バイオインフォマティクスのすすめ(0)
渡米直前の2018年8月に,当時所属していた北海道大学の研究室向けに,「バイオインフォマティクス講習会」を行いました.
そのときに作成したスライドを元に書き下ろしていきます.
第0回は導入編ですので少し長くなります.本編からは小分けにしていこうと思います.
目次
0.始めに
1.バイオインフォマティクスとは
2.バイオインフォマティクスの目的
3.コンピューターの役割
4.扱うデータ
5.今後の実習・講義内容
0.始めに
ここまでバイオインフォマティクスに興味を持つきっかけとなった,またこのように,得た知識を広めたいと思うようになったのは,自分が修士1年のときに,別の大学院の「機能バイオインフォマティクス特論」を受講したからです.あの講義に出会っていなければ,今はまた違う,もしかすると,さらに平凡な研究人生を送っていたかもしれないとまで思います.この元のスライドは上記特論の配付資料を見ながら再編したものですが,コピペにならないように気をつけているので,どうぞよろしくお願いします.
1.バイオインフォマティクスとは
“バイオインフォマティクス(Bioinformatics)
= 生物学(Biology)+ 情報学(Informatics)”
という方程式が立てられるように,バイオインフォマティクスとは生物学と情報学の融合体で,いわゆる造語です.しかし,それは過去の話.時が経ち今やそれを気にする人はいないかも…?
バイオインフォマティクスが台頭してきた背景には,生物学業界へのDNA配列などの膨大量のデータの流入が知られています.このデータの羅列から情報を引き出すために解析ツールの開発や統計量の定義が導入されました.
つまりバイオインフォマティクスは配列解析がメインとなります.
2.バイオインフォマティクスの目的
バイオインフォマティクスの存在意義は数あると思いますが,ここでは大きく2つほど紹介します.
① 膨大な生物学的な生(測定)データを収集し,一元的に管理するための
バイオデータベースを構築すること
② データ間の関係を明確にするためのアルゴリズムや統計量を定義して,
各データに対するアノテーション(注釈付け)や末端ユーザー向けの解
析・閲覧ツールを開発すること
これらのツールを利用することで,生物学関連の様々なデータの解析を行い,それらの結果に対して解釈に臨みます.
3.コンピューターの役割
バイオインフォマティクスは,同じタスクを数百万回も繰り返す必要があるうえ,1タスク内でも複雑な計算をしなければなりません.
また,原則として(一部例外あり),末端ユーザー向けに情報はインターネット上に公開されます.ユーザーが問題を解決するために,ソフトウェアが自由配布・無償提供されます.ユーザーは使用するプログラムに従い,ソフトウェアをダウンロードするかオンラインサーバーを利用することができます.
4.扱うデータ
バイオインフォマティクスで扱うデータは以下の通りです.
・ 配列(DNA,RNA,タンパク質)
・ タンパク質発現・mRNA量の定量
・ 立体構造
・ 相互作用,Pathway
・ 画像解析
・ その他
5.今後の実習・講義内容
正直,ただ書き下ろすだけなので,以下の通りに進めていく予定ですが,内容は細分化されていくと思います.
・ 配列比較(配列アライメント)
・ 遺伝子を発見する手法
・ 集団遺伝学,突然変異,多型,疾患
・ タンパク質の機能/構造アノテーション
・ テキストマイニング
・ データベースのデータベース,横断検索システム
・ ゲノム情報データベース
それでは,今後ともよろしくお願いします.
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