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球は悲劇。(きゅうはひげき)序章

                        何者
そして僕は世界となった。どくん。どくん。(なにかの音)
                       
                       
                      世界
世界は狭かった。命が12しか無かった。その命の全てに、手と足が4本ずつあった。
僕はたまたま二足歩行で生まれた。声もでて、耳も聞こえて、味もして、世界と触れ合えていた。
みんなで助け合って生きていた。自分の体の一部を相手に食べさせあって、生きていた。それが普通だった。
ある日1つの命が、欠けた。
お互い食べあうのは毎日腕1本だけで、その腕は毎日元に戻る。しかしひとつの生命が腕が治る前にたまたま、足1本も食べた。そうすると食べられた生命はまず被差別意識を覚えた。みんな足が3本なのに自分だけは2本になっている。その状況に耐えられなくなり、他の生命の11本の足を全て食べた。これにより、その生命は「人」がを生んだ。
                     「人」となる。
その「人」の誕生に他の10の生命が本能的危機を感じ、その、「人」から逃げ、箱の端っこで生活していた。その「人」は孤独を感じ始め、自分を抱きしめるようになっていた。そうしていると、だんだん熱くなり、その「人」は熱を発し出した。そして、その「人」は次の日2つになっていた。それがアダムとイブなのである。
                      アダムとイブ
この2つの「人」はなにかワケの分からない強迫観念から、種を増やしに増やした。そして、1日で100人となった。そこから人は活動を覚え、着実に進化を遂げて行った。ある日アダムはあの、自分を1人にした10の生命の事が無性に許せなくなり、それを100人で攻めに行くことにした。その10の生命は前と同じ姿をしていた。しかし前と違うのは、首からネックレスの様なものを皆かけていた。
 
                     戦い
その10の生命は攻撃手段など持たなかった。それを良いことに100の「人」は、痛ブルという快感を覚え、その10の生命を酷く侵害した。それは7日間続き、その7日目に、ひとつの生命に突然変異の究極系である、神のイタズラが発動し、その生命は、他の9の生命を守るように、取り囲んで行った。その生命は悲しさを感じるようになっていた。
                    その後
その生命は丸い球の形となり、日に日に大きくなった。

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