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(71)厚生年金保険の適用除外について その3

 雇用保険でも前回の資料92と似たような取り扱いがありますので、取り上げておきます。ただし、以下の資料93の解説などは雇用保険の適用除外の取り扱いです。厚生年金保険の適用除外の取り扱いと混同しないよう注意してください。

☆☆☆☆☆資料93 ~ 参考までに/雇用保険法第6条(適用除外)

①次に掲げる者については、この法律(雇用保険法)は、適用しない。

 1)同一の事業主の適用事業に継続して31日以上雇用されることが見込
   まれない者。(第2号)

   ※次にあげるものを除く。(かっこ書)

     a)前二月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に
       雇用された者。

     b)この法律(雇用保険法)を適用することとした場合において
       第42条(日雇労働者/省略)に規定する日雇労働者であっ
       て第43条第1項各号(日雇労働被保険者/省略)のいずれ
       かに該当するものに該当することとなる者。

参考までに ~ 業務取扱要領(適用関係/第3 被保険者/1 被保険者の範囲)

②被保険者とならない者。(20303(3)ロ(イ))

 1)「31日以上雇用されることが見込まれる」とは、次の場合をいう。

    a)期間の定めがなく雇用される場合。

    b)雇用期間が31日以上である場合。

    c)雇用期間が31日未満である場合
         ・・・ 31日未満の期間を定めて雇用される場合であ
             っても次のいずれにも該当する場合を除き、3
             1日以上雇用されることが見込まれるものとし
             て一般被保険者または高年齢被保険者となる。

       ア)『雇用契約書』その他書面においてその契約が更新され
         る旨または更新される場合がある旨明示されていないこ
         と。

       イ)その事業所において同様の雇用契約に基づき雇用されて
         いる者について更新等により31日以上雇用された実績
         がないこと。

         ※ただし、上記のア~イのいずれかに該当しない場合で
          あっても、雇用契約その他書面においてその雇用契約
          が更新されないことが明示されている場合等労使双方
          により31日以上雇用が継続しないことについて合意
          されていることが確認された場合には、一般被保険者
          または高年齢被保険者とならない。

③被保険者とならない者。(20303(3)ロ(ロ))

 1)当初の雇入れ時に31日以上雇用されることが見込まれる場合であっ
   ても、雇入れ後において、雇入れ時から31日以上雇用されることが
   見込まれることとなった場合には、その時点から一般被保険者または
   高年齢被保険者となる。

 2)なお、労働者が日雇労働被保険者手帳の交付を受ける場合には、一  
   般被保険者または高年齢被保険者とならないことに留意する。

★★★★★資料93はここまで ~

当初同じ適用事業所に31日以上働く見込みがない方は、雇用保険の被保険者にはなりません。以前は“6ヶ月以上の雇用が見込まれること”という要件だったのが、平成22年(2010年)4月の雇用保険法の改正によって“31日以上の雇用の見込み”に改正されました。

 そして、この“見込み”という点がポイントです。31日以上雇用しないことが明確である場合はもちろん雇用保険の被保険者とはなりません。

 その雇用契約に更新する場合があると書かれており、31日未満で雇い止めの明示がない場合や、雇用契約に更新の規定がないけれども、同じような労働契約で雇用された労働者が31日以上雇用された実績があるような場合には原則として31日以上雇用が見込まれるものと取り扱われます。

 ただし、2ヶ月で18日以上働くような場合や日雇労働被保険者になるような場合は除かれています。つまり、雇用保険が適用されて雇用保険の被保険者となります。

 なお、上記の資料93の②~③の「業務取扱要領」というのは、ハローワーク(公共職業安定所)などの職員向けのマニュアルだと思われます。この「業務取扱要領」は厚生労働省のホームページで公表しています。 


 今回はここまでです。またよろしければ次回(8月4日予定)もお読みください。

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