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「お続きいかがですか? お先に失礼いたします。」


第1回、第2回とちょっと長かったので、テーマを絞って短くしてみました。

 

茶道の習い始めの時に教えて頂く礼儀作法の1つに、「お続きいかがですか?」「お先に失礼いたします。」があります。これは、お抹茶を複数人並んで一緒に飲むときに、周りへの配慮の言葉です。

 

3人で並んで飲む時を例にとってみましょう。 

まず、最初の方(正客と呼ぶ)にお抹茶が運ばれてきます。そうすると正客は、お茶を取り、お隣さん(次客と呼ぶ)との境にそのお茶碗を置き、「お先に失礼いたします。」と声を掛け一礼します。次客も一礼して応えます。そしてそのお茶碗をまた自分の正面に置き直し、お茶を点ててくださったご亭主に「頂戴いたします」と一礼してから飲みます。

 

次に、次客にお抹茶が運ばれてきます。
そうするとお茶碗をまず、正客との境に置き、「お続きいかがですか?」と声を掛け一礼します。正客は、「十分頂きました」と一礼しながら応えます。次に、次客は、そのお茶碗を今度は、三客との境に置き直し、「お先に失礼いたします。」とお声を掛け一礼をします。三客も一礼して応えます。そしてそのお茶碗をまた自分の正面に置き直し、お茶を点ててくださったご亭主に「頂戴いたします」と一礼してから飲みます。

 

次に、三客にお抹茶が運ばれてきます。
すると三客は、お茶碗を次客との境に置き、「お続きいかがですか?」と声を掛け一礼します。次客は、「十分頂きました」と一礼しながら応えます。次に、三客は、そのお茶碗をまた自分の正面に置き直し、お茶を点ててくださったご亭主に「頂戴いたします」と一礼してから飲みます。

 

このように、お茶を飲むまでに、何回も周りの方に配慮しながら頂くのです。特に、両脇にお客様がいる場合(今回の例では次客)は、前の方(正客)は既に1杯飲んでいるにも関わらず、もう1杯いかがかと促し、三客には、お先にとお声を掛け、そして最後に、お茶を点ててくださったご亭主に「頂戴いたします」と挨拶して、やっと飲むことができるのです。

 

回りくどい気がする方もいらっしゃるかと思いますが、この気配りこそが茶道の大切な部分なのではないでしょうか。

さて、それでは、「お続きいかがですか?」と聞かれたときに、「そうですか。実に美味しかったのでもう一杯頂きます」と言われたらどうするのでしょう。実は、茶道では、必ず「十分頂きました」と応える決まりとなっているのです。

しかし、そういうルールを知らない方は、もう1杯飲んでしまう人がいるかもしれませんね。でもそれはそれでいいと思います。そうしたら、ご亭主がまた点てれば言いだけのことですから。一応のルールはありますが、お席を心地よく過ごして頂くため臨機応変に対応することも亭主の技量の1つだと思います。

 

日常生活において「お続きいかがですか?」は、あまり使う機会がないかもしれませんが、日本では「お先に失礼いたします」に出会うことは結構あるように思います。

コンビニやお店のレジ前に並ぶ時、ちょうど同時に並ぶときなど、先を譲ってくださった時や、先に行く場合は、ちょっと会釈して「お先に失礼します」。と一声かけるだけで、お互い清々しい気持ちになるのではないでしょうか?

ちょっとした気配り、お声がけで穏やかな日常生活が送れるように思います。

 

第3回は、「お先に失礼いたします」を意識的に日常生活に取り入れてみてはいかがでしょうかというお話でした。

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