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[体験談] 刑務所での散髪!どう感じたか! そして、受刑者を取りまく環境について!

#刑務所 #刑務官 #法務技官
#法務事務官  

これは高校時代の話し。たまたま入学したのがC大学附属校。自宅から電車とバスとそして徒歩で50分ぐらいかかった。1学年11クラスもあるマンモス校で、私はその末端のK組。そこで知り合ったのがT氏だった。2人とも部活には入っておらず帰宅組。帰りはいつも一緒ということで、2人はすぐに打ち解けた。

ある日、「刑務所で散髪しないか?」とT氏が言ってきた。話を聞くと、このT氏の親父さんが、法務技官として理容を受刑者に教えているという。「散髪料は500円!」これはかなり安い。一緒に行かないかと誘われたわけだ。すこし怖い気もあったが、まぁ2人で行くのであれば、大丈夫かな!と、その話にのった。

その友人の自宅は、刑務所の隣にある法務省の官舎。私の父も自衛官で、転勤がおおく官舎には住み慣れている。まずはT氏の自宅に案内された。彼は、けっこう体ががっしりしているタイプ。自分としては、その体型には惚れ惚れしていたのだが、私が勉強ができる友人として親に紹介してくれて、少々照れくさかったと記憶している。

T氏の自宅でくつろいだ後、刑務所にむかった。前もってT氏が私も行くことを伝えてくれていたようだ。学生証を窓口に提出すると、入所バッチを手渡された。早速2人は刑務所内にはいる。刑務所というのは、ちょっとした学校や工場のようになっている。けっこう長い廊下が何本もつづき、ようやく理容師のいる部屋(床屋と言うべきか?)にたどり着く。

なかに入ると、5人ほどの受刑者が白衣を着て、作業をしていた。彼らが受刑者だと思うと、なんとなく緊張してしまう。ふだん誰とでも気楽に話すのが私の特技と思っていたが、一言も言葉をはっすることができない。見かねたT氏、「じゃあ!カットとシェービングで良いよね?」と聞いてきた。私はただ「ハイ!」と答えるのみ。

すぐに散髪の作業にはいってくれた。しかしどうにも落ち着かない。髭剃りで、カミソリを手にしたところを見ると、さらに不安がはしった。しかし何の事は無い!手際よく、ヒゲを剃ってもらう。友人のT氏も、ほぼ一緒に始まり終わりも数分違うだけだった。本来なら、この受刑者たちになにか声をかけるべきなのだろうが、話すことのできない自分に、情けなくも感じた。

仕上げは、自分でも満足いくものだった。ただ若い自分としては、先入観もあり、次にまた行こうという気にはなれなかったのだ。今であれば「また行こう!」という気持ちにもなれたと思う。T氏、なかなかここに来る人はすくないと言う。理容の技を磨くには、ある程度の人数をこなす必要がある。だから是非また来てほしいと話していた。

*日本の刑務所の状況!
私が散髪してもらったのは、少年刑務所。自宅から少し時間がかかる距離にある。その近くの駅まではちかいが、20分以上歩かなければならない。そこが私にはネックだった。もっと近ければ頻繁にいっていたかもしれない。

調べてみると、この理容をおこなっている施設は、全国で函館と川越だけのようだ。受刑者も、出所すれば何らかの職につかなくてはいけない。そうでなければ生活をままならないと言える。しかし、実際に刑務所内で技術技能を身につけようとする人は少ないようだ。全国の刑務所に、4万4千人の受刑者がいる。そのうち技能を身につけ資格をとろうとしている人はおよそ1万1千人(令和元年のデータ)とかなり少ない。

*刑務官の仕事!
この友人T氏の父親は、法務技官だったのだが、T氏も大学を卒業すると同じ職についている。この刑務官という職業はなかなか成り手が少ないと言う。したがって、刑務官の身内(家族)がなるようだ。外部からはいる場合、身上調査をかなり細かなところまでおこなうと言う。

刑務官の正式名称は、法務事務官。階級は上から矯正監、矯正長、矯正副長、看守長、副看守長、看守部長、看守の7階級である。受刑者に技能を身につけさせる官職として、法務技官もいる。友人T氏の父は、まさにこの仕事だった。

まとめ
法務省のデータ(令和2年)によると、受刑者の再犯罪率は増えつづけている。ただ人数としては減り続けているようだ。これは刑法犯検挙者数が、平成19年から減ってきているため…。結果として、再犯率が50%近くとなっている。

これを防ぐには、社会の受けいれが充分であることが必要といえる。また、すぐに職につく技能の習得も大事といえるだろう。従来の木工技能や自動車修理の技能だけでは、なかなか仕事に就くことは難しいといえる。最新のIT技術も実習に入れるべきではないだろうか。

ITであれば、在宅勤務を可能といえる。とかく元受刑者ともなれば、社会の風当たりはつよい。なるべくならあまり人と関わらない仕事を生業とするのが良いのではないか。またコミュニケーション能力を学ぶカリキュラムもあれば、社会との接点もふえ、元受刑者も暮らしやすくなるといえるだろう。

*川越少年刑務所、理容の案内。
平日は午前8時から9時半。午後は1時から2時半。営業しない日もあるから事前連絡が必要。必ず身分証も持参しよう。

[料金]
Aコース(カットとシェービング) 889円。Bコース(カットのみ) 590円。Cコース(染色のみ) 1410円。

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