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LIVE備忘録 vol.8 【サマーバケーションのわたしたちへ】

『カネコアヤノ 中野サンプラザ ワンマンショー2022』at 中野サンプラザホール


9月6日。

コロ助感染により開催中止となってしまった日比谷野外音楽堂での『カネコアヤノ 野音ワンマンショー 2022』の代替公演としてのこのライブ。何も考えずにノリで応募して当たったこのライブは、武道館以来二回目のカネコアヤノ。


さらに言えばカツヲは、4月にサポートドラマーのBob (HAPPY) が脱退したことが発表されて以来初めて行くライブで、新たなカネコアヤノバンドとしての音楽を楽しみに思いながら中野に降り立った。



開演時間ギリギリに着いたため、少し焦りながらチケットの列に並び入場。

座席は2階2列33番。

なんとなく、一階席は日比谷野音に申し込んでいた人優先なのかな、と思いながら開演を待つ。

一階が見えるその席からは、当選したものの授業があったためリセールし諦めた5月13日の中野サンプラザでの弾き語りライブで座る予定だった座席が見えた。

1階5列の中央ブロックという超良席であったことを再確認し、後悔していないふりをしているカツヲの耳に届いた荘厳なBGMは、会場全体の照明の消灯と共にライブの開演を知らせる。



下手から現れた短髪上裸のドラムに少々驚きつつ、真っ白な衣装を身にまとったカネコアヤノは、いつものGibsonのメロディーメーカーとは異なる青色のギター(同じSG。Gibson ?)を持つ。


四人で拳を突き合わせ歌った一曲目は、4月リリースの最新曲“わたしたちへ”。

ぶち抜かれた。
脳髄から心臓を通って足先まで。

爆発するような楽器の叫びによるイントロを聴き、十分すぎるほどに圧倒された。圧殺された。



夏休みではあるものの、8月はバイトで潰し、9月は一転して予定なしのためほぼニートだったカツヲは最近音楽を聴いていなかった。あまり家で音楽を聴かないため、久しぶりに鼓膜に届く豊かな音たちは、心を震わせて釘付けにさせるのには十分すぎるものだった。

あの子は誰よりも退屈に慣れている
こちらを見て泣いたりはしない

わたしたちへ


相変わらず退屈な日々を過ごしていたカツヲに染みわたるカネコアヤノの繊細な歌声と、遠いはずなのに間近に感じるような4人のグルーブに、じんわりと歪む視界。

最近は、そろそろそんな日々にさようならをしたい、と思ってはいるが、大して苦しいことや辛いことは無かったカツヲの、ただ純粋な「すげぇ。やべぇ。」という感情にリンクした涙だった。

気を抜いたら吹っ飛ばされそうになるほどのエネルギッシュな演奏に結んだ掌を硬直させられたまま1曲目が終わった。

かはーーーーー。満足だ。
もう、これで終わりでもいいよ。満足だもの。


新しいドラマー、パワフルだぁ。
なんて思いながらやっと気を緩めることが出来たところで、2曲目は“アーケード”。
武道館ラストにそれまで座っていた7000人が一斉に立ち上がったこの曲。今回のライブでも反射的に多くの客が立ち上がっていた。


どうでもいいのだけれど、この“アーケード”だけ林さんがSGの赤っぽいエレキを使っていて、カネコアヤノのいつものメロディーメーカーが出てくるまでは譲り渡したのかと思った。
遠くて見えなかったからただ、赤っぽいSGを使っていた、ってことぐらいしか分からないけどね。


続いて歌ったのは“エメラルド”。カネコアヤノの魅力が溢れる日記のような歌詞と、エメラルドブルーの衣装を身にまとったギタリストによる、跳ねるようなギター。



そして“祝日”、“ごあいさつ”と続いたときは、もしかして『祝祭』から全曲やるのかしら、と思った。



音源よりややテンポの早い“明け方”、大きく息を吐いてから歌った“セゾン”に続くのは“花ひらくまで”。
演奏前の軽いチューニング(とはまた違うか)を聴いて、武道館のときと同じように“僕ら花束みたいに寄り添って”と勘違いしつつ、伸びやかな歌声と心地よいファルセットに震える。


ワルツ(?)のようなアルペジオではじまる“閃きは彼方”では、本村さんがウッドベースを弾きながらハーモニカを吹いていた。


続く“ゆくえ”では、囁くような歌声と跳ねるようなギター。

そのテンションのまま歌いはじめた“サマーバケーション”に、「まさかほんとに『祝祭』から全部やるんじゃね!?2年以上やってない“ロマンス宣言”とか“恋しい日々”聴ける!?」なんて淡い期待を抱いたりした。

にしてもこの“サマーバケーション”がめちゃめちゃ良かった。

もともとこの曲は、歌詞やメロディーが大好きで特にお気に入りだったため、いつか聴きたいと思っていた。
だからこそ、イントロで期待満点のまま訪れたサビでのあの爆発の仕方は、新ドラマーだからこそのものであり、ゆったりとしたAメロからのやや早いサビという見事な緩急に鳥肌が立った。
コーラスの本村さんはめちゃめちゃ叫んでいるし。

曲の終盤にはこんなパンチフレーズも。

全員きれいに同じ顔して
返事しやがって

サマーバケーション

痺れるぜ。いい夏休みだ。


そして、“朝になって夢からさめて”。この曲もまた特に好きな曲。
めちゃめちゃ薄っぺらい感想だけど、この曲を聴くと恋したくなるんだよなぁ。


“栄えた街の”では、

大事なことは 言葉にするよ 信じていてね

栄えた街の”

のところでがなり声で歌っていて凄く良かった。


続いて歌った“爛漫”は、『よすが』の中で一番好きな曲。
確かこの曲だったと思うんだけど、会場全体が白く優しい点々の照明で照らされて、ステージは静かなスッポットライトのみ。
星空の中に4人が浮かんでいるように見えて幻想的だった。


カネコアヤノの弾き語りから始まればもちろん“グレープフルーツ”。『祝祭』の中で一番好きな曲。
歌詞を染み渡らせようとすると、あまりにもグサッと来てしまってブワッと何度も鳥肌が立ってしまった。
なんか鶏肉の食べ過ぎで、身体が鳥に変化しつつある気がするんだよね。最近すぐに鳥肌が立ってしまう。空、飛べるようになりたいな。
大きく息を吐いてから歌った曲がセゾンの他にもう一曲あったんだけど、この曲だったかなぁ。


そして『燦々』で一番好きな“愛のままを”が続く。
各アルバムの大好きソングが続くセトリ。やばい。
歌詞もなんか今の自分とリンクしてる気がするし。
2番のスネアドラム(であってる?)による「タンタンタタタン、タンタンタタタン」のところが、新ドラマーならではの力強いアタックで印象的だった。



本編最後は新曲。叫ぶようなイントロから始まる力強い曲。
曲名は分からなかった。もっと言えばひとつも歌詞を聴き取ることが出来なかった。
途中で弦が切れたようで、青色のエレキから赤色のエレキに交換していて、スタッフさんとの連携の手際の良さに驚いたりもした。


相変わらずMC無しで走り抜けたカネコアヤノはたった一言

ありがとう!





そして、アンコールで出てきたカネコアヤノはやけにテンションが高かった。テンションがおかしかった。


ありがとうございます〜
~~~鳴り止まぬ拍手~~~
あざっ、、あっす!!!

うふふ、ケホッケホッ(咳)

この夏、とは言ってももう9月だけど初めてのライブです。ライブが出来て嬉しい。
野音でライブ出来なかったのは悔しいけど、、、どこでやる、とかは関係ないです。関係ないというか、ほんとにライブが出来て嬉しい!
イェイ!

かかってしまってね、、アイツに。ほんとにもう、、、仲良く4人でかかったんですよ。仲良く、というか、4人で一緒に。
まだアレなんで、みなさんもちゃんとご飯食べて、ちゃんと寝て、ちゃんとゆっくりお風呂はいって過ごしてください。

なにかみんな言いたいことある?

ライブ出来て良かった。ありがとうございます。(本村)

あ、新しいドラマーのひかりさんです。ひかりさん。よろしく〜

必死に思い出したMCなので、原文ママではないです。


文面では伝わりづらいけど、ほんとにテンションが高かったのよ。ライブができることの嬉しさがバシバシと伝わってくる。

新ドラマーはひかりさんと言うのね。どうやら、元‘Koochewsen’(クウチュウ戦)、現(?)‘BOMBORI’の‘坂下ひかり’という方らしい。


そして、「発表があります」と言い沸く会場。「言ってもいいのかな?」と舞台袖とアイコンタクト。


また武道館でライブをします!!!1月に!
イェイ!イェイ!
しかも、、、2DAYS!弾き語りとバンドで!
イェイ!イェイ!

あとアルバムも出ます!
よっしゃぁ!イェイ!(卍ヤンキーみたいな拳)

必死に思い出したMCなので、原文ママではないです。


イェイ!!!!!
最高の発表に鳴り止まぬ拍手。
ありがとう!!


最後の曲は“さよーならあなた”。もう、武道館と新アルバムの発表が嬉しすぎてずっとうわの空だったのでなんも覚えてません。
ただただ楽しかったことと、アウトロの林さんが相変わらずえげつなかったことぐらいしか記憶にない。



約2時間駆け抜け、
「ロックンロール!」
と呟いたカネコアヤノは、ピックを観客席へ投げて舞台袖に消えていった。



ホールを出て壁の掲示を見ると武道館の案内が。

クソ雑魚画質でごめんなさい



どうやら、Twitterを見ると新ドラマーのプレイスタイルには賛否両論があるようで。

確かに、もう少しゆったりとしたドラムが聴きたいと思った曲もあったし、むしろパワフルなドラムだからこそ圧倒された曲もあった。
“序章”みたいな落ち着いたドラムがどうなるのか聴きたかったけど、もしこういった曲をこれから封印してしまうのだとしたら少し残念。
まあでもこれから馴染んでゆくんだろうな。

(Bobさんが脱退する前に完成した曲ではあるけれど、)“わたしたちへ”や新曲の雰囲気を見るに、これからは『よすが』とは一変して、パワフルな楽曲が増えていくのかな。

改めて考えてみると、Bobさんのコメントやこの変化から察するに脱退理由は、便利な言葉ではあるけれど「音楽性の違い」によるものなんだろう。
そもそも、あくまで‘カネコアヤノ(バンドセット)’であるから、「脱退」という言葉は正しくないと思うし、‘サポートメンバー’は移り変わっていくものだと思うけども。


あと、やけにテンションが高かったカネコアヤノはMCで何度も両腕を挙げていたんだけど、あれはもしかして指ハートをしてた?
遠くて見えなかったので知ってる方いたら教えてください。



そして、2023年7月に閉館予定の中野サンプラザ。
閉館前にまた来られるかな。
落ち着いた雰囲気の集中出来るこの会場で、カネコアヤノの弾き語りライブを見ることが出来たらいいな。



さよーならあなた




 [セットリスト]
1. わたしたちへ
2. アーケード
3. エメラルド
4. 祝日
5. ごあいさつ
6. 明け方
7. セゾン
8. 花ひらくまで
9. 閃きは彼方
10. ゆくえ
11. サマーバケーション
12. 朝になって夢からさめて
13. 栄えた街の
14. 爛漫
15. グレープフルーツ
16. 愛のままを
17. (新曲)
~アンコール~
18. さよーならあなた

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