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そばと日本酒

お昼ご飯を食べに近所のお蕎麦屋さんへ。
日本酒とお蕎麦の相性が抜群に良いことを発見した。

まだお昼なので蕎麦とご飯ものだけ頼むつもりが、ついうっかり、出来心で日本酒も頼んでしまった。

本当に無意識の下で、脳が口を勝手に動かして日本酒まで注文してしまった。理性で止める暇もないくらいに脳が先走ってしまったので、おそらく脳幹とか小脳とかの反射神経もしくは脊髄反射が、思考をつかさどる大脳を制して日本酒を欲したのだと思う。

困った脳みそだ、まだお昼なのにどうしようと思いながら、しょうがないからちびちび飲み始める。温度は常温にした。おなかが弱いので、熱い蕎麦と冷酒だとおなかを壊しそうだし、熱い蕎麦と熱燗は汗だくになって悪酔いして醜態をさらしそうだったので、守りに入って常温にしてしまった。がしかし、これが正解だった。

なんとなくだし巻き卵も追加したくなるが、メニューに無いので板わさとかソーセージとかでも頼もうかと思案している間に、結構すぐお蕎麦が出て来た。せっかくなのでお蕎麦をつまみに交互に日本酒と蕎麦を楽しんでみる。熱いおそばと、ほどよくぬるいお酒がこれがまたよく合う。

お蕎麦屋さんだけあって、蕎麦の味の邪魔をしないクセのない後味を引かないさらっとしたお酒を選んでくる。お陰でそばつゆの鴨だしっぽい脂の乗ったしょうゆ味が引き立つ。

お酒の後に食べる蕎麦は、いつもの倍はダシのうまみを感じられて、普段なら気づかないような一つ一つの隠し味が伝わってくる。蕎麦ってこんなにいろいろな味が組み合わさっていて美味しいものなんだと驚いた。

お酒は最高の調味料だ。舌の味覚を活性化して、おいしいものをさらにおいしく感じさせてくれる。

下町の商店街のお店なので、私含めて昼間から何をしているか分からないお客さんが次々来る。近所の中高年のおじさんしか来ないお店なのに、週刊少年ジャンプがしっかり置いてある。しかもビジネス書とか日経新聞とかはもちろん一切置いていないところに好感が持てた。

江戸時代の町人の勤務時間は一日あたり4時間程度だったと聞いたことがある。多分見習いの丁稚のときは休みなしのブラックだが、それを乗り越えると4時間勤務になるのだろう。それならば朝から働けばお昼にはお酒が飲める。冬になったら飲んで体を温めてから働くことだってできる。江戸時代がうらやましい。

当時からの町民のソウルフードだった蕎麦と日本酒を楽しみながら、江戸の町人もこうしてお昼から飲んでいたんだろうなと思いつつ、体の芯から温まってきて足元がなんとなくふらつくのを感じながら気持ちよく帰宅できた。


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