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清酒と神様 -日本酒とミキのススメ-

これは2018年にアメブロにアップしたもので、仕事の都合で集めた資料から面白半分に作成した、神様を絡めた日本酒を勧める読み物です🍶

以前も少し書き直しましたが、今回ミキも絡め、もう一度見直してアップしてみました(* ̄∇ ̄)ノ


四谷千枚田にて、案山子


◯酒の聖地

奈良県桜井市にある日本最古の神社、大神神社(おおみわじんじゃ)。その御神体である三輪山がが佇む地は、日本酒造り発祥の地の一つとされています。 
とはいえ、その当時は清酒ではなく"口噛の酒"(くちかみのさけ)という、今でいう どぶろくのような混濁した酒だったと考えられています。
それでもこの地が日本酒発祥の地と謂われているのは、奉られている"大物主大神"[倭大物主櫛甕魂命(やまとおおものぬしくしみかたま の みこと)]や"少彦名神"(スクナビコナ)が醸造の神様として、"高橋活日命"が杜氏の神として謂われ祀られているためで、酒の聖地ともされています。そのため、例年11月14日に行われる"醸造安全祈願祭"(酒まつり)では全国各地の蔵元から(ビールやワインの蔵元からも)無事に美味しいお酒が造れることを祈願して数多のお酒が奉納されます。

なお、この後 蔵元に配られる杉の葉先で作られたボール状のものが、蔵元で新酒が出来たことを示す"杉玉"であります。
(真似て自分達で造っている蔵もありますが、これも大神神社にあやかり作られているものです)


◯御神酒

神様に捧げられるお酒の事を"神酒=ミキ"と呼びますが、昔は"ミワ"と呼ばれていました。そして同時に神様の事もミワと呼んでいました。これは お酒を呑んで酔った状態を神様とシンクロしていたと考えられていた為です。なお、先の大神神社をオオミワと読むことも、"神様=ミワ"と呼ばれていたためだと いわれています。

それだけ神様と繋がりのある御神酒。「この銘柄のみと」決められている神社も数多くあります。中には神社の境内に湧く御神水や同じ伏流水、また 御神体としている御山からの流れる水を仕込みに使用しているところもあります。

例とするならば、大神神社に納めている大西酒造は境内にある薬井戸と同じ三輪山の伏流水を、霊峰 富士山を御神体とする富士宮浅間大社に納める富士高砂酒造では富士の伏流水使用しています。


◯お酒ではない神酒-ミキ

粥と薩摩芋で醸される乳酸菌発酵飲料のミキも同じように神様に供えられていたとされ、昔は似たようなものが全国であったのではないかとも謂われています。

このミキも元をたどれば口噛みの酒とされ、名の由来は御神酒とされています。
薩摩芋で醸すミキは奄美諸島で、麦で醸すミキは沖縄で今も伝えられています。

漢字表記は神酒ですが、普通はカタカナ表記。
これらの地域は旧琉球国に属した場所であり、また亜熱帯の温暖な地域のためか日本酒は造られていない地域。もしかすると日本酒が造られてこなかった地域だから伝わり続けた可能性もあります。

なお、日本酒の古い製法に、お米を水に浸して発酵させて”そやし水”という乳酸発酵した水を使い醸す方法(菩提酛、水酛)があり、またぬか床は米糠の乳酸発酵食品ということを考えていくと、米だけで醸すことは可能だと思われます。


◯清酒

ヤマタノオロチを酔い潰した"八塩折之酒"(ヤシオリノサケ)や、オオヤマツミが娘神コノハナサクヤヒメの出産を祝うために造った"天舐酒"(アマノタムケザケ)など数多の日本神話にも登場する日本の酒。
貴重で高価な"米"を使うため、また、呑むと気分が高揚したり陽気になったりすることから、古来より清らかなもの、神様に近づくためのものとされてきました。

今日では清酒=セイシュですが、古代では"浄酒=スミサケ"または"清酒=スミサケ"と呼ばていたこともあります。

逆に白い酒に拘り、白酒や”どぶろく”を醸す神社もあります。
特に”どぶろく”は今日においても造る行程そのものを神事の一つとし、今でも祭の時のみ”どぶろく”を醸すことが許される酒造免許を習得して自社や町内会でお酒を醸す神社もあります。


◯祓い清める酒

今日でこそ嗜好品としての意味が強い"清酒=日本酒"ですが、古来からは清めるモノとしても扱われてきました。同時に神話に数多く登場するように神様が好むとされてきた呑み物でもあります。

ミキも神酒の名をそのままに、昔から伝えられてきた神秘の飲み物であります。

そんな性質を持つ日本酒やミキを、人生や一年の区切りに少し意識して嗜まれては如何でしょうか。

日本では冠婚葬祭という人生・年中の様々な区切りを大切にしてきました。今では形だけのもの、時代の流れとともに変化し続けているものもあります。
けれど知っているかどうかだけでも違うコトもあります。

日本酒もミキも冠婚葬祭も、今に繋がる日本文化であり、先人や自然の神秘に思い馳せる事柄でもあると思います。

一人や仲間内で愉しむお酒も良いですが、ほんの少し、日本文化やこれまでの出会いと別れ、八百万の神秘に感謝するきっかけとして、お酒をお供に嗜んでみては如何でしょうか。

古代は酔は神様に繋がっている状態とも言われていました。
また、酔は内なる自分、内なる神様が表に出やすくなるとも言われています。

もしかすると、日本酒で神様と繋がる素敵な時間を持てるやもしれませんね。


★冠・婚・葬・祭

冠婚と葬祭ではなく、冠、婚、葬、祭、それぞれに意味があり、ごく大雑把に表記すると、”人生と年中の節目”を表す言葉になります。

下記は一例ですが、書き出してみます。

冠=元服

・本来は冠位の儀=成人式。広義では還暦や百日祝い(ももかのいわい、お食い初めを行う頃)など生涯の通過儀礼

婚=婚礼
・結婚式

葬=葬儀
・葬式。

祭=祀り
・諸説ありますが、一番狭義は死者の祀り(祭)。盂蘭盆会や彼岸など。
・広義では年中行事。元旦や節句など。

これら様々な人生の節目に、集った皆様で祝い、また厄を祓う為にも、清らかな酒を呑まれてはいかがでしょうか。

お酒を呑まれない方は、儀式のように自ら醸したミキで厄落としをするのも良いと思います。


久し振りに読み直しましたが、なかなか固い文ですねぇ( ̄▽ ̄;)

今は全国の美味しい日本酒が手に入りやすくなってきましたが、こういう意味を込めて呑むのも 良いもではないでしょうか?

ミキもオススメですよ。



四谷千枚田にて

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