【無料】あと311日(たぶん):檄文
人間は弱いから、どうしたって徒党を組んでしまう性質がある。その時、当たり前だけど似た境遇の者同士が集まることになるし、そうなると相乗効果でよりその性質が濃く煮詰まっていくことになる。そして環境から受ける影響は絶大で、気づけば自分の考え方は変わっていくし、考え方が変われば行動が変わるし、当然ながら結果も変わってくる。
僕は二ツ目昇進が早かったことと、たまたま少し上の世代に才能豊かな方々たくさんおられたおかげで、早い段階から成金世代はじめ勢いのある方々と行動を共にすることができた。ソーゾーシーもそうだけど、勢いがある皆さんの周りにはとても良い風が吹いていて、そこでなされる会話は「今度こんなことをやろうと思っている」とか「いつかこんなことができたらいいな」とかそういう感じで前を向いている内容で、実際そういう場所には思いがけない仕事や出会いが勝手に集まってきたりもする。僕がやるべきことをやれたのは、外には良い風が吹いているということを実感できていたからだ。
良い風が吹いている現場に居続けるためにはもちろんしんどいこともある。才能なんて上を見たらキリがないし、自分にないものなんて探したら無限に見つかる。その上で、なんとかそれを埋めるために試行錯誤する。右往左往する。現状に満足せず、少しでも核心に近づこうと常に歯を食いしばって手に力を込める。それを努力と言ったりする。
それらを放棄して、同じような境遇の先輩や仲間と愚痴や悪口を言って傷を舐め合いながら飲む酒は美味しいか?そんな夜が楽しいか?そんな夜を過ごすために会社を辞めて、ある程度安定した将来を捨てて、弟子入り志願したのか?「落語をやってみたいな。でも自分にできるかな。大丈夫かな」とたくさん悩んで、それでもやってみたいと思って、自分の将来に希望を抱いて、勇気を出して「弟子にしてください」とこの世界に飛び込んできたあの時の自分と、今の自分は地続きか?
そんなことだろうなと思っていたことを、そのまま突きつけられて、こうして檄文を書きなぐることになった。そしてこれもまた、すぐに愚痴の材料となって消えていくのだろう。
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