女「何でもない、大丈夫」の真意とは?

 twitterのタイムラインで、女性の「何でもない」を真に受けるとケンカになる!?というつぶやきが流れてきて、では真意はどこにある?と議論になっていたため、今日はそれについて考えてみることにする。

 まず、この言葉がでたときのシチュエーションによって3つ分岐が起こる。

①少し何か考えているような雰囲気。言葉の端切れが若干悪い。
②落ち込んでいるような雰囲気。言葉に覇気がない、または、不自然なほどテンションが高い。
③怒っているような雰囲気。冷静にハキハキ喋る。

 結論から言うと、ほとんどの場合は「大丈夫と言ってはいるけど大丈夫ではない」と考えて差し支えない。ではなぜ、そんな嘘を付くのか?(しかも大抵の場合は態度でバレバレで、隠す気ないのか?と思えるレベル)という点についてケースごとに考察していく必要があるだろう。

①考える人

 事態の深刻度はさておき、この中でレスポンスが一番簡単なものは①だろう。「答えは沈黙」だからである。このケースにおいては、恋人を始めとした異性関係は不要であり、同性でもよく起こりうるケースだろう。この時の思考を列挙してみよう。

・ある程度自分でじっくり時間をかければ糸口が見つかりそう。誰かの手を借りるほどじゃない。むしろ気を遣わせてちょっと申し訳ない。
・人の助けが欲しい。が、問いかけをした人は解決に役立たない。とりあえずこの場はやり過ごしたい。
・今ちょうど頭フル回転で考えてるところだから話しかけないでほしい
→ほっといてOK

 発言者は大なり小なり問題を抱えているが、問いかけた人の出る幕はないので放っておこう。言葉の端切れが悪かったり、言葉に詰まったりするのは頭の中で色々と思考しているからで問題の深刻度とは関係ない。必要以上に心配して深入りしないように注意。

②切羽詰まっている人

 よく言われる、「大丈夫ってことは大丈夫じゃないってことよ、私に構いなさい」というパターンがこれ。大前提として、状況は大丈夫ではないが、強がって大丈夫と言っている状態だ。これについても思考を列挙しつつ対応策を考えてみよう。ここからは一応異性の恋人同士、ということを前提にしていこうと思う。

・大丈夫じゃない。けど、何かしらの理由があって人に相談しにくい悩みであると本人は思っている。EX. 女性特有の身体上の悩み/一般基準からしてしょーもない(と本人が思い込んでいる)悩み
=話すことで自分が恥ずかしい思いをする可能性があり、言いにくい状況。しかし自分だけでの解決は困難。
=問題の原因が、問いかけた人とは関係ない。


ベスト:客観的な要素を伝えて悩み事を聞き出す。
例)大丈夫って言ってる割に顔色悪いよ?何か辛かったりしない?
例)最近仕事が忙しそうだったことと何か関係ある?
例)もしかして○○(問題ズバリ)のことで悩んでる?

 これができたら表題の件で悩んではいないと思うが、このケースで考えられる最善は、「相手の問題またはその原因にある程度目星をつけて、相手から悩みを引き出す」だろう。高い観察力と相手を傷つけない言葉選びのスキルが必須。この原因推理を外すと逆に印象が悪くなるので注意したい。

ベター:派手なアクションは起こさないが、自分が味方であることを伝える。
例)そう?大丈夫じゃなさそうだったらいつでも言ってね。いつでも話聞くから。
例)人に話すとスッキリすることもあるから、小さなことでも言ってくれて大丈夫だよ。
例)とりあえず、△△(相手が喜ぶこと)する?(キスでもハグでも飯でも好きにどうぞ)

 この場で聞き出せなくても、相手が話したくなった時に相談しやすい環境づくりを普段からしておくと効果的だろう。「大丈夫」と相手に強がらせることなく、悩みを打ち明けられる人になれば、「大丈夫」の嘘に悩むこともなくなる。△△は当たれば効果が大きい分、外せば別れの原因になりかねないので取り扱いには注意 。

及第点:ほっとく
下手なことを言って地雷を踏むよりマシ、と言う考え方。②のミソは、"相手の悩んでいる原因は問いかけ人にあらず"、という点である。だから最悪ほっといても相手は心配してくれた人に責任を求めることはできない。とりあえずベターで挙げた方法を試してみて、それでも相手が頑なに「大丈夫」と言い続けた場合には少し時間をおいて見守るしかないだろう。

③怒れる人

 大丈夫じゃない原因が問いかけ人にあるパターン。①〜③のケースの中で一番ヤバイ状況であることは言うまでもない。対応を間違えばそう遠くない未来で突然別れを切り出される恐れがある。

<希望あり>
・問いかけ人に不満があるが、言いにくい
EX. 口臭やワキガなどの身体的な問題についての不満
EX. 気が利かないなど、人間性+αについての不満=自分の理想と問いかけ人の間にギャップがある
EX. 仕事が忙しい、金遣いが荒い、趣味が気持ち悪いなど、生活態度に関連する不満(=第三者から、束縛やわがままと言われて非難される恐れのある事項)
・問いかけ人に不満があるが、言ったところで根本的には解決しない
EX. 母親がウザい、友達とウマが合わないなど、本人の身の回りにある別のものに対する不満

もしかして何か俺のせいで困らせちゃってる…?自覚がなくて本当に申し訳ないんだけど、これからも真剣に付き合っていきたいと思ってるし(=好きとか大切にしたい的なニュアンスが伝わればOK)、不快な思いをさせたくないから話してくれない?

 自分が原因であることを前提にして、下手に出つつ悩みを聞き出す。相手の悩みの原因がわかったら、自分がどうしてその立場にいるかを説明しつつ折衷案を出す。

 希望あり、となっているのは、この場合は相手側に「嫌なんだけど全部がこの人のせいってわけでもないしな…」と多少の良心の呵責が残っている、という点からである。不満の原因は確かに問いかけ人に由来しそれが不快なことも事実だが、だからと言って問いかけ人を完全に非難することはできないと思っているからこそ、「大丈夫」と言葉を濁している状態なのだ。話し合いに持ち込んで、こちらから折衷案を出せば相手がある程度譲歩してくれることも考えられるだろう。

<微妙>
・問いかけ人に不満があるが、今の時点でうまく言語化できない

<希望あり>と戦法は同じ戦法で行くか、ほっといて様子を見るか選択が必要。

 相手自身が原因を認識していないため、<希望あり>と<望み薄>とまだどちらにも転ぶことのできる状態。
 <希望あり>と同じく悩みを聞き出す方向へ行くと、ルートが相手の悩みに応じて分岐する。<希望あり>と同じ悩みであれば前述の通り交渉パートへ入っていく。が、これから述べる<望み薄>パターンに入り破局する可能性も十分にある。そのため、ほっといて様子を見る(相手が原因を突き止めずにそのうち勝手に忘れてくれるよう見守る)という別の選択肢も、関係を継続させたいのであれば有効にはたらく余地が出てくる。
 見極めは非常に困難なので、この状況になってしまった時点で半分諦めて、問いかけによって相手に不満点を自覚させ、<望み薄>コースであっても腹を割って真っ向から話し合ってみる方が、関係継続になっても別れになってもスッキリするかもしれない。

<望み薄>
・問いかけ人に不満があるが、言っても聞いてもらえなさそう
・問いかけ人に不満があるが、揉めたくない 
EX. 問いかけ人と相手の間に恋人関係以外の社会的繋がりがある
EX. 問いかけ人が、人の話を聞かないorプライドが高いなどとレッテルを貼られている=会話を諦められている
EX. 問いかけ人がモラハラ気味

その場はひとまずほっとく。(本当に関係を修復したいなら)共通の知り合いに相談して、自分の何が悪いのか指摘してもらう。普段の関わり合いの中で直そうと努力している姿を見せる。=相手が何も文句を言わない状況で、自分で気づいて直した、と印象付けることが大事

ベスト:共通の知り合いから、自分が反省していて頑張って直している、という事実をそれとなく伝えてもらう。

ベター:○○してごめん。これからはXXできるように頑張る、と面と向かって謝罪する。

さらに:
相手が許してくれそうな雰囲気だったら、他にも不満に思ってることがないか聞き出して謝罪する。自分は相手の意見を聞く気がある、何か不満を言っても関係性が崩れない、ことを態度で示す。

 このケースは、
問いかけ人にはっきりと不満を持っている/問いかけ人が意識すれば修正可能(だと相手は思っている)/にも関わらず言うだけ無駄だと諦められている
 といった状況であり、最後の「言うだけ無駄」は今までの積み重ねから発生する思考なので、すでに関係は破綻しかけている。熟年離婚など、今までうまくいっていたのに…とか、喧嘩したこともなかったのに急に振られた…と言うパターンはまさにこれだ。

 逆転はかなり難しいと言わざるを得ないが、唯一幸運なのは、「大丈夫」と言いつつ不快な態度を表に出してくれるなら、修復の可能性は0でないというところだろうか。

 とは言っても、もうその場の口八丁で取り繕える状況ではないので、一旦その場はスルーして相手をクールダウンさせることが無難だろう。(※状況がよくなるわけではない。)そしてその先には、「まずは原因を別の方法で調べて」「それを全て受け止め咀嚼し」「他の人から見ても分かるように自身の中で改善して」「なるべく自然な形で相手に気づいてもらう」という長い道のりが待っている。

 よほど入れ込んでいる相手でなければ別れてしまって、新しい相手とはこういった状況に陥らないように相互コミュニケーションをとるようにしようね、と肝に銘じた方が有用な気さえする。

 相手のために自分を変える覚悟があるなら、周りの力を借りながら相手好みになるよう地道にチューニングしていこう。相手が見直してくれるかどうかは(そもそも信用が地に落ちているので)賭けだが、少なくとも相談された知り合いや友達の側は、問いかけ人のことをより認めてくれることだろう。

関係性をどうするかは自分で決める

 長々と「大丈夫」の裏にある問題について考えてきたが、一つ誤解してほしくないことは、今回のケースにおいて、必ずしも「大丈夫」といった側(悩みを持っている人)の意見が絶対に正しいわけではない、ということだ。人はつまらないことで勝手に悩み、勝手に切羽詰まり、勝手に怒るものだ。だから、本来であればそんな他人の顔色を伺う必要も、謝罪する必要も、歩み寄る必要もない。ここでは考えうる有効策を挙げたが、これは義務でも強制でもなく、関係を切りたくないと思った時の選択肢の一つに過ぎない。

 もし「大丈夫」という他人の言葉に振り回されているのであれば、人の関係性は相対的であり、絶対的な正義はなく、常に選択権は自分にあることを胸に留めておくべきだろう。

「大丈夫」と言われた側の"不安"に寄り添う

 なぜここまで「大丈夫」への対処法について大勢の間で議論が交わされているかと言うと、「大丈夫」は非常に多くの場合に「大丈夫じゃない」ということを皆が薄々気づいているからだ。深く考えず口からでた「大丈夫」という言葉は、他の誰かを不安にさせていないだろうか。

 本当に大丈夫なら問題ない。が、大丈夫じゃないときも、ついつい大丈夫だと言ってしまっていないだろうか。少なくとも、こんな議論が起きるくらいだから「大丈夫」という言葉が多くの人を不安にさせていることは紛れもない事実なのだ。

 時には誰かを頼ってみたり、解決を求めずにとりあえず話してみたり…それは一見自分のワガママや弱さであるように見えて、実のところ相手を安心させる方法でもある。「大丈夫」の裏にある気持ちを考えることは、「大丈夫」を濫用して人を心配させていた自分に気づくきっかけにもなるだろう。

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