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【詩】人知れず沈殿するもの

水の粒子にさえある
わずかな差異が均衡を
震わす

その流れに
繊維が絡め取られ
無いものが
あるように
滞(とどこお)り
いつの間にか
繊維は糸となり
水の流れをも変える

澱(よど)み、澱(おり)となり

あなたの視線や
わたしの言葉に
触れるもの

触れなくても
生ずるもの

澱(おり)となり、澱(よど)みとなり

嫉妬や悲しみや
恋となるもの

人はそれを言葉にし
あるいは言葉にせず
語り、あるいは語らず

心という在りかを
どんな形にしようかと
人知れず沈殿する時間の
よるべない仕草として
彷徨う

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