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この笑顔120円

「商品番号F-01、熱量154kcal、タンパク質1.5g、脂質10.1g、炭水化物14.0g」

お世辞にもヘルシーとは言えないこの魅惑的な輪っかを持ち、昔見たCMの子役よりも幸せそうな笑顔で微笑む写真が目に入った。

その日は3月14日。
世間はホワイトデーに賑わいを見せ…いや、案外コンビニの棚に溢れかえる割高なホワイトデー商品達がそう錯覚させているだけなのかもしれないが、少なくとも、社内のSlackチャンネルを見るとTATEITO3rdプレイスと呼ばれる場所においては、普段よりも多くのお菓子がデスク上に並び、楽しげな様子が見てとれる。

その1日前に投稿されていたのが、件の写真だった。
写真に写る彼は、TATEITOのインターン生であり、エンジニアチームのエース的存在だ。
2018年からインターンとしてTATEITOに入社し、学業とインターンを両立、また一時は大学を休学してまで自身の人生についてTATEITOインターンに注力する形で見出そうとするほど熱く情熱的で、なおかつ理知的でもある彼は、2023年の3月、大学とTATEITOインターン両方からの「卒業」を間近に控えていた。

これを書いている私は、実は彼についてよく知らない。

実のところ、上記の話は社内のあらゆる媒体から知った間接的な彼の人物像であり、私自身は直接会ったことはおろか、話したこともほとんどないのだ。
そのため、「優秀で信頼の厚いエースである」というイメージだけが私の持つ彼への印象だった。
そんな彼が、それはそれは幸せそうな顔で微笑んでいる……その手にフレンチクルーラーを掲げて。

フレンチクルーラー。
日本で有名なドーナツショップである「ミ○タードーナツ」の看板商品の1つであり、1973年に発売されてから不動の人気で、今もなおレギュラーメニューに君臨し続ける一品だ。
聞けば社内の一人が彼に卒業祝いとして、少なくとも10個は持っていく事を約束していたそうで、彼はそのフレンチクルーラーがとても大好物らしい。
「10個も食べたら太るぞ」
「スタイルが良い人なのにたくさん食べるんだな」という感想が頭に浮かびつつ、ふと思い出した。

印象の元となったもの

TATEITOとご縁ができた当初、完全在宅での勤務となる私は社内の雰囲気を知るため、RUUUNに投稿されている社内動画と、社外PR用に設けられていたFacebookの投稿を過去に向かって見漁っていた。

そこで彼の「トリセツ」動画を見た際に語っていた「将来の夢は、お金持ちになること」「TATEITOに入ろうと思った動機につながる最も古い記憶は、"ロバート・キヨサキ著:金持ち父さん貧乏父さん"であること」という内容が目に留まり、Facebookの投稿では「大好きなフレンチクルーラーが10個も!」というタイトルで、フレンチクルーラーと共に微笑む若き日の彼を目にしていたのだ。
その時は「フレンチクルーラーとお金に飢えた人なのだな」と思った事を覚えている。

以降の業務では、まれに業務連絡等でやり取りをする機会はあったものの、ゆっくりと会話や雑談をするタイミングは訪れなかった。

月日は流れ。

卒業を間近に控え、色々な経験を経た彼の発する言葉や、投稿された社内動画、広報が行ったインタビューなどを見るに、彼の中での「お金」というモノへの思いが、「ぼんやりとした金銭欲」から「自身の目標実現のための明確な手段」に変わっているのだろうという様子を感じている。

特に、社長と彼の対談動画では「当時はお金持ちになることで自身の何かが変わると思っていたけれど、今は家族のためや社会へリターンできるような能力を身に着けたいという意味で、"お金持ちになりたい"という思いへの動機が変わっている」と語っていることからも、きっと、これまでのTATEITOインターンを通して自身の人生観や目標について、何か確固たるものを見出し、満を持して社会という大空へ旅立とうとしているのだろう。

人柄について何も知らず、近くにいない私ですら彼から感じる「成長」のオーラは、まさにTATEITOの理念である「感謝、貢献、成長」を表しているのではないだろうか。

そして、変わらないのは「フレンチクルーラーに飢えている」ということだ。

4月を迎え「自身の作るサービスで世の中に貢献したい」とよく話していた彼は、TATEITOの全員に祝福されながら羽ばたいていった。
いずれきっと、大物となって雑誌などに載る日が来るだろう。
その時はぜひ、フレンチクルーラーを最低10個は持参して、彼に会いに行きたい。


TATEITOの猫