龍魔王様シリーズ1
『龍魔王様、自己紹介をする』
最近、『自己紹介』なるものが流行っているな。
──何? 流行っていない。
当たり前だと?
して。
その『自己紹介』とは何をする遊戯なのだ?
ん? なんだ?
──何?!
自己紹介は遊戯ではないのか?!
『初めて会った人に、自分が何者かを知ってもらうために自分の事を話す』だと?
そうか。成程。
だからお前はさっきからそんな変な顔をしているのだな。
──よし。
じゃあ特別に朕(ちん)自ら話そうではないか。
朕は朕じゃ。分かったな?
何?! わ、分からないと申すのか?!
貴様…っ! この朕を愚弄するとは…!
ええい、離せ!!
この者等! 朕自ら手を下してやる!!
何だっ、先程からお前は! 鬱陶しい!!
──何っ?!
それでは分からないだと?!
……む。
…そうか。そうじゃな。
では改めて──
朕は、イリスという名じゃ。
本当は、え〜…ちゃんとした名があるのだが、長いからイリスで良い。
後はまあ──
姿形は、幼女に近かろう。
何? それは朕の趣味だって?
うううううるさい! 良かろうが!
この姿形のほうが朕は好きじゃ!
後は……
龍族と魔族の、間(あい)の子と言えば良かろう。
何? 『ハーフ』と言え?
一々細かい奴じゃの、お前は。
後はまあ──
一応、君主ではあるな。
こんなところか?
どうだ、お前達。そうか。よしよし。
これで朕も自己紹介ができたの。
と言うか。人間は面倒くさい生き物じゃの。
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『龍魔王様』は、別掲載の一次小説『勇者のお仕事』シリーズで登場する人物です。
活躍はまだまだ先です(笑)。
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