その居に安んじる
わたしの世界は狭い
物理的にも時間的にも限りなく不自由かつ小さい
会う人は限られ
為すことも極めて創造性に欠け
ただ同じことを同じように繰り返し
かつてのわたしは、と懐古し嘆いても始まらず
時に悶々と狂おしい飢餓感に苛まれるも
ある画家の姿勢、創作を見たとき、すっ・・と
余分な焦燥なる負の意識が薄れた
埃を立てて走り回る、
稀有な対象、非凡な出来事、
希少価値を手にする為の争い、
画家は、そうした追求を選ばず、
その居に安んじるという日常、
目の前にあるものを
静かに眺めるということの習慣に真を見出した
彼が、凡庸なる何処にでも居る女性を、生涯、描き続けたということ
競争せず、走り回らず、静かなる居を選んだということ
居に安んじるとは
稀有なる安寧を
穏やかに生きるということなのか