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絶対絶命の場合はどちらを助ける?選択話法で隠されている他の道を考える

たま〜に、底意地が悪い選択肢を出してくる人がいます。

○ちゃんと△ちゃんが崖から落ちそうです。さあ、どちらを助ける?」とか

列車のブレーキが掛かりません。
レバーで進路を切り替えれば、○人は助かりますが、△人は亡くなります。レバーを切り替えますか?
」とか

こういうやつです。


そして、ある日なんと夫がこの問題を出してきました!
(まあなんとびっくり)

娘と僕が崖から落ちそうだったら、君ならどちらを助ける?」と。


もちろん、聞かれるまでもなく娘を助けますし、夫は自力で崖を登ってこいや…と思います。

でも、そのまま「娘ちゃんを助けます」と言っても、あまり面白くないですよね。
そもそも、自身も助けてもらう側にいると考える夫にちょっと思うこともあり…

「私はとても崖の上に行けないので、夫くんがよじ登って娘ちゃんを助けてくださいね。
私は落ちても大丈夫なように、崖下にトランポリンを置いておきます」

しかし、夫もなぜか負けません。

「いやいや、悪の組織に捕まって…登られないように見張られてて…
どっちかしか助けられないとしたらどうする?」と。

おかしいでしょ!
と、思いつつ、私はどうしても夫を「守られる側」にしたくない。
知恵をギュ〜っと絞ります。

「悪人がその場にいるなら、私は悪人を倒しますので、夫くんはよじ登って娘ちゃんを助けてください。

だって、助けているときに後ろから蹴られたら、娘ちゃんと私は一緒に落ちてしまいますし…」


しかしその後も
✔縄で縛られていることになったり
✔夫と娘の崖の位置が遠くなったり
✔スナイパーで狙われていることになったり
と、後出し条件がどんどん増えてきました。

そして最後は「それでは私は娘を助けようと思っても助けられない」という結果に…

なんで夫がこんな選択を突きつけてきたのか、今でも謎です。


夫が知っていて聞いてきたのかは知りませんが、この質問は「選択話法」です。
二者択一話法とも言います。

これは、相手に「AかBかどちらがいい?」と選択をせまる質問です。

ついうっかりAかBのどちらかを選んでしまいがちですが、もちろん「選ばない/両方選ぶ」という選択肢だってあります。

しかし、二者選択にすることで、質問されたほうは他の選択肢を見逃してしまうというものです。
(アフィリエイトやセールスでもよく使われますね)

話は変わりますが、実は私は崖から落ちそうになったことがあります。

すでに成人しており、父親と山登りに行ったときのことです。
前日に雨が降っており、足元の岩は濡れて滑りやすくなっていました。
下を流れる川は水嵩を増し、勢いがあり、ひと目見ただけで「落ちたら死ぬな」とわかります。

私はゆっくり歩いている父の前を歩いていました。
ときおり父を待ち、転落防止用の鎖が張られた岩の上から下を覗いたりしていました。

そのとき、岩が濡れていて足が滑り、崖の方にスライディングする形で転んでしまいました。
父の方を振り向いたときだったので、うつ伏せ気味に崖から落ちそうになり…

その瞬間は「あ、死んだかも」と思いました。
が、私の優秀な手はちゃんと鎖を掴んでいました。

父を見ると、こちらを見てびっくり固まっています。

人は驚くと動けなくなるって本当なんだな〜と思ったこと、今でもしっかり覚えています。


しかたないので、自分で鎖を頼りに登り…
父に動けなかったことを謝られ…
「あの鎖、よくお前の体重を支えられたな」なんて軽口を叩き…


と、まあ、このような体験があったので。
私はたぶん崖から落ちそうな家族を見たら、びっくりしてすべての動きが停止してしまうと思うのです。

(だって父親がそうでしたし)

だから、今回の夫の選択話法では「選択できないだろうな」という前提がありました。

実際にその場にならないと、どう行動できるかはわかりません。
気持ちの上では、誰だって理想の答えを言えますし…


選択話法で提示された選択肢以外の答えを見つけるには、それ以外の道があると知っていなければなりません。
あるいは、知らなくても「他の方法があるはず」と探してもよいですね。

相手から与えられた選択肢と、自分で見つけた選択肢。
このすべてを吟味して、一番良い道を選んでいく…というのが理想です。


まあ、あとは体がとっさに反応できるかどうか…体力や瞬発力頼みですが…


最後までご覧いただきありがとうございましたm(_ _)m

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