7日目・8日目(快晴)30代夫婦ヨーロッパ珍道中


7日目 終日引きこもり


この日は終日ザルツブルク観光の予定であったが、妻の熱が上がりダウン。
先日まで「寒い、寒い」だったのが、「熱い、熱い」と唸っていた。
私も相変わらず喉は焼けるように痛かったが、動き回れるくらいには回復していた。妻がそんな様子なので、欲しいものを聞き、すぐ近くのdmドラッグストアへ。もう買い物も慣れたものである。皮肉にもこの日は快晴で、旅行中一番過ごしやすい気候だった。

さて、ドラッグストアで薬とポカリのようなものが欲しかったが、なかなか見つからず。日本のドラッグストアに比べて、薬の取り揃えが非常に少なかった。ネットで調べると、紅茶で身体を温めて、ゆっくり寝て免疫力で風邪を治すというのがオーストリア式らしい。薬の力でガンガン治したい日本式の我々には厳しい現実だった。

仕方なくスポーツドリンクと妻が欲しがっていたフルーツジュースだけ買って帰ることに。スポーツドリンクは飲んでみると炭酸入りであった。グイっと飲んだ私は、トムとジェリーのように飛び上がった。誰がスポーツの時に炭酸を飲みたくなるのだろうか。腹を立てつつも、もったいないので喉の痛みに耐えながらチビチビと飲む。情けない。お出かけ日和だが、この日は一日ホテルでゆっくりすることにした。

8日目 フランクフルトへ


朝起きると妻の体調は回復。ただ、喉は痛いらしい。私も喉の痛さは相変わらずで、たびたび咳こむ状態だった。ともあれ、お互い動ける身体になったのは良かった。
この日はオーストリアのザルツブルクから国境を越えてドイツのフランクフルトへ。約6時間の電車旅となる。
妻の提案で今回は1等席に乗車。1等席は最大6人掛けの個室になっている。我々が列車に乗り込むと、予約した個室には既に2人の先客がいた。我々も個室に入って荷物を置こうとしたが、でかいキャリーケースを置くスペースがない。しかも個室以外に荷物置き場がない。
以前の経験から、荷物置き場を誤ると「Big luggage!」と注意されることを私は知っている。とりあえず、妻に荷物を預けて私は車掌を探すことに。
 
ホームで車掌を見つけて声をかけるも、立ち止まってくれず、歩きながら話をすることに。つんけんした態度はさながら『インディージョーンズ最後の聖戦』に出てくるドイツ軍を思わせた。
Google翻訳で荷物が置けないことを伝える。車掌は状況を確認すると「後で戻ります」とだけ言って、どこかへ行ってしまった。そのうち電車は発車してしまった。我々は座席に座るでもなく、ただ廊下で佇んでいた。
いつも根拠なく「大丈夫だよ」と言っていた妻も、この時だけは「車掌さん遅いなぁ」「ちゃんと戻ってきてくれるかな」とソワソワしていた。しばらくすると先ほどの車掌が現れて、誰も乗客がいない個室を案内してくれた。「2席予約がされていない座席(自由席)があるのでこっちの個室で座って下さい」ということらしい。

ただ、我々がその個室の荷物置きにキャリーケースを置くと、他の乗客分のスペースが無くなってしまった。6人掛けの個室に、我々以外に予約者が3人。まだ誰も座っていない『reserved』の文字が私を不安にさせた。私たちの存在は一見すると、予約していない分際で荷物置き場を占領する厄介者。後で乗ってきた乗客に「荷物をどけろ!」なんて言われたらどう伝えたらいいだろうか…。私はgoogle翻訳で言い訳の言葉を打ち込んでは消し、打ち込んでは悩みを繰り返していた。
その時すでに安心モードに移行した妻は「大丈夫だよ」といつもの調子で話しかけてきた。私はその言葉に耳を傾けず、一人でウンウン悩んでいたので少し険悪なムードになった。
 
結局、私の心配は杞憂に終わった。目的地のフランクフルトまでには1名の乗客が来ただけで荷物のことも言われなかった。
ただ、我々がたびたび咳込む状態であったため、来たときは笑顔で挨拶してくれた男性乗客も、目の前のアジア人二人が咳き込むという状況に、だんだんと怪訝な表情を浮かべるようになった。当然、咳をする際はトイレに行く等の配慮をしていたがやはり居心地は悪かった。肩身の狭い思いをすること数時間。ようやく目的地のフランクフルト中央駅に到着した。

治安の悪さとぽったくり


フランクフルト中央駅から宿泊予定のホテルへと移動。駅周辺は怪しい輩が多く、治安の悪さが漂っていた。駅の裏道を歩くと、目つきの鋭い数人がたむろして煙草を吸っていた。『登場人物全員悪』という某映画の文句が頭をよぎった。
ビビりながら早足で抜けていく。幸い何もなかったが、妻は「危ない雰囲気」と何度も言っていた。ここはドイツでも治安が悪い場所らしい。

宿泊予定のホテルはこじんまりしたビジネスホテルだった。私は早速シャワー浴びることに。さっぱりして髪を乾かそうとすると、ドライヤーがすぐに止まってしまう。おかしいなと思ってフロントに行くと「オーバーヒート防止のため1分で止まるんです」と当たり前のように説明された。1分では男の髪も乾かない。ドイツではこれが普通なのだろうか?その後、ドライヤーのキャップを外すとなぜか普通に使えるという裏技を見つけて事なきを得た。ちなみにドイツの別のホテルでは1分以上普通に使えた。このホテルがおかしいだけだった。

この日の夕食は米が食べたかったので満場一致で中華に決まった。チャーハン、ビーフン、カニと卵のあんかけ、それからコーラと水を注文。久々に米を堪能できたが、しめて52ユーロ。日本円で8200円位。
〈たっか!〉と思いつつも、チップを含めて55ユーロを支払う。中国人の店主はニコニコと笑いながら「サンキュー♪」と送り出してくれた。
宿に戻った後、Google mapで店のメニューを見ると、我々が受け取ったものより全体的に5ユーロ(800円位)ほど安かった。思えば、入店時に観光客かと聞かれたため、インバウンド価格というものだったのだろうか。やられた!しかも呑気にチップまで払っているのだからお人好しも極まれりである。そりゃ笑顔で送り出してくれるだろう。「まぁ、何万円ものぼったくりに合わなくて良かったか」と無理やり自分を納得させた。ぽったくり程度である。そんなことを考えながら早めの床に就いた。

旅の概要と全日程のリンク


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