見出し画像

数学のつまずきについて

昨日、今井むつみ先生の、京都大学EFORUMアーカイブ動画を視聴しました。たつじんテストのデータを基に、認知心理学のお立場から学習のつまずきについての講義をお聞きしました。
その中で分数に関する部分は、今まで職場で感覚的に感じていたことを、エビデンスを示して論理的に説明されており、共感する内容が多くありました。
まず共感したのは、①学力のつまずきは、小3くらいから顕著になる。②学力下位層では、分数の概念を理解していない者が多く、中学に上がっても改善しないという部分です。
偏差値50以下の学校では、分数の計算ができないというのは、常識であり、ここが、大きな学習の山(越えられない、壁?)になっています。そして、日本の一律に進む教育課程では、一度つまずくとそこに帰って学び直すことが不可能で、つまずいた子供達は、黙って、我慢して、授業をやり過ごす毎日を送っています。
私は、前任校で、そうしてつまずいた子供達に算数を教える、学び直しの放課後補習の仕事をしましたが、その時に感じたのは、「私は分数計算のスキルを教えられるが、分数計算の概念は教えられない」ということでした。
小3のつまずき、分数のつまずきについて、水道方式を提唱した遠山啓は、分散した数から連続した数になるという概念の変化を、うまく理解できていないと捉えていました。
また、京大の石井英真先生は、割合としての分数から量としての分数への概念変化を日本の教科書がうまく説明できていないことを指摘しています。
この概念変化は、説明しようとすれば案外スッキリ説明可能な内容ですが、日本の算数の授業は、これを曖昧に扱い、分数計算のドリルを与え、習うより慣れろと身体で覚えさせます。
そして同様のことは、高1の数Ⅰショックでも繰り返されます。数の概念変化を授業で適切に扱うことができれば、もしかすると、世界のトップレベルの日本の中3女子が、数学に興味を失うことなく伸びていくかもしれません。
日本の数学教育を概念中心に組み直すことは、非常に重要なことだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?