シナリオの書き方から、名作映画を再び読み解く!
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NetflixやAmazon Primeなど、最近これはイイ!という作品が見つけられなくて困っている。名作と言われるような作品は、見始めから引き込まれていくものだ。やはり脚本家の腕の「ヨシアシ」が関わっているのだろう。良いとされるものは皆がそう思うし、逆に評価の低いものはそれなりと言える。このところレビュー4.0以上だけ見るようになった。今回シナリオの書き方を考えながら、名作と言われた作品がどうしてそのような評価になったか?を読みといていこうと考えた。
*物語(シナリオ)の構成!
例えば、推理サスペンス。殺人事件が起き、それを推理し、犯人を捕まえるまでの一連の流れだ。求めるのは犯人であるが、様々な証拠から犯人像をあぶり出して答えを導き出すというもの。『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』では、犯人が誰かを初めに犯行場面を写すことで、わかるようにしているが…。
この種のドラマでは、犯人がどのように隠そうとするかに注目がいく。この2つの刑事ドラマ、しつこく犯人を追求し、最後はボロを出すという仕掛けだ。通常の刑事ドラマにしても、犯人を探し出すという問題設定があり、刑事が色々と行動して、その事件を解明する。そのような流れになっている。
シナリオの基本構成は、①主人公の抱える課題、または困り事があり ②主人公は様々な行動を起こし、答えを見つけようとし、③最後には答え(推理ドラマでは犯人)をたどり着くということになる。単純化化すれば①課題②行動③課題解決という流れだ。
*物語を面白くするには?
これには登場人物に「面倒くさい人物」や「厄介な人」を入れるといい。主人公にこのような人物を絡ませていくことで、話がより複雑になっていく。とくに主人公と直接関わるような内部の人物がいい。先の『古畑仁三郎』で言えば、今泉慎太郎(西村正彦)だ。この今泉は、場違いな行動を取ることで笑いを誘う効果もある。
ここで「めんどくさい人物」の特徴を挙げておこう。⑴自我が強く、主観的に物事を考える人物。なにが何でも自分の意見を通そうとする。⑵ネガティブ思考の人。口癖は「どうせ…」 「でも…」 「だって…」。建設的で前向きな意見は言わない人物と言える。⑶失敗したことをいつまでも引きずる性格。大体こういった人は物事に執着する傾向がある。⑷論理的に物事を考えられない人。話をしてもその話をまとめることができないため、どうしても長話をしてしまう。⑸人の陰口悪口いう人物。常に自分が最高だと思っている。
これらの人物を主人公に周りに置くとよい。また面倒くささをより強調することで、その存在が際立ってくる。それで主人公が振り回されることで、本筋とは違ったストーリーとなり、読者(視聴者)が飽きさせないことにつながってくると言えるだろう。
*名作映画、2作品からシナリオを読み解く!
黒澤明監督の『七人の侍』と李相日監督の『フラガール』。この2作品からシナリオを見ていこう。
まず『七人の侍』では①課題は、戦国時代、毎年同じように野武士に収穫物をとられる農村。 ②行動は、野武士と対抗すべく、街道までいって、助っ人となる武士を村まで連れてくること。③野武士と戦い彼らを倒し、村をまもった。つまり解決する。
『フラガール』では①課題は、石炭から石油の時代になり、炭鉱の先行きが怪しくなった。このままでは炭鉱夫の家族は食べていけない。②行動は、炭鉱から湧き出る温泉をつかい、リゾート施設をオープンすること。そしてその目玉としてフラダンスを炭鉱夫の家族や娘に踊ってもらう。そのことで収入を確保する。③施設が開園すると多くの客が押し寄せ、フラダンスを炭鉱夫の娘たちが踊りきった。
*名作2作品、面倒くさい人物!
『七人の侍』では、菊千代(三船敏郎)は武士ではなく、農民の出だった。だから、軍師の勘兵衛(志村隆)と言うことを聞かず、勝手な行動をとる。村はずれにある川向こうの数件の村民たち。官兵衛がそこを守ることはできないと言うと、だったら自分たちだけで戦うと言う。さらに自分の娘に男装させる万造(藤原釜足)。助っ人で来てくれた武士を信用しない。
『フラガール』での「面倒くさい人物」は、主人公・紀美子の母と兄。リゾート施設建設に反対の立場をずっととっていく。紀美子の親友・早苗(徳永えり)、その父は、娘がフラダンスを習っていることを知り激怒する。フラダンスの先生・平山まどか(松雪泰子)。炭鉱夫の娘にフラダンスを教えにやってきたが、来たときには酔っ払い千鳥足だった。そして集まった娘たちに「あんたたちには無理」と見下している。
*まとめ
名作の2作品とも、ストーリーは至って単純と言える。しかし、様々な登場人物を揃え、さらにいくつもの障害を置いたことで、複雑な展開となった。この膨らまし方こそがシナリオの醍醐味といえるだろう。どういった人物を、どのように絡ましていくか?ここが極めて大事だ。この作品は、まさにこれが成功した事例ということができる。
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