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娘を育てて癒される自分に気付く①

私の母は、ずっと兼業主婦だった。働く以外にも、世話焼きなので、家にはほとんどいなかった。

小さなころの記憶はあまりない。思い出そうと思わないからなのかもしれないけれど。断片的に「ああそういえば、そんなことあったかも」と思う程度。

その中でも不思議な記憶として残っているものがある。

「幽体離脱?」

真夜中の出来事、生まれたときの家ではなく、引っ越した後の家の子供部屋だった。真夜中なのに電気がついていて、部屋の真ん中に布団を引いて寝ている私。右側には母、左側には父が心配そうな顔で私の事をのぞき込んでいる。・・・・・・この光景をなぜか子供部屋に置かれたタンスとTV台の隙間から覗いている、そういう自分の記憶がある。まるで幽体離脱ような不思議な記憶。

入院

この時の私は高熱を出していたそうだ。家から近くて比較的大きな病院に運ばれた。運ばれた時の記憶はなく、次に私が覚えているのは、突然薄暗い病室のベッドに寝かされて、パニックで泣いていた。泣いているので開いている私の口に、紙パックのストローが無理やり入ってきた記憶。周りの入院患者は寝ているので、母がなんとか泣き止ませようとしたらしい。何のジュースだったのかはわからないけれど、高熱でフラフラの自分にはとても美味しい飲み物だった。

イチゴのパンツ

次の記憶は昼間だった。入院している病院の病室。私は4人部屋の窓際のベッドに座っていた。母が来てベッド周りのカーテンを閉める。熱が出て汗を大量にかいたようで、着替えを持ってきてくれていた。母はごちゃごちゃ言いながら、私を着替えさせる。当時の私が持っていたのはせいぜいワンポイントの付いた白いパンツだった。母方のおばあちゃんが買ってくれていたものだと思う。正直あまりかわいくないその白いパンツを私は好きではなかった。しかし、その日母が着替えで持ってきてくれたのは、イチゴ模様がたくさん入ったイチゴのパンツだった。ものすごくかわいかった。幼な心に飛び上がるくらい嬉しかったのを覚えている。

今思いだすと笑ってしまうけれど、こんな、不思議な記憶が、私の無意識にあるからかもしれない。息子にも娘にも真っ白パンツを買う気にはならなかった。

女の子に生まれてかわいい洋服、気に入った洋服を着るのは楽しみの一つだと思う。娘に新しい洋服を買って、ファッションショーのように組み合わせて楽むことがある。そんな時、なんだか私の中に居る小さな私が喜んでいるような気がする。幼い頃に母と出来なかった事を、今になって大人になった自分と私の中の小さな私とで、楽しんでいる気持ちになる。癒されている自分に気が付いた。


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