(2)年齢別の日本の社会保険制度について その1
日本の公的年金制度の適用関係の内容についてお話しする前に、年齢別の日本の社会保険制度について何回かに分けて取り上げておきます。
年齢や収入、その方の置かれている状況、居住地などによって、おおよそ公的医療保険制度と公的年金制度の加入の関係は、以下のようになるかと思います。なお、公的医療保険制度については、船員保険や公務員などの方が加入する国家公務員共済組合、地方公務員共済組合、私立学校教職員共済制度については省略しています。
☆☆☆資料3 ~ 20歳未満の方
①20歳未満の方が加入できる公的医療保険の選択肢としては、次のいずれ かになります。
1)一定の範囲の親族の健康保険の被扶養者。
※被扶養者になろうとする方自身の収入の金額や国内居住などの加入 要件を満たす必要があります。
→被扶養者の加入要件を満たさない場合には、一定の範囲の親族の
加入する健康保険の被扶養者にはなれず、他の選択肢を選択する
ことになります。
※健康保険の被保険者が75歳になった場合には、その方は後期高齢
者医療制度の被保険者となりますので、健康保険の被保険者の資格
は喪失します。
→健康保険の資格喪失に伴って、被扶養者である方も被扶養者の資
格を喪失します。
→以後は、他の親族が加入する健康保険の被扶養者となるか、他の
選択肢を選択することになります。
2)市町村の国民健康保険の被保険者。
※健康保険の被保険者が75歳になったことにより、それまで健康保
険の被扶養者であった方が国民健康保険の被保険者となった場合に
は、申請(要・添付書類)をすれば、国民健康保険の保険料の減免
(軽減)の措置の適用が受けられる場合があります。
3)健康保険の被保険者。
※健康保険の適用事業所に就職したり、起業などによって事業を始め
て、その事業体が健康保険の適用事業になった場合に当てはまりま
す。
4)健康保険の任意継続被保険者。
※健康保険の任意継続被保険者の加入要件を満たせば、健康保険の被
保険者の資格喪失後、最大で2年間加入できます。
5)国民健康保険組合の被保険者。
※勤務先が健康保険の適用除外の手続きを済ませてい場合に限りま
す。
②公的年金制度については・・・
1)原則として、国民年金には20歳以上60歳未満の方が加入すること
になっていますので、20歳未満の方が国民年金の被保険者となるこ
とはありません。
※20歳未満の方は国民年金の第1号被保険者ではありませんので、
国民年金基金や個人型確定拠出年金の加入者にはなれません。
※20歳未満の方が厚生年金保険の被保険者の場合、国民年金の第2
号被保険者ではありませんので、その方に被扶養配偶者がおられる
場合には、その被扶養配偶者は健康保険の被扶養者にはなります
が、国民年金の第3号被保険者にはなりません。
→厚生年金保険の被保険者が20歳になった時点で被扶養配偶者が
おられる場合には、その被扶養配偶者は国民年金の第3号被保険
者となります。
※被扶養配偶者が国民年金の第3号被保険者となって以後、個人
型確定拠出年金の加入者になれます。
2)厚生年金保険の適用事業所に就職をしたり、起業などによって事業を始
めて、その事業所などが厚生年金保険の適用事業所である場合には、厚
生年金保険の被保険者となります。
※20歳になるまでは国民年金の被保険者にはなりませんので、厚生
年金保険の被保険者であっても国民年金の第2号被保険者ではあり
ません。
→20歳未満の厚生年金保険の被保険者期間に対する基礎年金部分
の支給は、老齢基礎年金の年金額の計算には含まれず、老齢厚生
年金から「経過的加算」として原則65歳から受け取ることにな
ります。
※第1号厚生年金被保険者(一般企業の従業員など)または第4号厚
生年金被保険者(私立学校教職員共済制度の加入者)であれば、勤
務先の確定給付企業年金の規約にもよりますが、確定給付企業年金
の加入者となることができます。
※第1号厚生年金被保険者または第4号厚生年金被保険者であれば、
勤務先の企業型確定拠出年金の規約にもよりますが、企業型確定拠
出年金の加入者となることができます。
★★★資料3はここまで ~
多くの20歳未満の方が加入する公的医療保険制度としては、一定の範囲の親族のどなたかが加入している健康保険の被扶養者または国民健康保険の被保険者となろうかと思います。
20歳未満の方であったとしても、一定以上の収入(一定以上の障害がなければ130万円以上)があれば、親など親族が加入している健康保険の被扶養者にはなれません。例えば、起業したりユーチューバー、プロの棋士やスポーツ選手などで活躍されて、一定以上の収入がある場合などに当てはまります。
こうした方は、その方だけが国民健康保険に加入したり、自分が設立した会社または勤務している事業所を通じて健康保険などに加入することになります。
一方、公的年金制度については、国民年金には20歳に超えてから加入する制度ですので、国民年金の被保険者にはなりません。
しかし、10代で就職をしたり株式会社など法人を設立して起業するなどして、その会社が厚生年金保険の適用事業所である場合には、その方は厚生年金保険の被保険者となります。こうした場合でも厚生年金保険の被保険者ではありますが、国民年金の第2号被保険者ではありません。
今回はここまでです。またよろしければ次回(5月4日予定)もお読みください。
更新雑感(ぼやき)・・・
慣れていないからでしょうか、使いづらさを感じる
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