ラーメン食べたい

「ラーメン行く？」
「行ってもいいけど！」
「日高屋っしょ、成城の日高屋！」
なかなかに出来上がっている。
「あーでも豪徳寺で降りよっかな」
まだ世田谷代田だ。道のりはどちらにせよ長い。
「いや、オレさ、北千住の日高屋のレモンサワーがめちゃくちゃに美味しいって思ってるんだよ」
日高屋なんてどこも同じ味だろうに。
本厚木行き、各駅停車にて3号車の乗客全員が同じことを思ったはずだ。
「北千住なんてなかなか行かないですよ」
「私、ラーメンなら新橋の日高屋が最高だと思う」
え、まさかの被せる方向なのか。
吉野家の牛丼は店舗によって味が違うと聞いたことがあるが、日高屋もそうなのか。チェーン店は一体どうなっているんだ。どこでも同じ味が楽しめるというのが良さではないのか。
「てか、豪徳寺って本当に寺あるんすか？」
寺がないパターンの駅名あるよね、でもここはあるんですよ寺が。あと神社も。話があちこち飛ぶせいか、つい心の中で突っ込んでしまう。
結局この人たちはどこで降りてラーメンを食べるのか。
「前川さん、そのスマートウォッチいいっすね」
「あ、これ？」
なんて話しながら豪徳寺にて下車する彼ら。
なんだかんだ解散してラーメンは食べないのだろう。

あぁ、私こそ、ラーメン食べたい。