スターの品格

祖母が耳が痛くなる位、話してくれた話がある。
祖母の母は結構ミーハーな人で、祖母の住んでいた片田舎にも１年に１度か２度はテレビでしか見たことがないスターがコンサートに来てくれたそうだが、祖母は祖母の母と一緒に必ずというほど見に行っていたらしい。なんせ田舎も田舎、その当時は高速もなかったから、スターが来るのも片道軽く10時間以上かかったんじゃないかなと言っていた。
１年に１度か２度あるかないかの贅沢な時間。少々熱が出ようが、例え身内に何かあったとしても、コンサートを見に行く事だけに全てをかけていた。
祖母はその会場で何人ものスターを見てきたらしいが、その中でもピカイチだったのが、「美空ひばり」さんだったらしい。もちろん、歌の上手さや軽快で暖かみのあるトークはもちろんの事、美空ひばりさんが舞台に登場してきた時の第一声が「皆さん、今日は来て頂いてありがとうございます」から始まり、他のスターが必ずといっていい程言いがちな「ここは本当に田舎ですね」や「ここまで来るのに○時間かかりました〜」なんて事はただの一言も言わなかったと話してくれた。もちろん、コミュニケーションをとるための挨拶だと思うが、あまりにも田舎だからと来る事さえ拒むスターもいた中、美空ひばりさんの最初の第一声に始まり、素晴らしい歌声、会場のお客さんを惹きつけて止まない立ち居振る舞い、どれをとってもトップスターの品格そのものを見せつけてくれたと話してくれた。
「品格」って、何だろう？調べみると「人や物から感じられる上品や気高さ」の事らしい。なるほど…
いつになるか到底見当もつかないけれど
その品格というものを少しでも兼ね揃えた人になれたらいいなと思う。