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(25)国民年金の第1号被保険者について その5

 今回は「合算対象期間」についてお話します。

 老齢基礎年金は、原則としては保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年(120月/平成29年〔2017年〕8月以降)以上あれば、老齢基礎年金を受け取ることができる要件を満たすことになります。

 平成29年(2017年)7月までは、老齢基礎年金や老齢厚生年金を受け取るのに最低必要な期間は25年(300月)でした。それが年金法改正によって平成29年(2017年)8月からは、10年(120月)あれば受け取ることができるようになりました。

 ただし、保険料納付済期間、保険料免除期間に「合算対象期間」を合わせて10年(120月)以上あれば老齢基礎年金を受け取ることができる特例があります。それが前回の資料37の②です。

 「合算対象期間」というのは、通称“カラ期間”といわれるものです。日本の年金制度では、年金を計算するには「期間の計算」と「年金額の計算」の2つの計算をします。この合算対象期間というのは、「期間の計算」には入れますが、「年金額の計算」には加味されない期間のことです。

 まず老齢基礎年金の受給資格である「10年(120月)以上」という要件を満たしているかどうかを計算します。これが期間の計算です。その際には保険料納付済期間や保険料免除期間のほかに、合算対象期間も含めて10年(120月)以上であるかどうかを計算します。

 この期間の計算で10年(120月)以上あれば、老齢基礎年金の受給資格は満たしていますので、次は老齢基礎年金の年金額の計算をします。この計算には保険料納付済期間と保険料免除期間だけを使って計算をします。合算対象期間は年金額には何にも反映しません。

 「合算対象期間」と扱われる期間はいろいろと定められていますが、その1つに「国民年金に任意加入できるのに任意加入しなかった期間」というのがあります。平成3年(1991年)3月31日以前の学生だった期間(その方が20歳以上60未満の期間に限る)もこれに当てはまります。

 昭和36年(1961年)4月1日~平成3年(1991年)3月31日の間で、学生だった期間(その方が20歳以上60未満の期間に限る)に国民年金に任意加入をしていなければ、その期間は合算対象期間に含められることになっています。

 ちなみに、ほかに「国民年金に任意加入できるのに任意加入しなかった期間」として挙げられるのが、厚生年金保険の被保険者や共済組合の組合員に扶養されている配偶者(被扶養配偶者/20歳以上60歳未満に限る)で、国民年金に任意加入しなかった期間(昭和36年〔1961年〕4月1日~昭和61年〔1986年〕3月31日までの期間に限る)も当てはまります。

現在の年金制度では、被扶養配偶者は国民年金の第3号被保険者ですが、昭和61年(1986年)3月までの旧の年金制度では、被扶養配偶者はいずれの公的年金制度にも強制加入ではありませんでした。そして、国民年金に加入しようと思えば、任意加入という形で公的年金制度に加入できました。

 昭和36年(1961年)4月1日~昭和61年(1986年)3月31日までの間で、20歳以上60歳未満の被扶養配偶者が国民年金に任意加入していなかった期間は、「合算対象期間」となります。このように「合算対象期間」と扱われるには、年齢などさまざまな要件も定められておりますので、注意する必要があります。

 逆に、学生だった期間に国民年金に任意加入していた期間は改正後の任意加入した被保険者期間と同じ扱いとなっていますので、期間の計算はもちろん年金額の計算にも保険料納付済期間として反映されることになっています。

 ちなみに、現在学生である方で一定の所得額以下である場合には、手続きをすれば国民年金の保険料の納付が猶予される制度があります。(学生納付特例制度)

 今回はここまでです。またよろしければ次回(9月24日予定)もお読みください。

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