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最近気になっている本11冊の書評まとめ

最近気になっている本が多くて読み切れないので、目次と書評を集めてどの本を買うのか決める参考にする。


IT関連

システム設計の面接試験

目次

1章 ユーザ数ゼロから数百万人へのスケールアップ
2章 おおまかな見積もり
3章 システム設計の面接試験のフレームワーク
4章 レートリミッターの設計
5章 コンシステントハッシュの設計
6章 キーバリューストアの設計
7章 分散システムにおけるユニークIDジェネレータの設計
8章 URL短縮サービスの設計
9章 Webクローラの設計
10章 通知システムの設計
11章 ニュースフィードシステムの設計
12章 チャットシステムの設計
13章 検索オートコンプリートシステムの設計
14章 YouTubeの設計
15章 Googleドライブの設計
16章 学習は続く

書評(抜粋) 「システム設計の面接試験」という本が良かった

オススメポイント
この本は、「面接官から出されたお題に回答していく」という体(てい)で各章が書かれています。一見、システム設計の面接試験を受ける人にしか需要がないように思えますが、面接を受けない方にも以下のような刺さるポイントがあると思います。
要件からどのようにシステム設計に結びつけていくのかを学べる
様々な設計パターンを学べる
図が多いので紹介されている設計パターンの理解がしやすい

システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?

目次

第1章 システムインテグレーションが崩壊へ向かう3つの理由
 SIビジネスに内在する「構造的不幸」
 開発リスクは増大し,案件規模は縮小する
 既存の収益モデルを脅かす新しい技術や市場
 コラム コモディティ化
第2章 ビジネスの変革を妨げる壁
 SI事業者に内在する3つの壁
 ユーザー企業に内在する3つの壁
第3章 資産ビジネスからサービスビジネスへ
 サービスビジネスへのシフトが期待される理由
 自社の付加価値をサービスとして提供するには
 サービスを直販する
 よそ様のサービスを売るだけでは儲かりません ~株式会社グルージェントの事例
 「SIビジネス」を2つに分けて考える
 新しい3つの収益モデル
 クラウドやOSSの普及で,サービスビジネスへのシフトは容易になる
 コラム サービスビジネスでは「個人力で売る」方法が通用しなくなる
第4章 クラウドを活用する
 「自家発電モデル」から「発電所モデル」へ
 なぜTCOを削減できるのか
 基幹業務でも使われるようになりつつある
 日米のビジネス環境の違いから読みとく「クラウド導入の壁」
 「効率化・コスト削減への期待」は受け入れられない
 クラウドで変わるITの常識にうまく対処して,その価値を引き出す
 3つのクラウドビジネスモデル
 受託開発が嫌いなんです ~某中堅ITベンダーの事例
第5章 オープンソースソフトウエアを活用する
 伸びないIT市場の中で突出した成長が見込まれる分野
 なぜ,OSSが支持を集めているのか
 OSSを利用するメリットとは
 Consume(消費)からContribute(貢献)へ
第6章 グローバル化に対応する
 海外展開にはガバナンスの確保が不可欠
 現場に最適化されたプロセスはグローバル展開の足かせになる
 文化の違いを理解しなければ失敗する
 グローバルなリソースを活用できなければ淘汰される
第7章 新たな存在意義と役割へシフトする
 お客様のCIOの役割を果たす
 ウォーターフォール型の開発プロセスでは新しい価値を発揮できない
 「アジャイル型請負開発」で高品質・短納期・利益拡大を両立させる
 なぜ,アジャイル開発が受け入れられないのか
 日本人が得意とする「改善」をシステム開発で使わないのはおかしい ~NPO法人 ドットNET分散開発ソフトピア・センターの事例
 サービスビジネスにはマーケティングが不可欠
 ソリューション営業で差別化できる時代の終わり
 ソリューション営業からイノベーション営業へ
 未知のニーズや課題に向かい,変革のプロセスに関わる
 変革の推進者を味方につける
第8章 ポストSIの事業・組織・人をどう創るか
 組織の収益区分や業績評価の基準を変える
 ソリューションではなく「コンセプト」と「デザイン」に気を配る
 新規事業プロジェクトの進め方
 「自前主義」の限界を突破する
 若い人たちにチャンスを
 みんなの力で会社を変える ~日本ユニシスの事例

書評(抜粋) 書評:システムインテグレーション崩壊 ~これからSIerはどう生き残ればいいか?

第1章の「システムインテグレーションが崩壊へ向かう3つの理由」での問題提起に始まり、システムインテグレータやユーザ企業での内部における課題、これからのビジネスで求められる要素、クラウド・オープンソース・アジャイルといったキーワードの解説、そしてこれからの在り方への提言など、大きく全体像を掴むのに最適です。
事例やインタビューなどが途中で差し込まれ、より多角的な観点から捉えることができるでしょう。こういった本は、私には書くことができないので、こうして様々な視点から問題提起が行われるのは、とても良いことだと思いました。
ただし、ではどうすればいいか、というところまでは、本書ではハッキリとは書かれていません。それを考えるのは、本書を読んで行動を起こそうとする読者の皆さんなのでしょう。

他社事例

BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相

目次

意義ある人生
糊付けロボット
アップルへの羨望
さらばスラム街
子ども時代の隣人
サニー
ドクターJ
ミニラボ
ウェルネス戦略
「シューメイカー中佐とは何者だ?」〔ほか〕

書評(抜粋) 『BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相』

本書『BAD BLOOD シリコンバレー最大の捏造スキャンダル 全真相』は、そんなベンチャー業界の文化の中で、女性で初めての「ユニコーン」企業の創業者として注目を集めたエリザベス・ホームズと、彼女が生み出した<セラノス>という血液検査ベンチャーの虚構を、ウォール・ストリート・ジャーナルの記者が綿密な調査によって暴いていく物語である。
本書の前半では、そのエリザベスの生い立ちからセラノスを創業しスターダムにのし上がるまでが丹念に描かれ、後半ではその嘘と虚構が次第に暴かれていく。
本書の中で、著者は調査報道のプロとして、情報提供者をひとりひとり説得し、丁寧に裏をとり、玉ねぎの皮をはがすように、少しずつ真相に近づいていく。ひたひたと真相に迫る著者に対して、脅しと隠蔽と中傷でねじ伏せようとするのがセラノスとその弁護団だ。弁護団を率いるのは全米で最も有名な法廷弁護士のデイヴィッド・ボイーズである。企業秘密を盾に記事を葬ろうとするセラノスに対して、記者と報道の誠実さを守り抜こうとするウォール・ストリート・ジャーナルの攻防は本書の読みどころのひとつでもある。

プロジェクト・シン・エヴァンゲリオン

目次

1章 プロジェクト概要
 1-1 プロジェクト経緯
 1-2 プロジェクト目標
 1-3 プロジェクト遂行結果
2章 プロジェクト実績
 2-1 プロジェクト費用
 2-2 期間
 2-3 工程
 2-4 体制
 2-5 成果物量
 2-6 制作環境・コミュニケーション・進捗管理
 2-7 システムマネジメント
 2-8 リスク管理
 2-9 新型コロナウイルス感染症の影響と対応
3章 プロジェクト省察
 緒言1 プロジェクト成否考
 緒言2 別の結果になり得た可能性からプロジェクト遂行を振り返る
 3-1 遂行の中枢 庵野秀明
 3-2 遂行の中枢 プロジェクトスタッフの態度と対応
4章 内部評価
 評価者 鶴巻和哉
 評価者 前田真宏
 評価者 轟木一騎
 評価者 安野モヨコ
 評価者 緒方智幸
5章 ライセンスと宣伝
 『シン・エヴァ』のライセンスについて/神村靖宏
 『シン・エヴァ』の宣伝について/島居理恵
6章 外部評価
 評価者 川上量生
 評価者 尾上克郎
 評価者 高橋望
 評価者 紀伊宗之
 評価者 鈴木敏夫
7章 プロジェクト総括 庵野秀明 ver1.00(2023年1月20日版)
終章 シン・エヴァンゲリオン劇場版 全参加スタッフ一覧
付録I 株式会社カラーの沿革(年表)
付録II 総監督による指示と修正の実例
付録III 編集ラッシュに合わせて更新された画コンテの実例

書評(抜粋)   読書メーター

yahiro
「シン・エヴァンゲリオン」という映画をひとつのプロジェクトに見立て、体制や狙いなどを振り返りつつ、総括するという異例の本。絵コンテ集やアートワーク集などが多い中、いかに「商業プロジェクト」として本作が実施されたかが描かれており、こんなものは見たことがなかった。各関係者の総括も面白かったが、個人的には本プロジェクトの予算から、カラー社内での席割りや差し入れの内容などが明かされていたのが興味深かった。

インスタグラム:野望の果ての真実

目次

プロジェクト・コードネーム
成功の混沌
驚き
天国と地獄のはざまの夏
「さっと動いてどんどん打ち破れ!」
君臨
新たなるセレブの誕生
インスタ映えの追求
スナップチャット問題
共食い
他のフェイクニュース
CEO

書評(抜粋)  【読書メモ】インスタグラム:野望の果ての真実

久しぶりに衝撃的に面白い本でした。
インスタグラムの誕生から成長、そしてフェイスブックへの売却。
「写真の共有」ができるサービスがどのように人々の生活や、価値観、ビジネスに革命を起こし、そして創業者2人が2018年9月に退任したのかを描いたドキュメンタリー本。

短期的な成長を生むバイラルはさせない
初期から、目先の成長よりも長期での成長を追い続けたシストロム。
その後MAUは1,000万人を突破したとき。
それだけの規模になってきているのに、本人確認機能がまだないことに驚きでした。笑
ジャスティン・ビーバーが本人確認のために直接電話する話はめちゃくちゃおもしろい。それぐらい本人にとって欠かせないサービスになっていた。
また余談だが、買収されてしばらく経つまで、利用規約もネットに落ちていたものをコピペして使っていた。

データ分析

データ分析失敗事例集

目次

Part Ⅰ 「えーあい」でなんとかして!
 CASE 1 UIを統一してUXが破綻する 
 CASE 2 誰のための仕事? それが問題だ 
 CASE 3 最先端アピールのための最先端プロジェクト 
 CASE 4 本当に季節性はありますか 
 CASE 5 レコメンドの必要ありますか 
 CASE 6 分析を現場でどう使うか 
 CASE 7 ほとんど故障しない製品の故障予知 
 CASE 8 AIという言葉の曖昧さ 
 CASE 9 そんな目的変数で大丈夫か 
 コラム データサイエンティストとしての生き方 
Part Ⅱ 翻弄されるデータサイエンティスト
 CASE 10 成功した報告しか聞きたくない 
 CASE 11 ターゲティングの必要性 
 CASE 12 決定木分析は決定木だけではない 
 CASE 13 ドメイン知識の重要性 
 CASE 14 政治的な数字の応酬 
 CASE 15 プロダクトアウトでもドメイン知識は大事 
 CASE 16 スタイルの違いが引き起こした混乱 
 CASE 17 いくら分析したところで、売れないものは売れない 
 コラム データサイエンティストの人事事情 
Part Ⅲ その失敗を超えてゆけ
 CASE 18 カオス状態のBIレポート 
 CASE 19 用意できたのは集計データのみ。予測精度はどこまで…… 
 CASE 20 取ってびっくり、こんなに使えるデータは少ないのか 
 CASE 21 頑張って予測していたのは…… 
 CASE 22 木を見て森を見ずはキケン 
 CASE 23 総人口の十倍を超えるID数との出会い 
 CASE 24 最終報告が終わってから集計の仕様が決まる 
 CASE 25 機械学習モジュールの寿命 
 コラム 絶対に失敗しないデータ分析 

書評(抜粋)    【それを言ってはいけない!を言う】「データ分析失敗事例集」 を読んで

本書は失敗談の短編集で、合計25個の事例が紹介されている。1事例は8から10ページで説明されていて、テンポよく読むことができる。 各事例の冒頭では、登場人物の立場や所属会社がイラストで整理されているため、各事例の背景がわかりやすい。 各事例では内容をオブラートに包まずに、失敗の原因を明確に指摘しているので痛快な文章である。一部を抜粋すると、以下のような内容である。
 「調整役ばかりでものづくりをリードする人物がいない」
 「そのような理由ではBERTをやめられるわけがなかった。このプロジェクトはY氏による『BERTを使ってなにかできない
か』プロジェクトだからである。」
 「半年後には想定以上の値を示すことができた。しかし一旦ダウンした査定が回復することはなく担当データサイエンティストは退職した。」
 「効果検証分析の真の目的はすでに決定済みの社内意志の統一化であり、新たな意思決定に寄与することではなかった。」(意訳)
データ分析の失敗事例だけでなく、データサイエンティストの人事事情などもコラムとして紹介されていて興味深かった。「コラム データサイエンティストの人事事情」は皆様も気になるところではないだろうか?

Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界

目次

第一部「未知なるもの」を身近なものへ 
 第一章 カルチャーショック――そもそも人類学とは何か
 第二章 カーゴカルト――インテルとネスレの異文化体験
 第三章 感染症――なぜ医学ではパンデミックを止められないのか
第二部 「身近なもの」を未知なるものへ
 第四章 金融危機――なぜ投資銀行はリスクを読み誤ったのか 
 第五章 企業内対立――なぜゼネラル・モーターズの会議は紛糾したのか 
 第六章 おかしな西洋人――なぜドッグフードや保育園におカネを払うのか
第三部 社会的沈黙に耳を澄ます
 第七章 「BIGLY」――トランプとティーンエイジャーについて私たちが見落としていたこと 
 第八章 ケンブリッジ・アナリティカ――なぜ経済学者はサイバー空間に弱いのか 
 第九章 リモートワーク――なぜオフィスが必要なのか 
 第十章 モラルマネー――サステナビリティ運動が盛り上がる本当の理由 
 結び アマゾンからAmazonへ――誰もが人類学者の視点を身につけたら
あとがき 人類学者への手紙

書評(抜粋)   【注目点・感想】Anthro Vision(アンソロ・ビジョン)人類学的思考で視るビジネスと世界:ジリアン・テット(著)

この本は著者が30年間つちかった「人類学(anthropology, アンソロポロジー)」の貴重な知識を一般の人に伝えることを最大の目的とした本です。
あらかじめ人類学について知識がない人でも読める内容になっています。
「困難な時代には、視野を広げることの必要性を忘れがちだ。」
「視野が狭いのは危ない。必要なのは広がりのある視野であり、それこそ人類学が与えてくれるものだ。」
「これを『アンソロ・ビジョン(人類学的視点)』と呼ぼう。」
「人類学的思考は、アマゾンのジャングルだけでなく、アマゾンの倉庫で起きていることを理解するにも有効なのだ。」
と、著者は本書タイトルを命名した理由を述べています。

組織

業務改革の教科書: 成功率9割のプロが教える全ノウハウ

目次

第1部 「どんな変革か?」をざっと描く―Concept Framing(まずは同志を集めよ;変革のゴールを決める ほか)
第2部 現状調査/分析―Assessmentフェーズ(業務とシステムを棚おろす;プロのヒアリング技術 ほか)
第3部 将来の姿を描く―Business Model(施策をひらめく;業務改革の王道施策6選 ほか)
第4部 計画の価値を示し、Goサインをもらう―Decision(マスタースケジュールを描く;リスクを把握し、対応する ほか)

書評(抜粋)    『業務改革の教科書(著:白川克、榊巻亮)』は変革プロジェクトの道標となる一冊|書評レビュー

『業務改革の教科書(著:白川克、榊巻亮)』には、変革プロジェクトの立ち上げ期を4つのフェーズに分け、それぞれのフェーズで実施すべき事柄を詳説しています。
 Concept Framing:コンセプト固め
 Assessment:現状調査・分析
 Business Model:構想立案
 Decision:投資判断
これは著者のコンサルタントとしての経験から「うまくいっていない変革プロジェクトの9割は立ち上げ期にやるべきことをきちんとやっていない」ことが明確であるためです。
本書には実際に著者のコンサルティングを受けたお客様の生の声が多く引用されています。変革プロジェクトがいかに困難なものであるのかが言葉の端々から滲み出ていますが、そういったプロジェクトを成功に導いた著者が書いているからこそ、本書で紹介されているノウハウには説得力があります。

なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践

目次

個人や組織は本当に変われるのか?
第1部 “変われない”本当の理由(人の知性に関する新事実;問題をあぶり出す免疫マップ;組織の「不安」に向き合う)
第2部 変革に成功した人たち(さまざまな組織が抱える悩み―集団レベルの変革物語;なぜ部下に任せられないのか?―個人レベルの変革物語1;自分をおさえることができるか?―個人レベルの変革物語2;うまくコミュニケーションが取れないチーム―集団を変革するために、個人レベルで自己変革に取り組む物語)
第3部 変革を実践するプロセス(変わるために必要な3つの要素;診断―「変われない原因」を突き止める;克服―新しい知性を手に入れる;組織を変える;成長を促すリーダーシップ)

書評(抜粋)     【読書感想】なぜ人と組織は変われないのか ハーバード流自己変革の理論と実践 ロバート・キーガン

この本では、なぜ人は、本気で変わりたいと思っているのに変われないのか?なぜ企業では、みんなが組織風土を良くしたいと思っているのに変われないのか?その理由と克服方法(免疫マップというツールの活用)について説明しています。

この本では人の知性の成長段階を3段階で説明しています。
それぞれ簡単に説明します。
・環境順応型知性
 周囲の価値観に従う。周囲からどのように見られ、どういう役割を期待されるかによって、自己が形成される。指示に従う。
・自己主導型知性
 内的な判断基準(自分自身の価値観)を確立し、それに基づいて、まわりの期待について判断をし、選択をおこなう。自分のフィルター基準になりがち。
・自己変容型知性
 あらゆるシステムや秩序が断片的、ないし不完全なものだと理解し、矛盾や反対を受け入れることができる。自分のフィルターの不完全さを理解し柔軟に自分を変えられる。

ソフトスキル

「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する

目次

第1部 対称性の錯覚(錯覚の積み重ねと「三つの非対称性」―「善と悪」は対称か;「知識」の非対称性、「思考」の非対称性―知的能力が理不尽さを生み出す ほか)
第2部 時間の不可逆性(気づきにくい社会や心の不可逆性―湯は冷め、振り子は止まる;社会・会社の劣化の法則―「盛者必衰」の真理からは逃れられない ほか)
第3部 ストックの単調増加性(「微分と積分」と現実―増やすのは簡単、減らすのは困難;のこぎりの法則―増えだしたら止まらない ほか)
第4部 「自分と他人」の非対称性(宇宙と「人間の心」―「絶対的中心」があるかないか;コミュニケーションという幻想―「言葉の意味」の共有は難しい ほか)
第5部 「見えている人と見えていない人」の非対称性(決定的な非対称性―「見えていない人」には「見えている人」が見えない;「全体像」という幻想―自分の視野の狭さには気づきようがない ほか)

書評(抜粋)    『「無理」の構造―この世の理不尽さを可視化する』(著・細谷功/dZERO)

本書『「無理」の構造―この世の理不尽さを可視化する 』では、理不尽とは「自分の中から生まれるものだ」という。そもそも理不尽という感覚とはどういうものか。それは、「正しいことがわかっていない」「道理が通っていない」という他者への不満である。「自分に見えている正しさ」について、「他者が見えていない」と感じることこそ、理不尽さの根源だ。
本書は、何らかの問題を解決してくれるような本ではない。人によっては、「煙に巻かれている」とさえ感じるだろう。あるいは憤りさえ覚えるかもしれない。なぜなら、この本は「もし理不尽さを感じるなら自分を省みるべきだ」と訴えてくるからだ。厳しい言い方をするなら、「あなたは勘違いをしている」と指摘されるようなものだ。
しかし、そうした話を受け入れられる人にとっては、とても大きな学びを得られる本でもある。「理不尽さ」の影に隠れている人々の「勘違い」の正体について、1つずつ丁寧に教えてくれるからだ。「人々の視点が異なるのはどうしてなのか」「言葉を尽くしても理解されないのはなぜなのか」「どうすれば理不尽さから解放されるのか」といった、いくつもの課題を考える手助けになるだろう。改めて言うが、本書が具体的な問題を解決する答えをくれるわけではない。この本は「道しるべ」でしかなく、実際に道を歩くのは読者自身だからだ。

リーダーの仮面 ── 「いちプレーヤー」から「マネジャー」に頭を切り替える思考法

目次

はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか?
 優秀な人ほど犯す2つの「失敗」
 リーダータイプは才能なのか?
 「5つのポイント」以外はスルーしていい
 その「ひと言」は後から効いてくるか
 「仮面」はあなたを守ってくれる
 なぜ、会社は「変わらない」のか
序章 リーダーの仮面をかぶるための準備 ── 「錯覚」の話
 感情的なリーダーが犯した失敗
 いかなるときも「個人的な感情」を横に置く
 「5つのポイント」だけで別人のように変われる
 序章の実践 プレーヤーから頭を切り替える質問
第1章 安心して信号を渡らせよ ── 「ルール」の思考法
 「自由にしていい」はストレスになる
 ルールは「誰でも守れる」が絶対条件
 「リーダー失格」の行動とは何か
 「ダメなルール」はみんなを混乱させる
第2章 部下とは迷わず距離をとれ ── 「位置」の思考法
 ピラミッド組織を再評価しよう
 位置によって「見える景色」が異なる
 「お願い」ではなく「言い切り」で任せる
 ストレスのない「正しいほうれんそう」をしているか
 「これパワハラ?」問題を乗り越える
 リモートによって「あいた距離」を維持しよう
第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる ── 「利益」の思考法
 部下の「タテマエ」を本気にするな
 どこまで行っても「組織あっての個人」
 「集団の利益」から「個人の利益」が生まれる
 リーダーは「恐怖」の感情を逆に利用する
 事実だけを拾い、「言い訳の余地」をなくしていく
 健全なる「競争状態」をつくる
第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな ── 「結果」の思考法
 他者の「評価」からは誰も逃げられない
 リーダーは「プロセス」を評価してはいけない
 「いい返事」に惑わされるな
 リーダーがやるべき「点と点」の管理術
 「結果」を元に次の目標を詰める
第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく ── 「成長」の思考法
 「不足を埋める」から成長が生まれる
 チームが成長するとき、必ず起きていること
 「変わった気になる」を徹底的になくしていく
第5章の実践 「とにかく一度行動させる」をやってみる
 終章 リーダーの素顔

書評(抜粋)    【書評&要約】リーダーの仮面 ー 感情に依存しない組織マネジメントの公式

リーダーと言うと、周囲を惹きつけるリーダーシップとカリスマ性がある人というイメージが思い浮かぶかもしれません。しかし本書ではそのようなセンスは不要であり、組織マネジメントには誰でも良いリーダーになれる「数学」のような公式があると主張しています。その公式が第1~5章の「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の思考法です。
それぞれ一言でまとめると以下になります。
 ルール:場の空気ではなく、「誰がいつ何をやるか」言語化されたルールを定める
 位置 :対等ではなく、上下の立場からコミュニケーション(依頼ではなく指示)する
 利益 :人間的な魅力ではなく、利益の有無で人を動かす
 結果 :プロセスを評価するのではなく、結果だけを見る
 成長 :目の前の成果ではなく、未来の成長を選ぶ
これらを徹底するために「個人的な感情は脇に置け」「部下に好かれようとするな、距離を置け」「モチベーションは否定する」と、ともすると非人間的にも思われる言葉が何度も出てきます。これも組織マネジメントは感情や空気を読む国語的なものではなく、数学的な公式であるという主張がベースにあるからです。
たしかに本書は学問のように論理立てて「何故こうするべきなのか」を丁寧に示しています。しかし、組織マネジメントは感情・センスに依らない数学的な公式である、という主張が正しいという前提の上に積みあがっている論理であり、それが識学という学問です。例えば次のような内容がその前提事項を表現しており、これを受け入れられない人は本書に拒否感を覚えるかもしれません。

私自身はデール・カーネギー「人を動かす」のような、人の感情に視点を置いたリーダーシップ論の方が好みなので本書の主張を全面的には受け入れることはできませんでした。

雑感

書評を読むと、だいたいどんな内容が書いてある本なのか把握できて助かる。書評を書いてくれている方に感謝。
書評を読むことで全体像がつかめるので、実際に本を読むときも理解の助けになりそう。

私は『データ分析失敗事例集』と『なぜ人と組織は変われないのか ― ハーバード流 自己変革の理論と実践』が気になったので購入予定。
『なぜ人と組織は変われないのか』の「自己変容型知性」というワードが気になったのでこれから学んでいきたい。


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