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謹賀新年2020

あけましておめでとうございます。
21世紀の最初の20年が終わり、また次の10年が始まりました。

とはいえ、ディケイドのはざまにもかかわらず、2019年は2020年、そして2020年以降のプロジェクトに関わることも多く、今年は例年に増して「年越し感」がありません。

私の弁護士業のドメインであるシティライツ法律事務所は、2013年の設立から丸7年、伊藤雅浩の参画による改組からもあっという間に2年強が経過しました。特に、昨年下半期は、高橋治、桶田大介、末永麻衣という、それぞれに個性的なメンバーが加わり、現在、弁護士10名、バックオフィス1名の構成ですが、年始に待望のアソシエイト弁護士、バックオフィス(共に女性)が1名ずつ加わる予定です(事務所も部屋を借り増しました)。
弁護士事務所のスケールとして東京では決して大きくありませんが、自分は組織のサイズを「小さく」することにこだわってきたので、その意味ではこのスケールは想定外でした。ですが、事務所としての個性は薄れるどころか、「あ、この人たち、マジもん(の変態)だったんだ…」的な広がりを見せられているのではないかと自負しています。昨年、塩野入弥生がリードして開催した合宿で、みんなで一緒に作ったシティライツの行動指針の一つである「#穏やかに健やかに楽しく」という言葉がありますが、「変態たちが穏やかに健やかに楽しく生きていける事務所」を今後も志向していきたいと考えています。また、少し話が逸れますが、シティライツでは、アソシエイトができればシティライツでパートナーに育っていってほしい、という気持ちが強いので、その道をどうデザインしていけるか、パートナー間で最近よく話し合っているところです。

社外役員は、現在、スタートバーン、Tsumug、電子広告社(Dencco)、ライゾマティクスの4社の(社外)監査役を務めています。他にもいくつか新しい、そして刺激的なお話を頂いており、しかるべきタイミングで発表できるものも出てくるでしょう。

Creative Commons、Arts and Lawなど、その他の課外・プロボノ活動は大きく変わりません。唯一の例外として、リーガルデザイン・ラボは諸事情でSFC研究所を離れ、ひとまず私の個人プロジェクトとしてマイペースに進めていこうと思っています(が、ぜひ一緒に盛り上げたいという奇特な方がいれば、ご連絡いただければうれしいです)。現在、某企業と今年4月に向けて面白いプロジェクトが進んでおり、ローンチが楽しみです。

非常勤講師は、東京大学の大学院、慶應義塾大学SFCの2つで、今年(来年度)も担当させていただく予定です。

2020年、そして2020年代の抱負や予想のようなものも書きたいなと思って書き始めましたし、書きたいこと、言いたいこともあるような気がしますが、色んな方の抱負や予想等を見ていると、どうにも天の邪鬼で、日々の仕事や活動の中で実践していくのみ、という気分になってしまいました(すみません、完全にこのブログをポストするのが遅れた言い訳ですね…)。

昨日(元旦)は、ケン・ローチ監督の『家族を想うとき(原題: Sorry We Missed You)』を観てきました(話題になっている、かつ、映画サービスデーだったということもあり、元旦にもかかわらず、満員でした)。カンヌでパルムドールを取った前作『わたしはダニエル・ブレイク』の続編というべき、目を背けてしまいたくなるような、過酷な労働環境にある家族の物語です。ストーリーは、『わたしはダニエル・ブレイク』では弱者軽視の行政にピントが当たっていましたが、本作ではいわゆる「ギグエコノミー」とも呼ばれる新しい産業形態や労働条件にフォーカスされています。安易な映画的な「救い」を描かない(それでいて、しっかり「救い」を忍び込ませている)ケン・ローチ作品に元旦から殴られたような衝撃を覚えていますが、民主主義的な仕組みや価値観が揺らぐ日本の現況において、ケン・ローチの作品から溢れる個人の尊厳に対する信頼と、民主主義、その根幹となる言論・表現の自由に対する透徹した視線は胸に刺さります。もちろん、これは日本だけの話ではないのですが、弱者やマイノリティなど、多数派とは異なる意見・表現の民主主義的な価値、そしてもちろん文化的・産業的な価値についても、改めて考えを深めておかないと大変なことになる、と感じました。これは抱負でも予想でもなく、直感みたいなものです。

そんなわけで、雑駁になってしまいましたが、皆さん、本年も、そして2020年代も、よろしくお願いいたします。ご一緒できることを楽しみにしています。

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