレビから聞こえてきた歌につられて「わたしが産まれた日の空って覚えている?」と母に尋ねたら、こんなドタバタな出産だったため、日が昇る前に病院に行きそのまま空を見る暇もなかったと返された。申し訳ない。

いくら腹の中にいる頃とはいえ、わたしの性格からしたら予定日を過ぎても居心地のいい場所を離れようとしなかったと思うのだが……と口にしたところ、「死にかけたからでは?」などと予想外の返事がきた。
母の憶測であるが、わたしはへその緒が首に巻き付くなどして死の危機にあったようである。
産声も弱々しく、生まれてすぐには抱かせてもらえなかったと聞いた。
……なぜ憶測なのかと言えば、何があったのか尋ねても「今元気なのだからいいでしょう」と言葉を濁されたらしい。
なるほど、己の首を絞めるのは産まれる前からの悪癖か……と変な納得をしてしまった。そんな納得するな。

そんな他人にとってはどうでもいいエピソードであるが、せっかくなので記しておこうと思う。
わたしは自分の腹の中を誰にも見せずに墓まで持っていくつもりであるが、少しぐらいは誰かに見せてもいいのではないかと思うのだ。

奇特なお方向け