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懐古の地

ただ独り
伽藍の祠に佇み


その無限の夢に虚ろを隠し


洞窟の冷たさ
森の静けさ


わたしの茫漠たる思念の先は
原点たる記憶の地に戻り

如何なるものにも侵害されず
如何なるものにも解放せず

時間も空間も飛び越えて


わたしが憩いたい場は
かの記憶の地

岩肌と苔と緑と蔦と


やがて
黄泉の国から
かの温和な顔が
現れ

まだだよ、と
わたしを現実に追い返すのだ

朝露も黄昏も
幾度となく視たにも関わらず

わたしの亡羊の嘆は
懐古の地を懐かしむ

懐古の地

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