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烏になったコロネ~ギリシャ神話美少女シリーズ~

 今回の美少女はちょっとマニアックなところですが、コロネ。
 ポキス王コロネウスの娘で、その美しさはあまたの男たちが彼女との結婚を求めて群がるほどだったといいます。
 ですが海辺を歩いている時に海神ポセイドンに見初められたのが不幸のはじまり。ギリシャ神話では、美がその女性に禍を招くのはお約束に近いといっていいところです。
 口説きが通じないと手籠めにしようと襲ってくるポセイドンから彼女は必死で逃げようとしますが、砂地に足を取られて思うように走れません。
 今にも捕まろうとする時、純潔な乙女の味方ともいうべき処女神アテナが救いの手を差し伸べます。彼女の姿はカラスへと変わり、空へと逃げたのです。
 ということで、これまた変身前後の趣向で、海辺を背景にカラスと一緒に描きました。

 さらにもう1枚。

 獣と女の子を一緒に描こうとすると獣耳が生えてしまうことがあるように、鳥と一緒に描こうとすると羽根が生えてしまうことがあります。
 そんな感じの1枚なのですが、彼女がカラスに変わる過程とでも思っていただければいいでしょうか。
 実際はポセイドンの魔の手から逃れようとする場面でのことなので、もっと切迫しているはずですが。

 カラスになった彼女はその姿のままアテナのお供として仕えることになります。
 ですがアテナがひそかに養育させていた後のアテナイ王・エリクトニオスをめぐる秘密という女神にとって不愉快な事実を「忠実に」報告したばかりに気分を害され、お供をクビになってしまったという続きがあります。
 忠義立ての行動がかえって気に障ったということなのかもしれませんが、本当に理不尽な話です。ギリシャ神話の神々は往々にしてそういうところがあります。

 代わりにアテナの聖鳥となったのがフクロウ。「ミネルヴァ(=アテナ)の梟」としてお馴染みで、これまた哀しい過去があるのですが、その事情は後のイラストで。


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