見出し画像

「『日本式』の製造DX」って?

最近、「日本式」の製造DXを目指す団体(製造DX協会)が設立されたというニュースがありました。

それによると、「日本のDXを加速させる鍵は日本式製造DX」であり、「欧州式DX」を唯一解とするのではなく、「日本式DX」や、両者を組み合わせたハイブリッド式を検討・確立するとのこと。それぞれの特徴はこちらの図で説明されています。

どうなんでしょうか。もちろん、そういう考え方が中間段階としてあり得るとか、そういう考え方を採用せざるを得ないとか、特に中小企業においてそういった事情があるのは分かるのですが、そういう考え方をゴールにするというのには違和感を感じました。(勝手に誤解しているようでしたらごめんなさい。)

なぜ違和感を感じたかというと、これではまた『ガラパゴス化』してしまうのではないか、欧州がSAPやGAIA-Xなどを武器に標準化を進めていることに対抗できるのか、という疑念があるからです。

最近もグリコがSAPへの移行に難航してチルド品を出荷停止せざるを得なくなったそうですが、この原因の一つに、日本の商習慣が事実上の世界標準ERPであるSAPに合わないため、があるようです。SAPをかなりの程度にカスタマイズしないと自社導入できないため、開発が重くなって失敗する確率が高くなるというものです。自分も会社でちょっと経験しましたので、さもありなんと思いました。

「日本式」をゴールにすればローカルのベンダーは儲かるかもしれないですが、日本の地盤沈下は進む一方のような気がします。DXの『X』、つまり、デジタル『トランスフォーメーション』にならないです。DXのキモであるデータ流通に関しても、国内で独自につなげたってダメです。海外とやり取りできない(やり取りしにくい)データ構造や共有システムを構築してしまったら、日本にとっては足かせ以外の何物でもない。

すり合わせが得意など、「日本式」ものづくりの良さを活かしていくにしても、それはあくまで、世界標準と整合した基盤があったうえで・・・じゃないでしょうか。あきらめてはいけない気がします。製造DX協会でも、そのあたりは考えられているのでしょうけれど、自分には良く分かりませんでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?