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【ちょっとした感想文】『作曲少女Q 曲作りに悩み始めた私がやらかした12の話』仰木日向

なんとなく身体が重い。。

やる気がでない、行きたくない、めんどくさい。

あれこれ考えれば考えるほど動きが鈍くなる。

仰木日向さんの『作曲少女Q』の中に、そんな時に一歩踏み出せそうな言葉がありました。


『作曲少女』

登場人物は、平凡な女子高生・山波いろはと、クラスメイトの天才作曲家女子高生・黒白珠美(たまみ)、主にこの二人の問答で物語は進んでいきます。

前作『作曲少女』は完全作曲素人のいろはが、珠美こと「珠(たま)ちゃん」の14日間のレッスンによってオリジナル曲を1曲完成させて成功体験を積む、というお話でした。

今回の『作曲少女Q』は、めでたく作曲ができたいろはが、その後さらなる作曲の壁にぶつかりながらも、珠ちゃんと試行錯誤していく姿が描かれています。

本書は、音楽や作曲にかかわらず、すべてのクリエイター、何か新しいことを始めようとする方にとってヒントになることがふんだんに盛り込まれています。

私も随所で目が覚めるような体験ができたので、この本に出会えて本当によかったと感謝しています。

装丁にだまされたと思ってぜひ一読されることをおすすめします。

モチベーションがまったく上がらない時の話

前作『作曲少女』では、作曲素人のいろはが作曲のプロとしても活躍する珠ちゃんから曲作りについて教えを乞う、という構図なのですが、本書の「モチベーションがまったく上がらない時の話」では立場が逆転します。

依頼を受けた作曲の納期が迫る珠ちゃん。ふだんはクールな彼女が、なぜかどうしてもやる気が出ずに焦ります。

そんな時、相談を受けたいろはがかけた言葉が珠ちゃんの道を開くのです。

(※以下・ネタばれ。いろはは編み物が得意だけど、本人はその腕前に気づいていないという設定)

いや、やる気って、やってる途中で出てくるみたいなとこあるじゃない?特にお裁縫とか編み物って、最初の一針目って別に楽しくないんだけど、やってる途中でだんだんこう、なんかゾーンみなたいな?編み物ハイみたいなそういう感じになってくるか、最初からやる気満々っていうのはあんまりないんだ。 (中略) だからまぁ……どうしてもやる気がないけど間に合わせなきゃいけないっていう時は、”とりあえず一針入れる”かな

作曲少女Q 曲作りに悩み始めた私がやらかした12の話』仰木日向 モチベーションがまったく上がらない時の話 より

いろはがさらっとそう答えるのを聞いて、珠ちゃんはピンときます。

『一針だけ入れる』……つまりこれを作曲に置き換えると『ワンフレーズだけ作る』……だな

作曲少女Q 曲作りに悩み始めた私がやらかした12の話』仰木日向 モチベーションがまったく上がらない時の話 より

そしてこの後は、いつもの珠ちゃんらしくあれよあれよといくわけです。

編み物の一針目

この「編み物の一針目」という考え方は、誰しも思い当たるフシがあると思います。

やらないことがあるけど、なんとなくアレコレ理由をつけては避けたり逃げたりしたくなる気持ち、よくわかります。

私もいつもそう。極力めんどくさいことはしたくない。できればそんなことはダッシュで回避して立ち回りたい。

だけど、どんなに面倒くさいことも、実はほんのすこし手を付けてしまえば、あとは加速がついてどんどん進むことが多い、というのも実感としてわかっています。

結局そんなことの繰り返しが、今の自分につながっているわけですから。

ふり返ると、「逃げてよかった」と思うより、「あの時めちゃくちゃ面倒くさかったけど、逃げなくてよかった」と思うことのほうが圧倒的に多いはず。

もっと言えば、自分が選んで仕事にしていることは、面倒くさかろうが、しょせんは自分が選んだ道。

一針入れて進めるしかないのです。

『作曲少女Q』のこのエピソードは、あくまで趣味の世界で行き詰まった時のモチベーションを上げる方法、でしたが、考え方はじゅうぶんプライベート・ビジネス問わず応用できます。

面倒くさいこと、イヤなこと、とりあえずそいつたちに「一針入れて」みますか?

あとは野となれ山となれ、というのは適当すぎるでしょうか。

作曲初心者の指南書で思わぬ収穫でした。

そうそう。偶然こんな本を手に取ったんだから、今年は私も1曲くらい作曲してみようかしら……??

その時はよければぜひ聴いてください。

おしまい≡⊂( ^-^)⊃♫


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