龍魔王様シリーズ1

『龍魔王様、自己紹介をする』

最近、『自己紹介』なるものが流行っているな。
──何? 流行っていない。
当たり前だと?

して。
その『自己紹介』とは何をする遊戯なのだ?

ん? なんだ?

──何?!
自己紹介は遊戯ではないのか?!

『初めて会った人に、自分が何者かを知ってもらうために自分の事を話す』だと?

そうか。成程。
だからお前はさっきからそんな変な顔をしているのだな。

──よし。

じゃあ特別に朕(ちん)自ら話そうではないか。




朕は朕じゃ。分かったな?





何?! わ、分からないと申すのか?!


貴様…っ! この朕を愚弄するとは…!


ええい、離せ!!
この者等! 朕自ら手を下してやる!!


何だっ、先程からお前は! 鬱陶しい!!

──何っ?!
それでは分からないだと?!



……む。

…そうか。そうじゃな。


では改めて──


朕は、イリスという名じゃ。
本当は、え〜…ちゃんとした名があるのだが、長いからイリスで良い。

後はまあ──
姿形は、幼女に近かろう。

何? それは朕の趣味だって?

うううううるさい! 良かろうが!
この姿形のほうが朕は好きじゃ!

後は……

龍族と魔族の、間(あい)の子と言えば良かろう。
何? 『ハーフ』と言え?
一々細かい奴じゃの、お前は。

後はまあ──
一応、君主ではあるな。


こんなところか?

どうだ、お前達。そうか。よしよし。


これで朕も自己紹介ができたの。

と言うか。人間は面倒くさい生き物じゃの。




*****

『龍魔王様』は、別掲載の一次小説『勇者のお仕事』シリーズで登場する人物です。
活躍はまだまだ先です(笑)。







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