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【無料】あと173日(たぶん):あと272日

9月2日
 今日の昼、Xで発表しましたが、

この度、2025年6月1日付で真打に昇進させて頂く運びとなりました。これまで沢山の皆様にご指導、応援して頂きましたこと感謝申し上げます。益々精進しる所存です。今後ともよろしくお願い致します。

 ということで、去年の7月から銀座博品館劇場で5カ月連続開催した真打トライアルを経て、師匠・談笑から真打昇進の内定を与えられたのが2023年11月のこと。それから10ヶ月ほど経って、ようやく2025年6月1日付けで昇進することが正式に決まりました。

 例年3月から5月にかけて、他協会の真打昇進興行が催されることが多く、自分の披露目をそこに被らせてしまうのは無作法だし、お互いというか自分にとってもプラスは無いと思っていました。そして、2025年に昇進するとして、立川流内でもちょうど真打昇進時期に差し掛かっている先輩後輩が何人かいる中、これで自分が10月・11月など下半期の昇進となると、たぶん「先に内定をもらった吉笑より先に昇進するわけにはいかない」と気を使ってくださる優しい方ばかりだから、自分より後に昇進しようと判断され、そうなると立川流全体の真打昇進が後ろ倒しになってしまうとも思いました。それは避けねばならないと。
 上半期かつ、他協会の披露目と被らないタイミングで昇進しようとすると残されたのは1月、2月、ぎりぎり6月(6月の半分くらいは落語芸術協会の披露目が入る)。お正月直後の1月は昇進に適していない気がするし、6月は日程を工夫すれば他協会の披露目とは被らないけど、そもそも梅雨時期で雨が多くなりそうだし、となると、寒いし雪の可能性もあるけど2月の下旬に昇進するのが妥当だろうと考えました。
 手帳を見ると、2月22日が三連休の初日で土曜日でした。2が並んでなんとなく覚えやすいから、この日に昇進する方向で準備を始めたのが、今年に入ってすぐの頃です。
 4月1日から始めたこの『真打前夜』マガジンでも、「2025年2月22日まであと327日」とカウントダウンを始めました。それで言うと今日は「あと173日」ということになっています。

 真打昇進披露パーティーの準備と披露興行の準備をぼんやり始めてみて、少し事情が変わりました。まずは落語立川流が今年の6月6日一般社団法人となりました。僕はその準備委員だったというか、少し裏方の作業を手伝っていたこともあって、法人化に向かって動いていることはもちろん知っていましたが、本当にこのテンポ感で実現するとは実は思っていませんでした。なんだかんだここからあと数年はかかるんじゃないかなぁと。
 それが師匠方や準備委員を束ねてくださった志らら兄さんの尽力により今年の6月には法人化されることになりました。そして、代表が志の輔師匠、副代表が談春師匠・志らく師匠という凄まじい布陣で。
 法人化されたとして、何がどう変わるかなんて分からないけど、よく考えたら法人化して最初の真打昇進が自分になることに気づきました。自分にとって都合の良い解釈ですけど、おこがましくもそこに何か運命的なものを感じました。2022年に真打計画と銘打って真打昇進について動き出して、その年に立川流としては17年ぶりにNHK新人落語大将を受賞して、2023年に師匠・談笑と同じ形での真打トライアルを開催して師匠から内定を頂いて、さぁいよいよ昇進しようというタイミングで立川流の体制が変わるなんて、どういう偶然なんだと。
 そしてこれも自意識過剰の極致なんですが、このタイミングでの自分の真打昇進は今後の立川流にとってもひょっとしたら何かの分岐点になるかもしれない、と感じました。正確には何かの分岐点になりうる要素の1つだろうなと思いました。だとすれば、自分ができる精一杯の形で真打昇進しなくちゃならないと使命めいたものを感じました。

 そうなると、当然ながら新しくなった落語立川流の最初の真打昇進パーティーには代表・副代表全員に出席してもらわねばと思いました。もちろんこれまでも、尊敬しているお三方だからパーティーに出席してもらいたいとは思っていたけど、超売れっ子の皆さんだから、特に土日祝で全員のスケジュールが合うことは不可能だろうなぁと思っていました。
 ただ、やっぱり自分の披露目に新しい落語立川流の象徴的な役割を担わせるなら、なんとか調整をせねばならないと強く考えるようになりました。

 当たり前ですが、2025年の2月~3月あたりの土日祝で全員の日程が合うタイミングはなく、後ろにズラすか、平日開催にするかなど、色々な可能性について検討しているときに、その他いくつかの偶然が重なり6月・7月あたりにした方がいいかもと考えるようになりました。そして師匠方のお手を煩わせながら何度も日程調整に付き合って頂いた結果、6月だと奇跡的に1日だけ、代表・副代表のスケジュールが合うことが判明しました。それが6月30日のことでした。

 そこからその唯一の1日に開いているパーティー会場を探し、思えば6月は結婚式シーズンということでなかなか会場探しも難航したのですが、結果的には理想的とも言える形で会場も決まりました。
 6月昇進とすると、月初めの1日が日曜日。立川流が法人化して丸1年の6月6日が金曜日と、どちらも日程的にはキリが良く、ここでも自意識過剰な僕は「運命だ」と思いました。
 そして結果的には6月1日で昇進しようと決心したのは7月末のことです。

 そこから一門の師匠方、先輩・後輩にまずは先にお伝えをさせて頂き、それらが全て終わった今日、晴れて皆様にもようやく真打昇進決定の報告ができることとなりました。

 ということで、これまで「真打昇進まであと173日」と思っていたのですが、改めて計算すると、約100日延びて「真打昇進まであと272日」となりました。

 2月末で昇進できるつもりだったから、今年の11月12月に開催する全国ツアーを「二ツ目ラストツアー」と銘打っちゃったけど、2025年になっても5月いっぱいまでまだ二ツ目で、もしかしたらまた各地を回ることになるかもしれないから、しれっと「二ツ目集大成ツアー」と名前を変えたりしました。
 2月22日以降は、パーティーや披露興行など色々と予定が埋まるだろうからと仕事をほとんど取らずにスケジュールをほぼ全部空けて準備していました。その結果通常は一番忙しくなると言われている二ツ目最後の3ヶ月が現時点ではほぼほぼ何も仕事が入っていない状態となっています。まぁそれも自意識過剰な僕は、こんな風に二ツ目最後の約100日が空いていることなんて何かの運命に違いない、と考えて、その空白の100日はここでもう一段階自分の芸を向上させるために使いなさい、と落語の神様から与えられたものに違いないと思い始めています。

 と、とても長くなってしまいましたが、色々なことがあり、それを自分にとって良い風に解釈しながら、一生に一度の真打昇進を悔いの残らない形で実現しようとした結果、真打昇進まであと272日となりました。

 今後とも応援して頂けたら嬉しいです。頑張ります!

 ※タイトル写真は真打昇進祝いに静岡の席亭さんから頂いた特注スニーカー。まさか大幅に昇進日がずれるとは席亭さんも僕も思っていなかったので、「2025」「2.22」と今となっては、なんてことない二ツ目時代のある一日の日付が刻まれています。でも、これも記念になるなぁと仕事の時はいつも履いています。


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