見出し画像

(アーチスト)マイルス・デイビス〜チーム作りの達人

 一番好きなアーチストはマイルス・デイビス。自分の中では、もうかれこれ25年くらいずっとそう。🎺プレイヤーとしてもすごいけど、真の魅力はやっぱりアーチストとして、もっと正確に言うならバンドリーダーとしての魅力じゃないだろうか。

 アーチストよりもバンドリーダーのイメージがしっくりくるのは、彼の創造性が動き出す開始点に「良い音楽をアウトプットするために、最高のチーム(バンド)創る」という純粋さがあるように思える。彼の音楽人生というのは、「さて、次はどんなメンバーを集めて、新しい音楽を作ろうか」ということの繰り返しだったように思う。メンバーの個性を尊重し、バンドのポテンシャルを最大化させ、新しい音楽スタイル提示して世間に驚きを与える。ある種の成果が出ると、バンドを解体&刷新して、再びゼロから新たな音楽的冒険に挑戦する。それがマイルスがやり続けたことであり、史上最高のバンマスたる所以である。

 同じことを商業的(興行的)な安定のためにやり続けるなんてまっぴらゴメンだ、自分の中で納得してしまったら、バンドメンバーを入れ替え、新しい仲間たちと新しいチームを作り上げ、次の音楽的冒険をせずにはいられない。その変化の動機が商業的成功とかじゃなく、自身の中から湧いてくる純粋な創作意欲によるものだから、どんなに、何回、変化しようとも、一貫したマイルスらしさを失わない。

 若い才能を発掘し、メンバー一人一人の個性を引き出し、まとめ上げる力量に長けている。いいメンバーが集まって野放しに好き勝手やらせれば、それだけでご機嫌なサウンドが生まれるが、シメるところはマイルスがしっかりシメてコントロールしてるので、マイルスの世界観に包まれたサウンドとなる。マイルス抜きで、マイルスバンドのメンバーがプレイした記録物(例えばVSOP)を聴くと、ほぼ同じバンドとは思えない完全に別物のサウンドになってしまう。まさにマイルスマジックといえよう。

 結果的にマイルスは「ジャズ界の帝王」と呼ばれ、ジャズというカテゴリーの中で商業的成功を収め、大いなる名声を獲得する。まるで漫画やアニメの主人公のような生き方を体現した人だと思う。彼が残した作品群を楽しんでいった先に、彼のそういった生き方にも多いに感じ入るものがあって、「マイルスが好き」というのは、単に「作品」だけじゃなくて、彼のそういった生き方に惚れ込むことも含まれる。

 そんな彼の人生を綴った書籍「マイルス・デイビス自叙伝」が残されている。別の機会に紹介したいと思うが、マイルス少年がジャズ界の帝王になっていく様が語られていて、冒険漫画(「ワンピース」に近いかも)のような楽しさが味わえる。この自叙伝、内容の多くがライターのクインシー・トループの作り話だという節があるが💦そんな説が出るくらい良くできた自叙伝である。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?