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ドラマ・レビュー『雨の降る駅』(1986年)、田村正和と大原麗子の共演!

#ドラマレビュー #田村正和
#雨の降る駅 #大原麗子

日本の景気がものすごく良くて、国民の全てが「中流」と言っていた時代の作品である。1980年代、テレビのゴールデンタイムもなぜか不倫をテーマにしたドラマが主流だった。1983年から1985年に放送された「金曜日の妻たちへ」(略して金妻)。このドラマ、平均視聴率15.9%で、最高はなんと20.9%だった。30代から40代前半の女性に受けたようだ。

「金妻」は、脚本が鎌田敏夫である。今回、取りあげた作品「雨の降る駅」も、鎌田脚本でその流れをくんだドラマということができるようだ。私が注目したのは、そのキャスト。なんと田村正和と大原麗子という美男美女が主演だという事。最近になってYouTubeで観たのだが、なかなかうまい作りだった。しかも脇を固めていた役者も、今ではテレビ界にはなくてはならない存在になっている。

ビートたけし、所ジョージ、オール巨人といった芸人。まだ駆けだしの柳葉敏郎と渡辺典子、松下由樹。歌手の島倉千代子も出ていた。これだけでも、見る価値はありそう。そんなところからも視聴するキッカケになった。

*あらすじ(ごく簡単に)
たぶん20代前半くらいから付き合っていたのだろう!山添(田村正和)と佐々木(大原麗子)。何度も別れては、またくっついたようだった。いわば「腐れ縁」ともいえる状態である。舞台となったこの田舎の駅に来たのも、前日に近くの旅館に泊まったためだった。今度こそこれを最後にしようと決めた2人は、駅の待合室で、次の列車を待っていたのだが…。

そこに次々と、様々な人たちが現れる。自転車のツーリングで旅をしていた柳葉敏郎と、学校の合宿できていた渡辺理子が偶然に知り合い、お互いに惹かれるものを感じるという設定。さらに訳ありの中年女性(島倉千代子)は、売店から何度も電話をかけ、なぜかイライラしている。

ここに、山添の会社、その取引先の人物が声をかけてきて、話が複雑になっていく。家出少年を、山添が保護してあげたりと、いろいろな要素が絡んでいく展開だった。

*不倫というテーマ
日本で以前は「よろめき」と言っていたようだ。「不倫」って、江戸時代ではかなりの重罪(死罪)だった。それが戦後40年も経つと、こんなにも変わってしまうのか?とも思う。まぁ、昔からこういう小説はあったのだが…。

時代の空気が「不倫」ドラマを後押ししたのかもしれない。だれもが、日々の生活に満足し、みなが刺激を求めていた。自分では実際にはできないため、ドラマという仮想世界のなかに入っていったのだ。

*過去・現在・未来を投影
島倉千代子が演じたのは、過去に男をつくり、子供を捨てた母親。田村正和が演じていたのが息子をもった父親の役だ。もし大原麗子との不倫を続けるのなら、子供とは一緒にいることはできない。それを暗示していた。

柳葉敏郎と渡辺典子のカップル。若かりしころの田村正和と大原麗子を見るようだった。2人は一瞬で惹かれ合い、恋に落ちたことを仄めかしている。自分たちも、かつてはそうだった。それが叶わず、いまがあるのだ。

ただやはり人は理屈や正論だけで生きていくことはできない。間違いもするし、勘違いもするのだ。島倉千代子は実の娘を、自分の妹に託した。だが、電話してみると、「自分の子として育てたから、合わせることはできない!」ときっぱり断られる。しかし、ドラマの終わりになって、その娘(松下由樹)が、島倉千代子のまえに現れた。

*ドラマの中にみた家族のカタチ
この駅にいつも来るかなりのお年寄りがいた。毎日やってきては、蕎麦をたべて帰っていくようだ。歳をとり、家族から邪魔者扱いされているのではないか!と思わせる。エキナカ蕎麦屋の千石規子が、優しく相手をしてあげていた。

家出少年を保護する田村正和に、息子との関係を想像した大原麗子の姿があった。この親子の愛情を切り離すことはできない。だから自分は身を引くのだと、自分に言い聞かせる姿に、なんとも切ない感情が浮かんでくる。

まとめ
このドラマ、まだYouTubeで観ることができる。114分だから約2時間になるが、様々な人間模様を見てとれるだろう。エンディング、果たしてどうなるのか?最後まで目を離すことはできない。

あの竹内まりやの楽曲に「駅」がある。ドラマと同じ1986年にリリースしたものだ。この曲、別のドラマの主題曲だったが、何かこのドラマから着想を得て歌詞を書いたのではないかとも思えてくる。勝手な想像なのだが…。

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