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『佐藤和司の短歌』や『佐藤幸三の絵画』など
2022年5月4日 14:44
吹き荒ぶ風さえ温む如月の身に彫(え)られたる孤独消えざり子と生まれやるべきことはやり果てつ自在に生きんあるいは死なん溢(あふ)れたる涙の頬をつたうとき 生(せい)の温度を切に感じつ誰ひとり帰って来ぬと知りながら それでも我はひとを待つなる幾人(いくたり)の新たないのち生(あ)れたるや逝きしばかりが報じらるるもコロナ禍ゆえ近づけざりき手を振れば我のことかと鼻を指さす残酷なほど
2022年5月2日 14:22
染みのある素肌を思う亡き母の短からざる生の証を個室へと移さんとする看護師に抗いにけり 逝くと思わじ二の腕をおずおず掴み揺さぶれば瞼がぐりっと動きたりけり雷に怯えし母の手を握り甲を強めに擦りたりけり腕は棒、体は板のごとくなり 人の終わりはあまりにカタし医師が持ち上げたる瞼その下の瞳の我を見ざりたりけり「帰ろうか」「じゃあ起きようよ」「お母さん」「眼を開けようか」「息子を見なよ