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『たたみかた』僕らの読後感

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『たたみかた』を読んだ人は、何を思い、何を考えたのか。読者を中心にレビューを分かち合いたくて、プロジェクトを立ち上げました。顔出しなし&匿名でもいいので、掲載OKの方がいらっしゃ…
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05✒︎『たたみかた』僕らの読後感/記者・瀬木広哉さん

 僕は「たたみかた」を神棚に飾らないようにしたい。そういう態度が、この異色の社会文芸誌への最良の好意の示し方のような気がしている。  「たたみかた」は「私」を起点とする雑誌なので、その感想を書く僕もまず「私」について書こうと思う。僕はある報道機関の文化部という部署で記者として働いている。2011年に東日本大震災、そして東京電力福島第1原発事故が起きたときは東京にいた。 当時は「東京も危ない」と西の方に避難する人もいれば、そんな人たちの行動を過剰反応だと批判する人もいた。善

04✒︎『たたみかた』僕らの読後感/灯台もと暮らし編集長・伊佐知美さん

◆たたみかたを読んでみて 言ってしまえば、世の中のすべては私にとって「文章を降らせる刺激」であって、ふわりふらり、その『たたみかた』も私に大きくインスピレーションを与えるひとつになった。 これは、もうどうしようもなく、読後感というよりも私本位の独白、だと思う。 三根かよこという女性が、私と同い年であることは、そういえばもう随分と前から知っていた気がする。 けれど久しぶりに1ページ目から最後のページを繰るまで、雑誌というものを1冊すべて一気に読み終えてしまった私は、奥付

03✒︎『たたみかた』僕らの読後感/OZmagazine編集長・古川誠さん

今日は、OZmagazine編集長にいただいた『たたみかた』の感想を書き残しておこうと思います。 ▪️読んでみての雑感 出来上がったものに対して意見を言うことも、異論を唱えることも(それは往々にしてもっともにきこえがちですね)、偉そうに語ることも、言ってしまえばぜんぶイージーなことです。そしてそういう狡い社会とのコミットメントの仕方があまりに多くて、そういうのはダサいなあといつも思っていました。  この本からは編集長の三根かよこさんにとっての「思い」も「迷い」も、息遣いが

02✒︎『たたみかた』僕らの読後感/灯台もと暮らし・鳥井弘文さん

■たたみかたを読んでみて 「たたみかた」を読み終えたあと、僕はその感想をなかなかうまく言語化することができませんでした。普段であれば何か1冊の本を読み終えたあと、堰を切ったように著者の考えをまとめたくなってしまいます。 でも、この「たたみかた」は違いました。 そんな時、編集長である三根かよこさんの「日経ウーマン」のインタビュー記事を拝読しました。かよこさんは、本誌に込めた思いについて以下のように語っています。 「たたみかた」の主体は一人称の「わたし」で

01✒︎『たたみかた』僕らの読後感/コピーライター・志賀章人さん

■『たたみかた』を読んでみて 「もう一度、考えることをはじめませんか?」 『たたみかた』は、そう語りかけている本だと思う。 考えるって、しんどい。「脳に汗をかく」なんていうけれど、マラソンを走るような忍耐力がいる。ぼくはそれに耐えきれず、いつも途中であきらめてしまう。100mも走らないうちに、歩きはじめてしまうのだ。 そうして、考えることから逃げ続けたまま、ぼくは大人になってしまった。口ぐせは、なんとなく。なんでも「なんとなく」で済ませてきたせいで、思考力は自分のだ