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【詩】ダウン・バイ・ザ・リバー

地下鉄駅への階段を
雨水が流れ落ちる

水が流れ落ちてゆく先へ
私を連れてゆく
過去の生き様ばかりでなく
暗い過去のこれからの行先に向けて
地下駅へ
泥の河がつながる

人は
得てさえいなかったものを
失ったと嘆き
過去の間違いに思いわずらう

右からのイヤホンの音
左からのイヤホンの音
孔雀の羽の色彩が
分裂した聞き覚えのある悲鳴のように
鼓膜を震わす

心が足りていないから
言葉で補うしかないという理由で
あなたを罵ったこと
地下へと魂を転がり落とす

鉄の塊の重機が暗きトンネル、
暗き泥の河を突き進む
水の通り道がその先に伸びてゆく

河をくだるボートに乗る
例え主人公でなくとも
ボートは寝そべるほどの
寸法があれば

行先は黄泉の国なのか
言い訳ばかりだった口先で
見たまま隠そうとしない
その見たままを隠してしまう

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