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レクイエム

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肉親の死に遭遇した際の歌をまとめました。
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レクイエム Ⅱ

吹き荒ぶ風さえ温む如月の身に彫(え)られたる孤独消えざり

子と生まれやるべきことはやり果てつ自在に生きんあるいは死なん

溢(あふ)れたる涙の頬をつたうとき 生(せい)の温度を切に感じつ

誰ひとり帰って来ぬと知りながら それでも我はひとを待つなる

幾人(いくたり)の新たないのち生(あ)れたるや逝きしばかりが報じらるるも

コロナ禍ゆえ近づけざりき手を振れば我のことかと鼻を指さす

残酷なほど

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レクイエム Ⅰ

染みのある素肌を思う亡き母の短からざる生の証を

個室へと移さんとする看護師に抗いにけり 逝くと思わじ

二の腕をおずおず掴み揺さぶれば瞼がぐりっと動きたりけり

雷に怯えし母の手を握り甲を強めに擦りたりけり

腕は棒、体は板のごとくなり 人の終わりはあまりにカタし

医師が持ち上げたる瞼その下の瞳の我を見ざりたりけり

「帰ろうか」「じゃあ起きようよ」「お母さん」「眼を開けようか」「息子を見なよ

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