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アンドロイドは電気羊の夢を見るか 感想

久しぶりに本を読んで面白かったので簡単な感想と雑記。

本作は火星から来た8人のアンドロイドを殺していくという、アクション映画のようなシンプルなストーリーで進んでいくので、飽き性で読解力の低い自分でも迷子にならず読めました。普段は40~50ページの短編1つ読んで満足してしまうレベルなので、300ページを1日で読んだのは快挙と言ってもいいでしょう。

以下ネタバレしまくりなので嫌な人はブラウザバック推奨。




人間らしさとは

SF小説によくあるテーマとして【人間らしさとは何か】があるかと思います。本作において最大公約数的な表現で、感情移入ができるか否かという線引きが示されているものの実はあまりピンと来ていませんでした。
困ったときのあとがきからの引用で

ディック(作者)にとってアンドロイドとは内面的に阻害された人間ー(略)”現実”の世界(人間的な関わり合いと感じ方の世界)に接触できなくて、内に閉じこもり、機械的な生活を送っている人間ーの象徴なのだ

とあります。この視点で考えると、リック(人間)と関わっている際のレイチェル(アンドロイド)はリックの内面に踏み込んで搔き乱していくので、人間という枠組みで捉えて差し支えないかと思います。一方で、そうでない時はアンドロイドなのかなと。レイチェルを例に出していますが、人間でも同じで、普遍的に時と場合に応じて人間とアンドロイドの2面性を持っていると、言ってしまえるのかなと思ったり。もっと言ってしまえば人間とアンドロイドの境界なんぞ幸福やアイデンティティーのように曖昧なものでしかないと。
レッシュとラフトの話も、およそどちらが人間らしいか区別がつかないみたいな感じの話だったから全くの見当違いと思いたい。

アンドロイドと人工生物を隔てるもの

あともう1つピンと来ていないのが、この世界では動物愛護が絶対的な是とされているので、人々は人工生物ないし本物の生物を飼育していますが、この人工生物とアンドロイドとを区別しているものは何なのでしょうか。方や殺戮対象であり方や愛でる対象とそこには大きな差が存在しています。ぱっと思いつくのは、動物への愛情欠如・外見的特徴(見た目)・人間への加害性・思考能力あたりでしょうか。1番目が普通に大きいかも。3番目はリックはラフトのことを生物であると感じているのでこれもまあありそう。2番目4番目は勝手に自分が考えたものなのでソースは知らん。来るかもわからない2回目を読む機会があればその時の自分に期待することにしましょう。

どうでもいい雑記

完全に本の内容から脱線しますが、以前どこかで見かけた「人間はどこかで妥協する」というような言葉(詳細は忘れたけど大体こんな意味だったはず)をよく思い出します。元々の意味合いもそれ自身を糾弾するような意味合いはなく、妥協しないと負荷がかかるからそうやって心の平穏を保って生きてるよねみたいなニュアンスだった気がします。今回の感想書くにあたって、問いに対する回答をなぜなぜ分析みたいな感じで書いてますが、階層が全然深くならねえなーと思いつつそんなもんかと妥協しました。もっと深い考察できるようになりたいね。あとそれを表現できるだけの語彙力も欲しいです(強欲)

おわり


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