Jas-39 グリペンがウクライナに

今回、Jas-39 グリペンがウクライナに送られるということなので、Jas-39がどんな戦闘機なのか、どんな性能なのか、個人的な観点を踏まえて解説していきます。

1:Jas-39はどんな機体か

Jas-39名前のJasとは何か?
Jakt(戦闘)、Attack(攻撃)、Spaning(偵察)の三つの頭文字から取れております。
では、そんなJas-39はどんな機体なのか
制空戦闘、対地攻撃、偵察の三つをこなすことができる戦闘機であり、よく似ているのがF-35です。
Jas-39は小型、軽量、整備性抜群、コストも安いという利点があり、現状のウクライナ空軍にとってはかなり魅力的であると考えます。
小型であるのは開発国であるスウェーデンの独特な要求が元となっているので、小型で短距離離陸ができて、再出撃の時間を短くするために整備性を高くしてほしいというのがスウェーデンの要求でした。
しかしながら、格闘戦能力と航続距離、ステルス性が犠牲となっておりますが、多彩な兵器を搭載する能力(EF-2000やラファールよりは劣る)、ネットワークを利用した戦闘が本機の強みでもあります。

Jas-39の機体の特徴について

では、Jas-39haどんな性能しているのか、解説していきます。
全長:A型で14.1m、最新のE型で15.2m
全幅:A型で8.4m、E型で8.6m
(参考程度でF-16 全長15.03m、全幅9.45m)
    (MiG-29 全長17.32m、全幅11.36m)
上記のF-16とMiG-29はウクライナ空軍が配備(予定)している機体を一例としてあげさせていただきましたが、小ささが際立つと思います。
しかし、これだけ小型でありながら空対空ミサイル、空対地、空対艦、偵察ポッドなどの多彩な装備品を装着できる上に高速道路などから出撃でき、整備性も優れているので現在のウクライナにとっては非常にありがたい戦力になります。

Jas-39はどんな装備品を取り付けることが出来るのか


短距離空対空であればAIM-9Xや9L、IRIS-TとASRAAMが搭載することができ、視程外空対空ミサイルであればAMRAAMやミーティアを搭載できるので、F-16の搭載できる装備品と互換性があります。
対地攻撃兵器であればAGM-65、ブリムストーン、JASSM、JSOWを搭載できますが、MiG-29やF-16が搭載できるHARMは搭載することができません、SAMのレーダーを破壊できるのはF-16やMiG-29ぐらいになるので、巡航ミサイルによるロシア軍の後方陣地への攻撃やJDAMなどを搭載できるので、CAS任務に就く可能性もあります。
他には照準ポッドや偵察装備品、ECMやデコイなどが装備できます。

Jas-39の強みとは?


しかしながら、この機体の異名”スホーイ殺し”はどこから来ているのか、それは、高度なネットワーク機能や電子装備にあります。
まず、レーダーはPS-05/Aを搭載しており、このレーダーは対地対空両方のモードを兼ね備えており
対空であれば”長距離捜索、複数目標捜索中追尾、複数優先度目標追尾、空戦(短距離広角捜索・追尾)、単一目標追尾”
対地であれば”長距離捜索、対地・対水上高優先度目標追尾、マッピングおよび距離測定”
といった機能が備えられておりこのレーダー一つに様々な機能がある中でこのレーダーにはECCMが組み込まれており、8〜10GHz帯域で稼働するので、ECM対策がされており、尚且つこのECMを自動探知し逆にそのECMの稼働している機体を追跡するという、なんともまぁ化け物じみた機能が備えられてるし、なんならイージス艦の脅威度の対処の優先順位を決める機能がこいつにも搭載されています(何なのこのレーダー……)
さらにはSARモードがあるので高解像度の地形イメージを構成することができるため、低空飛行で敵のレーダーを搔い潜って爆撃目標を攻撃することができます。
なおかつ、AMRAAMやミーティアなどの視程外空対空ミサイルの中間誘導ができるほか戦術情報データリンク・システム(TIDLS)が備えられているので、ほかの機体の偵察情報を共有することができます。
そして電子線装備ではエリクソン・サーブ社製EWS-39で4基のWing Tip Unit (WTU) と1基の電子戦管制装置(EWC)で構成されており、EWS-39は敵対的な航空機、SAMのレーダ波を検知、分析、照合することによっパイロットに脅威を伝え、適切な対抗手段を取れるように、レーダー誘導ミサイルやレーダーにはチャフ、デコイ、ジャミング、赤外線ミサイルにはフレアなどの対抗手段を自動で制御することができ、さらにはRWR(レーダー警報受信機)も含まれており初期型のAR830から広い帯域に素早く対応出来る狭域帯受信アンテナを追加したBOW-21を搭載し、対象周波数帯域2〜20GHzのデジタルRWRで、リアルタイムでレーダパルス列分離を行いデータベースから発信源を特定する機能を持つので、例えばSAMのレーダーを探知して場所を特定し、それをパイロット伝える機能を持っているのですが、これのコンピューターがまさかの民生パーツであり、さらにはリアルタイムオペレーティングシステムも民生品に使用されるVxWorksを採用(もう頭痛くなってきた…..)
さらにはEWS-39にはECM機能が搭載されており、このECMが相手のレーダーを妨害し、自機の位置を隠す機能を持っているのではないかなと私は思っており、とある一説では、Su-27とJas-39が演習で戦闘をした際、接近戦ではSu-27に軍配が上がったが、BVRではJas-39に軍配が上がったとあるので、こういった点から、Jas-39の電子システムは非常に優れており、さらには曳航式デコイも搭載できるため、生存性の高さとステルス性能の低さを補っています


想定される運用

Jas-39は対空、対地、偵察何でもござれな機体なので、空対空で運用されるのであればロシア空軍のSu-27やSu-30などの戦闘機やSu-25やSu-24などの航空機を迎撃することができますが、ロシア空軍にはSu-57がいます(量産できてないけど)し、単純な機数の差などの要因がありますので、絶対的な航空優勢は取り切れるとは考えにくいですし、現状のロシア軍の航空隊もあまり活発ではなく散発的な活動のためウクライナ空軍のSu-24が敵地深くまで進攻し爆撃して無傷で生還したなどの報告があるので積極的な制空戦闘は考えにくいのですが、昨今ではロシア軍がシャヘド134やランセットなどのKAMIKAZEドローンの被害が増えてきているので、そういったドローンの迎撃などで使われるかもしれません。
対地では、マーベリックやブリムストーンなどの誘導兵器のほかにタウラスや日本への供与が決定したJASSMが搭載できますが、こちらに関しては議会の承認などがあるので供与が遅れる可能性があるので、先に供与されているJDAMなどによるCASなどが主になると考えていますが、ストームシャドウが供与されているのでもしかしたらもうすでに…..という可能性があるのですが、ほかにも対艦ミサイルRBS 15Fが搭載できるので、黒海艦隊に何か仕掛ける可能性もあります。
私個人としては
1:制空戦闘よりもKAMIKAZEドローンの迎撃
2:F-16がHARMによる防空網に穴をあけた後、ロシア軍陣地への攻撃
3:電子装備や偵察装備を生かして偵察活動
4:前線地域への支援攻撃
などがあげられますが、これだけの性能なので、そのほかにも考えられないような任務が割り当てられたりする可能性がありますので今後のウクライナでの活躍が楽しみである一方、供与される時期や機数が不明であるため、できる任務ができない可能性もありますので、しばらくは静観して情報を収集していきます。

今回はJas-39について書きましたが、なかなかの性能で少々困惑しましたが、自分なりにまとめてみましたので、ご感想や補足などよろしくお願いします。



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