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【無料】あと225日(たぶん):現在落語論の先へ

7月12日
 初心者向けに落語について解説する、というような類の仕事に行ってきた。司会の方が事前に現在落語論を読んでくださっていたようで、それを元に全体の段取りが組んであったけど、あれからもう8年ほど経っていて、当たり前だけど今の自分の関心ごとは現在落語論には書いていない方向に移っているのだった。

 現在落語論を書き切れた大きな動機は、前例がない進み方をしようとしていたからこそ「こういうことをやろうと思っています」と業界内外に宣言したかったこと。今以上に何者でもなかったから、自分がやろうと思っていることに説得力なんてなかったし、まともに取り合ってもらうことすらできなかった。それでもたぶんこっちの方向も可能性に満ちていると自分は確信を持っていて、それを言葉にした。

 あの時に比べると、今では少しはこれまでの実践を通してあの時記した道に説得力が出てきたと思っている。その道中でさらに「落語ってなんだろう」と考え続けてきたから、今ではよりくっきり落語を捉えられているつもりで、それを真打になるこのタイミングでまた本にできたらと思う。落語じゃないところでガッツリ活動していた自分だからこそ、落語である意味を問わずにはいられない。だって、別に落語家にならずともあの頃の活動の延長で着物を着てネタをやることだってできたけど、そうじゃなくてわざわざ落語家の系譜に名を連ねる選択をして、こうして活動させてもらっているのだもの。その経歴が自分の強みなのだと、最近は考えるようになった。

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