旅行が好きじゃない

と言うとかなり驚かれる。というかほぼ引かれる。理解できないという風に。

わたしが旅行が好きではない理由

①疲れる
知らない場所に行くというのはかなり刺激的だ。それをポジティブに捉えられる人は旅行が好きなんだろうけれど、わたしにとっては疲労の源でしかなく、ネガティブにしか受け止められない。疲労に達するまでのスピードも異常に早く、遠足や合宿だったらバスに乗って高速に乗る前にもう疲れている。新幹線は乗り物自体が好きだからギリ耐えられるが、東京ー新大阪の距離が限界だし、目的地に着いたらすぐホテルに行って休みたい。飛行機も降りたらすぐ寝たい。そして次の日の朝からすぐに行動するというのも無理。昼過ぎから動きたい。仕事より疲れる。そんなことを休日にできない。

高校生2年生の頃、2泊3日の修学旅行で沖縄に行った。家を出た時点で疲れ切っていたわたしは、飛行機の中も現地での移動のバスの中も、ずっとイヤホンをつけて音楽をきいていた。外界との接触を断絶し、自分の世界と時間を確保していないと死にそうだった。移動中の席は固定のペアで決まっていたため、隣の子は話し相手がおらず、大層申し訳ないことをしてしまったと感じたが、わたしも瀕死状態だったので許してほしい。
大学1年生のとき、初めてのサークル合宿でどこか千葉の方に行ったのだが、移動だけで1日分の体力と気力を使い果たしたわたしは、17時過ぎに宿に到着後、すぐに部屋で死んだように寝ていた。起きたのは次の日の朝だったのを鮮明に覚えている。夜の宴会は大変盛り上がったらしい。知らないが。わたしはなにをしに行ったのかな？
大学の卒業旅行は10日間ヨーロッパに行ったが、この時もごはんとお風呂を済ませて毎日夜10時前には寝ていた。移動中もずっと寝ていたしぐったりしていた。この時も友達に申し訳ないことをしてしまったと反省している。それでもいまなお友達でいてくれる優しい友達、本当にありがとう。

②目的がない
自然や芸術に触れたいという気持ちはわからないでもないが、そこまで興味がない。自然や芸術は遠くから眺めているのが一番綺麗だと思う。その中に自分が入って綺麗と思ったことがあまりない。むしろ綺麗じゃないところが見えてなんか思ってたのと違う…という気持ちになる。自分なんかがこの風景の一部に入ってしまってごめんなさいとも思う。おいしい食べ物が食べたい気持ちもわかるが、東京にいれば地方のおいしいものを食べられる機会はたくさんあるし、そもそも食にそこまでこだわりがない。身近で手に入るものでおいしければなんでもいい。異文化交流も、狭く深くな自分からしたら関心さえない。

③人の本性が見えて気を使う
日帰りでない限り、旅行は24時間以上人と共に過ごすことを強いられる。24時間以上一緒にいるということは生活の一部も共有するということだ。そうすると、普段知ることのなかったその人の生活スタイルやオフモードの性格を見る／見なければいけないことになる。INFJ民としては、これは大変気を使う作業・時間である。相手が潔癖症の場合お風呂に入る前の服のままベッドにインすると引かれるかなとか、お風呂の時間が長すぎる／短すぎると思われていたらどうしようとか、本当は出発の1時間半前に起きたいけど遅すぎる／早すぎると思われるかなとか、水回りの使い方汚いとか思われてないかなとか、それ以外にもなにか相手の気に召さないことを無意識のうちにしてしまわないかなとか、それはもう寝ている間もひたすら考えてあまりよく寝られないこともある。とりあえずあなたに合わせるから、わたしのことは構わないでね、悪く思わないでね、何かあったら言ってね、合わせるからね、わたしは何も言わないけど…

④食べられるものが制限されて気を使わせる
膵炎なのでお酒が飲めない、脂質の高い食事ができない、不調になったときに動けなくなる、等の理由で、食べられるものにかなり気を使わなくてはならない。お酒は自分だけが飲まなければいい、食べるものも自分だけが避ければいいのだが、なんだかんだでみんなに気を使わせてしまう。逆に自分が周りに合わせて同じ食事をした場合には、膵臓痛くて動けない現象が起こりかねず、それもそれで結果的に周囲に気を使わせてしまう。そしてなにより、せっかく旅行に来たからには、ご当地のおいしい食べ物を食べよう！という空気の中、わたしだけそれ食べられないからこれにするね、となると少なからず空気感は変わる。INFJ民としてはそういった微妙な空気感の変化が痛いほど心に刺さるので、一緒に行く人のためにも、自衛のためにも旅行は行かないに越したことがない。

家族だろうが仲のいい友達だろうが、旅行は苦手だ。わたしは、好きな人と過ごせる時間であれば場所は問わないから、旅行なんか行かなくてもいい。食べ物もなんでもいい。近所のやっすいファミレスでもいいから、あなたと一緒に過ごす時間やあなたと何を話して何を共有したかを大切にしたい。だから旅行が苦手ということを理解できないという顔をするのはやめてほしい。ファミレスに行こうと言っても引かずに「いいね！」と言ってほしい。わたしはあなたと一緒にいたいだけだから。

おわり